2020年3月の税制改正により、2024年から新NISAがスタートします。NISA(少額投資非課税制度)の認知度は、年々高まっています。2019年末時点における口座数は3種類の合計で約1,400万口座と、制度が始まった2014年の約700万口座から倍増していることからも、その人気がうかがえます。注目を浴びるNISAの改正点や、ジュニアNISA終了の影響について解説しますので、資産形成の参考にしてください。
現時点のNISAをおさらい
NISAを利用する最大のメリットは、投資から得られた売却益と配当金・分配金が非課税になることです。通常、株式や投資信託を保有・売却すると、利益に対して約20%の税金が課されます。たとえば株式投資で5万円の配当を受けると、そのうち1万円を税金として納める必要があり、手取りは4万円になります。一方NISAで購入していた場合は、5万円まるまる受け取れるのです。
NISAは3種類あり、それぞれ非課税となる投資金額の上限や期間、対象となる金融商品などが異なります。一般NISAは5年間、毎年120万円までの投資から生まれる利益が非課税です。投資先は上場株式や投資信託など、幅広い金融商品の中から選べます。
つみたてNISAの非課税期間は20年間、非課税枠は毎年40万円で、対象は金融庁が定めた厳しい基準によって選ばれた投資信託です。NISAは株式や上場投資信託などを積極的に売買する人、つみたてNISAは長期的な資産形成のため毎月一定額の投資信託をコツコツ積み立てたい人に向いていると言えます。
NISAを利用するためには、専用口座を開設する必要があります。一般NISAとつみたてNISAの口座は同時に保有できず、どちらかを選ばなければなりません。一般からつみたて、あるいはつみたてから一般に変更することはできます。
ジュニアNISAは、子どもの教育資金や子育て資金などの確保を目的とした設計になっています。0~19歳の未成年者が口座名義人となり、運用・管理するのは両親や祖父母などの親族です。非課税となる期間は一般NISAと同じ5年間、非課税枠は80万円です。ただし名義人が18歳になるまでに口座から引き出すと、課税対象となってしまいます。
2024年以降の新NISAでここが変わる
一般NISAに代わる新NISAは、2階建て構造です。非課税枠は1階部分が20万円、2階部分が102万円、合計で毎年122万円まで利用できます。非課税期間は、2024年から2028年までの5年間です。非課税枠いっぱいまで使うと、現行と比べてのべ10万円多く利用できます。現行NISAと同様に、新NISAはつみたてNISAとの併用はできません。
投資できる金融商品も、1階部分と2階部分で異なります。1階部分で投資できる金融商品は、つみたてNISAと同じ、厳選された投資信託です。2階部分は現行NISAと同じで、上場株式や投資信託など幅広い金融商品に投資できます。ただし、指数の何倍も変動するレバレッジ型投資信託などは対象外です。
2階部分は、1階部分を少しでも利用すれば使えるようになります。現行NISAの利用者や投資経験者は、2階部分のみを利用することもできます。その場合は、非課税枠が2階部分の年間102万円のみとなり、1階部分の20万円は使えません。
非課税期間の5年が経過すると、そのままつみたてNISAへ移行できるようになっています。新つみたてNISAは2042年まで利用できるので、長期投資にうってつけと言えるでしょう。
ジュニアNISA終了による影響は
NISA関連の制度改正は、もう1つあります。ジュニアNISAが2023年で終了することです。廃止するといっても、まだ十分利用できます。むしろ使いやすくなると言ってもいいかもしれません。
ジュニアNISAは2019年末時点の口座数が約35万と、一般NISAやつみたてNISAに比べるとあまり人気がありませんでした。その理由は、口座名義人が18歳になるまでに引き出すと利益に対して課税されてしまうという利便性の低さでしょう。今回の終了によって、2024年以降は18歳未満でも引き出せるようになります。
換金せずに20歳まで据え置くこともできます。最長で20年もの非課税期間を持つことができるのは、大きなメリットです。20歳になってからは売却することはもちろん、自動的に開設される本人名義のNISA口座で、引き続き保有することもできます。
ジュニアNISAが廃止されることで、2024年以降の同口座における買い付けはできなくなります。ただし保有はできるので、慌てて口座を廃止したり、開設をとりやめたりする必要はありません。
早めの情報収集と計画が重要
2024年に新NISAが開始されます。新NISAは2階建て構造で、1階部分を利用しなければ非課税枠の大きい2階部分を利用できません。ジュニアNISAは、2024年以降に廃止されることが決まっています。税金が資産形成に与える影響は大きいです。10年、20年と長期にわたって有利に運用していくためには、早めの情報収集と計画が必要と言えるでしょう。(提供:YANUSY)
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