急成長中の小売企業と言えば「Amazon.com」。EC(電子商取引)の世界展開に成功し、売上高も急速に高めていますが、アメリカにはAmazon.comがまだ及ばない小売の巨大企業があります。
デロイトトーマツグループの最新データ「Global Powers of Retailing」
コンサルティング大手のデロイトトーマツグループは毎年、「Global Powers of Retailing(世界の小売業ランキング)」を発表しており、その2020年版が4月に発表されています。
このランキングは売上高で順位付けされており、最新版は2019年6月30日を期末とする事業年度のデータに基づいています。この純粋な売上高でのランキングのほか、「売上高成長率」も比較すると、どの企業にいま勢いがあるかがよくわかります。
売上高首位はWal-Mart、Amazonの3倍以上の売上高
▽売上高ランキング
1位 Wal-Mart Stores, Inc(米):5,144億ドル
2位 Costco Wholesale Corporation(米):1,415億ドル
3位 Amazon.com(米):1,402億ドル
4位 Schwarz Group(独):1,215億ドル
5位 The Kroger Co.(米):1,115億ドル
売上高では、1962年に創業して世界最大のスーパーマーケットチェーンにまで成長したWal-Mart(ウォルマート)が1位となっています。続いては日本での展開でも知られるCostco(コストコ)が2位となっています。
Amazon.comはWal-MartとCostcoに続く3位で、首位Wal-MartとAmazon.comの売上高は3倍以上の開きがあります。
売上高成長率ではAmazon.comが18.2%で圧倒的
現時点ではAmazon.comの売上高の数字は首位Wal-Martを脅かす規模になっていないものの、その売上高の伸びは凄まじいものがあります。
▽売上高成長率ランキング ※売上高上位10社の中で高い順
1位 Amazon.com(米):18.2%
2位 Walgreens Boots Alliance(米):11.7%
3位 Tesco PLC(英):11.3%
4位 Costco Wholesale Corporation(米):9.7%
5位 Schwarz Group(独):7.6%
Amazon.comの売上高成長率は前年比18.2%で、2013〜2018年度の年平均成長率(CAGR)も18.1%と高い数字を誇っています。一方のWal-Martの売上高成長率は前年比2.8%、CAGRは1.6%で、Amazon.comよりはるかに低い数字となっています。
次の小売業界のイノベーション「自動運転」で主導権を握るのは?
小売の王者はWal-Martだが、いずれはAmazonが抜く――。2つのランキングを分析するとこうした予測が立てられますが、いまや小売業界でECに次ぐ新たな革新が起きようとしており、この革新次第ではWal-Martの売上高成長率は今後大きく伸びることも予想されます。
その革新とは「自動運転」技術です。AmazonやWal-Martは自動運転車や配送ロボットを使って商品を顧客に届けるサービスの実現に向け、いま実証実験などに盛んに取り組んでいます。
こうした無人配送がうまく実用化できれば、省人化によって配送コストが安くなります。配送コストが安くなるということは、生鮮食品など単価の安い商品を少ない個数でも配達しやすくなり、小売業界に大きな革新が起きると考えられています。
こうしたサービスで成功した企業は将来的な急成長が見込まれ、仮にWal-Martがこの分野で主導権を握ることができれば、ECで伸びたAmazon.comを凌ぐ成長率を記録する可能性も十分にあり得るのです。
次のランキングを大きく変える「小売テック」の可能性
売上高や成長率のランキングを見ると、いま時点の業界模様が見えてきます。そんな小売業界に「小売テック」とも呼べる革新はどのような変化をもたらすのでしょうか。しばらくは各社の自動運転技術を活用した実証実験の行方が、注目のトピックスと言えそうです。(提供:JPRIME)
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