日々、さまざまな情報の処理を求められる現代はストレス社会であると指摘されています。このストレスに対する助け手として、WHO(世界保健機関)も認める「大麻」製品に注目が集まっています。むろんドラッグとしての大麻は違法ですが、うつの改善など医療的な機能を含め、心のケアに有効な成分が含まれているものがあり、すでにアメリカでは商業的な盛り上がりを見せています。少し怖い感じもする、役に立つ大麻製品について調べました。
大麻草、じつは七味とうがらしの原材料にもなっている
大麻は日本においては言うまでもなく違法薬物のひとつです。しかし、日本の大麻取締法では、「所持」は違法ですが、「使用」は処罰の対象にはなっていません。なぜなら大麻草全体に有害な物質が含まれているわけではないからです。幻覚作用等を起こすのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分で、大麻草の花や葉、根などの中にある樹液に多く含まれていますが、成熟した茎や種子にはTHC成分はほとんどありません。
現に日本では古くから大麻の茎部分は麻縄などに、種子は七味とうがらしの原材料(麻の実)として利用されています。こういった理由から、成熟した茎や種子の部分は規制対象から外されていますが、これらにも微量ながらTHCが含まれていることがあります。茎や種子が体内に入っただけで尿検査にてTHCが検出されるという可能性もゼロではないため、「使用」だけでは処罰されないのです。
大麻の茎や種子には医療的な薬効が期待できる「CBD」が含まれる
この茎または種子には、CBD(カンナビジオール)という成分が含まれています。このCBOは毒性がないばかりか、WHO(世界保健機構)から医療的有効性を認められています。飲みものなどに混ぜて飲むと、リラックスしたり、眠りが深くなるなどの効果があるとされ、てんかんや鬱病などの治療に使われているという実績もあります。医療界では注目の的となっており、盛んに研究が行われているのです。
2019年の春、長らく低迷していたプロゴルファーのタイガー・ウッズが、マスターズ・トーナメントの大舞台で復活優勝を果たし、話題になりました。タイガーはプレイ中に常にガムをかんでいましたが、そのガムにCBDが含まれているのではないかとアメリカのゴルフ誌が報道したのです。ゴルフはスポーツの中でもとりわけ、精神状態が結果に影響すると言われています。真偽のほどは不明ですが、これが本当であればCBDのリラックス効果を期待してのことだったのでしょう。
解禁されたCBD製品で「グリーンラッシュ」に湧く米国
アメリカでは2019年から「ヘンプ(hemp)」と呼ばれる産業用大麻草の商業栽培が解禁となり、ヘンプに由来したCBD製品も規制の対象外となりました。さらに、WADA(世界アンチドーピング機構)でもCBDを禁止薬物検査リストから除外したことで、アスリートなどからの需要が拡大しています。これを成長エンジンにしようという動きが活発化しており、食品や飲料をはじめ、歯みがき、ペット用おやつにいたるまであらゆる商品へ添加され、販売されています。これらCBD市場はアメリカの西部開拓時代の「ゴールドラッシュ」にちなんで「グリーンラッシュ」とも呼ばれるほどです。
日本でのビジネス展開には注意も
日本でもその兆しはあり、現在でもCBDを含んだオイルやチョコレートなどは、すでに入手可能になっています。今後ますますCBDに関連する商品が輸入・販売されていくことでしょう。ただし、アメリカでは原料となるヘンプに、乾燥重量ベースで0.3%以下のTHC含有が認められています。そのため、日本で販売を行う際は、このTHCを徹底的に排除するよう注意しなければなりません。また、あまりに急激に拡大したこともあり、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)は2019年末、CBDの食品への添加について、科学的証拠が欠け、安全性が確認できていないとして、製品を販売している15社に対して警告文を送り、行き過ぎたマーケティングに釘を刺しています。
日本では、「大麻=違法薬物」というイメージが定着しており、医療用大麻においても、基礎研究や臨床応用が厳しく規制されてきました。そういった背景から、より多くの誤解や混乱が生じる可能性があります。多くのビジネスチャンスを期待させるCBD市場ですが、今後の国外・国内での動きを慎重に見極めていく必要がありそうです。 (提供:JPRIME)
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