「やられたらやり返す、倍返しだ!」――。あの半沢直樹がお茶の間に帰ってきた。

7月19日にスタートしたTBS日曜劇場『半沢直樹』の新シリーズは、東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へとまさかの出向を命じられた半沢直樹(堺雅人)の活躍を描いたものだ。初回の総合視聴率は30%超えと絶好調、現役のバンカー(銀行員)やマーケット関係者も楽しみにしているというこのドラマについて業界関係者と意見交換し、彼らと私自身の感想を書かせていただいた。なお、ドラマを観ていない読者には申し訳ないが、あらすじは割愛させていただく。(ZUU online magazine編集長 三枝裕介)

「上がる株を教えて」半沢の回答は正しかったのか

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(画像=msv/PIXTA)

まずは第2回「宿敵との再会!! 孤立する半沢」の放送で、半沢の妻である花(上戸彩)が「お友達の奥さんたちから、あなたに上がる株を聞いてほしいと言われた」というシーン。これに対し、半沢は「オレが聞きたいよ」と返した。

株式ジャーナリストの天海源一郎氏は「半沢も上がる銘柄が教えられないとは情けない。上戸彩さんも私に聞いてくれればいつでも教えてあげるのに(笑)」と前置きしたうえで感想を述べてくれた。天海氏は、ラジオNIKKEIで東京証券取引所の兜クラブ記者やディレクターを経て、株式ジャーナリストとして独立、「Mr.ストップ高」との異名を持つ株式評論家でもある。

「半沢が妻の花に、『投資では自分が応援したい会社を買うべき』というようなことを言っていたけど、これもちょっと賛成できないね。『応援したい』というキーワードがつくと、どうしても自分の生活まわりに限定されてしまう。そこには最近急騰していた半導体セクターなどはまず出てこないはず。もっと、広い視野で投資を考えなきゃ」(天海氏)

もっともである。ただ、半沢の立場に立って擁護するなら、妻の花に銘柄を教えなかったのは個人的には正解のような気がする。天海氏のように上昇銘柄の予測を生業にする方なら仕方がないが、教えたところでどんなメリットがあるのか? もし、銘柄を教えれば、花は友達の奥様方に伝えることになる。仮にその銘柄が下落した場合、責められるのは花だ。夫婦間の関係にもヒビが入るかもしれない。運よく儲かっても、お礼を言われるくらいで大きなメリットはないはずだ。もちろん、ドラマの中ではなく、上戸彩さんが私に個人的に聞いてくれた場合には、天海氏同様、丁寧に教えることになるのだが……。

私自身はトレーダー仲間や投資家たちと日々、LINEのグループで銘柄情報を交換している。ここでは、銘柄を買うのも売るのも自己責任。下がっても決して文句を言わないことが暗黙の了解となっている。もし、文句を言おうものなら、「アイツにはもう何も情報を流さない」となってグループから外されてしまう。玉石混交のたくさんの情報から銘柄を自己責任で厳選する。儲けも損失もすべては買った人の自己責任なのだ。

出向組とプロパー社員、格差の実情とは

敵対的買収
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天海氏がもうひとつ気になったというのが、「買収」について。