将来のためにコツコツ貯金をしてきて、ある程度のお金が貯まってくると、「貯金だけじゃなくて他の投資もした方がいいのかな」と考えることは誰にでもあると思います。貯金だけではお金が増えないということはわかっていても、投資はなんとなく怖いので、結局は何もしないままになっている方が多いのではないでしょうか。今回はそういった投資初心者のための資産運用の考え方をご紹介します。

貯金だけではダメなの?

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(画像=PIXTA)

2020年2月現在、大手銀行の普通預金の金利は0.001%、定期預金でも1ヵ月もので0.01%程度と非常に低く、貯金ではお金が増えないのはみなさんご存知の通りです。しかし、貯金にもいいところはあります。

まず、1番のメリットは損をしない(元本割れ)をしないことです。投資をすると、どうしても損をする可能性があるので、貯金メインの人の中には増えなくてもいいから損をしたくないという人も多いのではないでしょうか。

次に、いつでも現金にできるというメリットがあります。投資をすると、いざお金が必要な時に損失が出ていてはなかなか現金にしづらいものですし、そもそも一定期間現金にできないものもあります。いつでも必要な時にお金が使えるというのは貯金の大きな特徴です。

また、普通預金などは変動金利なので、今は利率が低くても、景気が良くなれば利率が上がるかもしれません。そういう点では、貯金は長期間金利が固定される個人年金保険などよりも、将来の物価の上昇(インフレ)に対応しやすい商品です。

このように、貯金にもさまざまなメリットがありますし、お金が増えなくても自分が仕事をして稼いだお金だけで生活するのは、ある意味健全とも言えます。

ただし、それでもただ単に投資が怖いから貯金だけというのではなく、資産運用のことを知った上で貯金をするか投資をするかを選べるようになりましょう。というのも、資産運用を学ぶことはそれ自体にメリットがあるからです。

資産運用をするメリットは?

リスクに備えるという考え方ができる

「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。投資を勉強すると、安全・確実に楽をしてお金が増えることはなく、リターンが大きいものにはそれ相応のリスクがあることがわかってきます。つまり、この商品はどんな「リスク(危険性)」があって、その見返りにどれほどの「リターン(利益)」があるのかを、いろいろな面から知ることができます。

そうすると、これまではただ単にお金が減ることがリスクと思っていたのが、お金をすぐに現金にできないことや、解約のしにくさなどもリスクであることがわかります。また、ある会社の株やある国の債券のリターンが高いのは、財政が不安定だったり政治情勢が悪いからだったりするなど、さまざまなリスクを考えるきっかけにもなります。

さまざまなリスクに気付くようになると、資産運用が「お金を増やす」以外にも、リスクに備えるという目的があることがわかるでしょう。日本の景気が悪くなった時に海外の資産を持っていれば損失は少なくてすみますし、資産の一部を投資信託で運用していれば、将来物価が上がっても対応できるかもしれません。

ライフプランと向き合える

結婚、出産、マイホーム、子育て、旅行、老後の生活……、こういったライフイベントには、当然ながらお金がかかります。つまり、ライフプランとお金の話は切っても切れない関係にあります。

資産運用をしていく中で、「5年後に住宅を買うから頭金のために毎月5万円ずつ貯金しよう」や「教育費は今すぐ必要なものではないので、少しずつ投資で準備しよう」と考えていくと、自分たちのライフプランに応じた形で、それぞれのイベントにお金を配分できるようになります。

何が起こるか分からないから、とりあえずできるだけ貯金しようとするのに比べ、将来の見通しが立ちますし、どれだけ準備が必要かわかれば、今使えるお金もわかり、今の生活の充実にも繋がることがわかるでしょう。

資産運用を始める前に

最低限の貯金は持とう

資産運用はそれ自体にメリットがありますが、投資初心者の方はきちんと準備をしてから資産運用を始めましょう。

まず、お金が貯まったからと言って、今ある貯金をすべて投資に回すのは避けましょう。投資商品によってはすぐに現金に変えられないものや、すぐに現金にしてしまうと損をするものもあるからです。目安として、突然収入がなくなっても3ヵ月から6ヵ月は生活できるぐらいの貯金は確保しておく方がいいでしょう。

投資に関する知識を磨こう

これまでご紹介したように、楽をしてお金が増えることはありません。何も知らずに投資をして、たまたまお金が儲かることを期待すると、結局損をして終わる方が大半でしょう。また、時には専門家の意見を聞くことも大切です。しかし、みなさんのお金を一番大切に思っているのは、当然ですがみなさん自身です。自分が納得できる投資をするには、やはり投資に関する勉強をして知識を磨いておきましょう。

資産運用を考えた上でなら「貯金だけで運用」もあり得る

貯金は貯金のいいところがありますが、資産運用のことを学ぶと、いろいろなリスクに気づけたりライフプランをより深く考えたりと、さまざまなメリットがあります。貯金だけで資産を持つにしても、ただ投資が怖いからという理由ではなく、いろいろな選択肢を知った上で「貯金だけで運用しています」と言えるようになりましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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