トヨタ・ハリアー 価格299~504万円 試乗記
まさに爆発的な人気! エモーショナルな造形が実に魅力的だ
2020年6月17日に発売された新型4thハリアーが爆発的に売れている。6月末の時点で受注台数は約4万台(先行受注の約2万台を含む)。月販目標台数3100台の10倍以上を記録した。つまり、新型ハリアーは、多くのユーザーに「ほしい!」と思わせる魅力を備えたモデルである。
人気の理由は、「クロスオーバーSUV」、「都会派」、「ちょっと背伸びすれば手が届く」、「高級だけど華美ではない」など、いまという時代を的確にとらえ、ユーザーの琴線に触れる絶妙な商品にまとめたからだろう。RAV4と基本コンポーネントを共用しながら、明確な「個性」と「味」を持たせたブランド力も大きい。
実際の商品性はどうか。 エクステリアは一見すると旧型のキープコンセプト。だが、よりエモーショナルな造形になった。精悍なフロントマスク、絞り込まれたクーペキャビン、張り出したホイールハウス、横一文字に光るテールランプなど、誰が見てもスタイリッシュと感じるに違いない。最近のトヨタ車の中で出色の出来栄えだ。ボディサイズは全長×全幅×全高4740×1855×1600mm。一部のタワーパーキングは利用できない1855mmの全幅など、実用上気になる部分もあるが、「デザインのために割り切った」と説明されると納得する。
先進装備充実。走りはハイブリッドが似合う!
ハリアーの室内は、高価な素材をふんだんに使っているわけではないが、各部の調和とセンスのいい加飾により質感が非常に高い。
居住性について、チーフエンジニアは「デザイン優先なので、室内もラゲッジも狭くて構わない」と開発メンバーに号令をかけたそうだ。しかし、RAV4と比べると若干劣るものの、実用面で狭い印象はない。むしろ、「このデザインなのに広い!」と感じるレベルだ。
先進装備も充実している。トヨタ車初採用の調光ガラス(障子越しのような光が差し込む)を用いた電動シェード付きパノラマルーフや、前後方録画機能付きデジタルインナーミラーなどが設定されている。
パワートレーンはガソリンが2リッター直噴NA(171ps)+ダイレクトCVT、ハイブリッドは2.5リッター直噴NA+モーター(システム出力はFF218ps/4WD222ps)の2タイプで、どちらもFFと4WDがある。
2リッターガソリンは十分以上のパフォーマンスの持ち主。ただ、ハリアーのキャラクターを考えると、ちょっと軽快で元気すぎる印象がある。実用域(2500~3500rpmくらい)でこもり音が発生するのが気になった。一方、ハイブリッドはモーターアシストの力強さと電動化ならではの滑らかさが魅力的。アクセルをベタ踏みしない限り自然なフィーリングをキープする。ハイブリッドのWLTCモード燃費はFFが22.3km/リッター、4WDは21.6km/リッター。ハリアーには、ハイブリッドが「似合う」と感じた。
重厚で、しっとりと、自然に曲がるセッティング。クルマの一体感が安心につながる
プラットフォームはGA-K。最新システムの電動EPSと、ショックアブソーバーを採用。独自の味わいにこだわって、各部のセッティングはハリアー専用だ。
意のままの走りを誰でも気負いなく実感できる点は、RAV4と共通の美点。ただし乗り味は完全に異なる。ひと言でいえば「軽快でキビキビ、よく曲がる」RAV4に対し、ハリアーは「重厚でしっとりと、自然に曲がる」。まるでアイポイントが高いサルーンか、と思える走り味だ。
ステアリング系はシャフトが太く、緻密なベアリングを使っているようなしっかり感とスムーズさが味わえる。タイヤの状況をリアルに伝えるインフォメーション、連続感があるコーナリング時の動きが、クルマとの一体感と安心感につながる。なかなか見事なドライブフィールの持ち主である。
乗り心地はプレミアムクロスオーバーらしく優しい感触。タイヤはグレードによって18インチか19インチが装着され、18インチは全般的にソフトフィール。19インチは路面によっては若干固さを感じるものの、SUVのレベルを超えたしっかり感が印象的。駆動方式による差も多少あり、FFは靴底が薄く感じるような軽快感、4WDは車重を活かしたしっとり感と穏やかさを感じた。
ハリアーは、クロスオーバーSUVが乗用車のメインストリームになったいま、トヨタが提示する高級車の理想像。現在に蘇った「マークⅡ」といえるかもしれない。ユーザーが「いいね」と感じる要素を満載した点が売れている理由だ。スタイリッシュで洗練された先進モデルの代表である。
トヨタ・ハリアー・ハイブリッドZレザーパッケージ 主要諸元と主要装備
グレード=Zハイブリッド・レザーパッケージ(4WD) 価格=THS 504万円 全長×全幅×全高=4740×1855×1660mm ホイールベース=2690mm トレッド=フロント1605×リア1625mm 最低地上高=190mm 車重=1750kg エンジン=2487cc直4DOHC16V(レギュラー仕様) 最高出力=131kW(78ps)/5700rpm 最大トルク=221Nm(22.5kgm)/3600~5200rpm モーター最高出力=フロント:88kW(120ps)/リア:40kW(50ps) モーター最大トルク=フロント:202Nm(20.6kgm)/リア:121Nm(12.3kgm) WLTCモード燃費=21.6km/リッター(燃料タンク容量55リッター) (市街地/郊外/高速道路=18.9/24.2/21.4km/リッター) サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン ブレーキ:フロント=ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク タイヤ&ホイール=225/55R19+アルミ 駆動方式=4WD 乗車定員=5名 最小回転半径=5.7m ●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/アイドリングストップ/電動パワーステアリング/ハイブリッド/充電制御/電気式無段変速機 ●主要装備:トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+全車速追従レーダークルーズコントロール+アダプティブハイビーム+ロードサインアシスト)/インテリジェントクリアランスソナー/リアクロストラフィックオートブレーキ+リアブラインドスポットモニター/7エアバッグ/電子制御ブレーキ/プロジェクターLEDヘッドライト/前後方録画機能付きデジタルインナーミラー/フロントスーパーUVカット&IRカットガラス/吸音タイプ前後フェンダーライナー/本革シート/前席電動調節+ヒーター+ベンチレーション機能/運転席電動ランバーサポート/ステアリングヒーター付き本革巻きステアリング/電動チルト&テレスコピック機能/ドライブモードセレクト/オプティトロンメーター/カラーヘッドアップディスプレイ/イルミネーション付きスカッフプレート/イルミネーテッドエントリーシステム/左右独立温度調節式フルオートAC/ハンズフリーパワーバックドア/12.3インチSDナビゲーション+JBLプレミアムサウンドシステム ●装着メーカーop:調光パノラマルーフ19万8000円/パノラミックビューモニター(シースルービュー機能付き)6万500円/おくだけ充電1万3200円 ●ボディカラー:プレシャスブラックパール(op5万5000円) ※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万800円
(提供:CAR and DRIVER)