不動産投資では、購入する物件が重要なことは言うまでもありません。しかしその後の賃貸経営もそれ以上に重要です。また賃貸経営の最終目標は収益最大化であり目標を達成するために設備投資の選択を迫られる局面もあります。設備投資は、大きく分けると「専有部の設備投資」「共用部の設備投資」の2つに分類することが可能です。

区分マンションでは、専有部の設備投資しか行うことができませんが1棟を所有する場合は共用部の設備投資も自分の判断で行うことができるため、設備投資の選択肢がより広がります。今回は、設備投資として考えられる主な内容を紹介するとともに「専有部と共用部でどちらの効果が高いのか?」ということについても解説します。

専有部の設備投資

賃貸経営
(画像=xiaosan/stock.adobe.com)

まずは専有部の設備投資についてです。以下が専有部の設備投資として考えられる主な内容です。

  • TV付きモニターフォン
  • 室内物干し
  • シャンプードレッサー
  • アクセントクロス
  • デザイナーズリフォーム
  • エアコン交換
  • バス・トイレ分離工事

設備投資を行えば物件の付加価値は上がります。しかし物件エリアの特性であったり物件に入居しやすいターゲット層を考えたうえで行わないと費用対効果の低い設備投資になりやすいので注意が必要です。例えば物件の8割が男性入居者という物件で室内物干しを設置してもそこまで効果が得られない可能性が高いでしょう。

なぜなら男性は女性と比べて「洗濯物を外で干したい」と考える人が多く室内物干しにあまり価値を感じてくれない人が相対的に多いからです。またSUUMOやアットホームの設備項目にある設備を導入するという視点も重要です。例えば、SUUMOやアットホームでは、TV付きモニターフォンやエアコンという設備項目はありますがアクセントクロスやデザイナーズリフォームという設備項目はありません。

設備項目にチェックをつけて「対象の設備が設置されている物件のみ検索する」という機能もあるので設備項目にある設備が多いほうが競争力は上がります。上記2点を考えるとTV付きモニターフォンは工事費が安く効果がまったくないということは考えにくいのでオススメの設備投資の一つです。

共用部の設備投資

共用部の設備投資は専有部の設備投資と比べると高額ですが効果は全部屋に及ぶことが多い傾向です。共用部の設備投資として考えられる主なものは以下となります。

  • エントランスのオートロック化
  • 防犯カメラ設置
  • エントランスリノベーション(外観リノベーション)
  • 玄関ドア交換
  • 外壁塗装
  • サイクルポート設置

設備投資を行う場合「専有部と同様に費用対効果を見極める」「賃貸物件サイトの設備項目を確認する」という視点は重要になります。例えば防犯カメラは共用部の設備投資の中でも比較的定額かつ賃貸物件サイトの設備項目にもあるのでオススメの設備投資です。また「共用部は専有部の設備投資と比べて金額が大きくなる傾向」「物件全体の印象は賃貸客付けにも影響がある」といった点も押さえておきましょう。

専有部と比較して失敗したときのリスクが大きいのでより慎重に設備投資内容を検討することが必要です。

専有部と共用部どっちに設備投資するべき?

「専有部と共用部どちらに設備投資をしていくべきなのか?」については、設備投資の目的により優先度が変わるといえます。設備投資の目的は主に「家賃アップ」「空室率上昇防止」の2つです。

家賃アップ

家賃アップが目的であれば投資額に対しての家賃アップ想定金額を計算し設備投資利回りを算出することにより客観的な数値を出すことが可能です。そのため専有部や共用部に関係なく利回りが高いほうを選択するのがよいでしょう。ちなみに共用部は複数の部屋に効果が及ぶため、家賃アップの金額自体は共用部の設備投資のほうが大きくなる傾向です。

そのため設備投資金額は共用部の設備投資のほうが大きいけど利回りで考えると共用部の設備投資が上回るため、共用部の設備投資を選択することもありえます。

空室率上昇防止

一方、家賃は上げられないけど空室率低下または上昇防止をするための設備投資は客観的な数値で測ることが難しい傾向です。地場の仲介業者や管理会社からの意見を吸い上げて判断する必要があるのでより一層自分の判断が求められます。例えば周辺に同じようなオートロックのない3点ユニットバスワンルーム物件が増えてきており築年数が古くなってきたことからオートロック設置を検討していたとします。

しかし家賃を上げるとバス・トイレ別と同じ家賃帯になり逆に競合が激しくなってしまうため、家賃を上げることができず空室率上昇防止のためだけにオートロック設置を検討することになりかねません。この場合、家賃アップはそもそも目的でないので利回り計算はできません。そのため客観的な基準がないのですがこういったときにオススメするのは、まずは少額の設備投資から検討するということです。

オートロック設置はセキュリティアップが主な目的になりますが、防犯カメラもセキュリティアップにつながる投資です。しかも防犯カメラであれば10万円程度から設置を検討できます。上記のような思考を持ち設備投資をするのであればより費用対効果の高い設備投資を行う意識を持つようにしましょう。(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
賃貸管理上でのトラブル対応術とは?