近年、ネット銀行を利用する人が増えている。一方でネット銀行は給与振り込み口座として利用できない場合もあるので、不安を感じる人も多いだろう。ネット銀行を給与振り込み口座として利用するメリット・デメリットや、できない場合の対処法について紹介する。

目次
1.給与振り込み口座にできるかどうかは会社次第
2.ネット銀行を給与振り込み口座にするメリット
3.ネット銀行を給与振り込み口座にするデメリット
4.給与振り込み口座にできない場合の対処法
5.ネット銀行を給与振り込み口座として活用しよう

1.ネット銀行を給与振り込み口座にできるかどうかは会社次第

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(画像=崇正 魚谷/stock.adobe.com)

ネット銀行とは対面式の店舗や自行ATMを持たず、インターネットバンキングを専業で行う銀行のことである。ネット銀行ではログインした会員ページやアプリを使って振り込みなどの手続きを行う。インターネットバンキングが普及するにつれネット銀行の数や利用者も増えている。

ネット銀行を給与振り込み口座にできるかどうかは会社次第

ネット銀行を給与振り込み口座にできるかどうかは、会社の規定による。会社によっては給与振り込みに利用できる銀行があらかじめ指定されている場合もある。一部のネット銀行に限って、振込口座として指定できる場合もあるので、まずは会社の規定をチェックしよう。

給与口座として口座開設をしたのに、ネット銀行が給与振込口座として利用できないと、せっかく口座開設をしても無駄になってしまう。給与振り込み口座として利用できるのか確かめてから、ネット銀行に口座を開設するのがおすすめだ。

2.ネット銀行を給与振り込み口座として利用するメリット

ネット銀行を給与振り込み口座として利用するメリットはいくつかある。一般的な銀行と比べたときの違いもみていこう。

メリット1……普通預金の金利が高い

ネット銀行を給与振り込み口座として利用するメリットは、普通預金の金利が高いという点だ。超低金利が続く日本では、普通預金口座に預金していてもほとんど利子はつかない。しかしネット銀行は店舗や自行ATMを持たない分、削減できた経費を金利として利用者に還元している。そのため定期預金はもちろん、普通預金の金利も高めに設定されているのだ。

たとえば一般的な銀行であるみずほ銀行の場合、普通預金の金利は0.001%だが、ネット銀行のあおぞら銀行BANK支店では、普通預金金利が0.2%とみずほ銀行の200倍に設定されている(2020年8月時点)。

給与口座であれば、毎月一定の金額が入金される。同じように預金するのであれば金利が高いネット銀行を選んだほうが得である。

主なネット銀行の普通預金金利を一覧にしてみた。各ネット銀行の金利の高さをチェックしてみてほしい。(2020年8月時点)

銀行名 普通預金金利(通常) 普通預金優遇金利
あおぞら銀行BANK支店 0.2% 特になし
auじぶん銀行 0.001% 0.10%
(auカブコム証券の口座と
連携した場合)
楽天銀行 0.02% 0.10%
(楽天証券の口座と連携した場合)
ソニー銀行 0.001% 特になし
セブン銀行 0.001% 特になし
ローソン銀行 0.001% 300万円以上預け入れの場合は
0.150%
イオン銀行 0.001% イオン銀行Myステージが
ブロンズの場合0.010%、
シルバーの場合0.030%、
ゴールドの場合0.050%、
プラチナの場合0.100%
※各金融機関の公式HPを基に筆者作成

メリット2……振込手数料などが安い

預金残高を使って振り込みなどを行うこともあるだろう。そのときにネット銀行は振込手数料などの各種手数料が安いという点にも注目したい。ネット銀行によっては、給与受取口座にすると、他行宛の振り込み手数料が一定回数無料になるところもある。

たとえばみずほ銀行で他行宛に3万円未満の振り込みを行う場合をみてみよう。対面の窓口では770円、ATMで現金を使って振り込む場合は440円、ATMでキャッシュカードを使って振り込む場合は330円の手数料がかかる。一番手数料が安いのは、みずほ銀行口座のインターネットバンキングを利用して振り込みを行う場合だが、それでも220円だ。

ネット銀行大手である楽天銀行の場合、他行に3万円未満の振り込みを行う場合の手数料は168円だ。楽天銀行では給与受け取り口座として利用する場合、他行宛の振り込み手数料が3回まで無料になるサービスもある。

手軽に手数料を安く済ませられるため、ネット銀行を給与振り込み口座として利用するのがよいだろう。

メリット3……通帳がなくスマホなどで確認できて手軽

ネット銀行では預金残高をスマホなどで手軽に確認できる。特に給与の額が出来高制であったりインセンティブがあったりする場合は、きちんとした金額が振り込まれているか確認したいだろう。いちいちATMや窓口に行って通帳記帳するのは手間である。

ネット銀行ならばスマホやPCで気軽に残高や取引履歴を確認できるため、忙しい人には特に便利でおすすめだ。

メリット4……コンビニATM手数料が無料になる場合がある

ネット銀行では毎月一定の回数の引き出し手数料が無料になる場合がある。ローソン銀行やセブン銀行などコンビニ系ネット銀行の場合は、それぞれローソンとセブンイレブン内にあるコンビニATMなら引き出し手数料が無料だ。

近くに銀行ATMがなく、コンビニATMを利用することが多い人なら、ネット銀行を給与振り込み口座として利用したほうがATM手数料を少なく抑えられる。

メリット5……ポイント還元などのサービスがある

ネット銀行を給与振り込み口座として利用すると、ポイント還元などのサービスを受けられる。たとえば楽天銀行を給与の受け取り口座に指定するだけで、受け取りごとに楽天スーパーポイントが最大3ポイントもらえる。

ローソン銀行では、口座開設するだけでPontaポイントが付与される。さらにATM出金するだけでローソンお買い物券が抽選でもらえるなどのキャンペーンもある(2020年8月30日まで)。

それぞれのポイントを主に使っている人は、よりお得になるので銀行選びの参考にしてほしい。

3.ネット銀行を給与振り込み口座として利用するデメリット

ネット銀行を給与振り込み口座として利用するとデメリットもある。具体的にみていこう。

デメリット1……IDやパスワードを忘れたら利用できない

一般的な銀行で手続きを行うには通帳やキャッシュカードと4桁の暗証番号があればよい。しかしネット銀行の場合、ログインIDとパスワードが必要だ。忘れてしまった場合、ログインできず振り込みなどの手続きができなくなってしまう。また数回パスワード入力を間違えると、他人による不正ログインの疑いで使用が凍結されてしまうこともある。

特に問題なのは、ネット銀行のIDもパスワードもわからないというときだ。銀行側に問い合わせて、仮パスワードを発行するなどの手続きが必要になる。パスワードの再発行や凍結解除は可能だが、それだけ手間も時間もかかる。

スマートフォンで生体認証をパスワード代わりにしたり、他人に分からないようパスワードを保存したりするなど気を付けておくとよいだろう。

デメリット2……引き落とし口座に利用できない場合がある

ネット銀行によっては給与振り込み口座として利用できない。会社だけでなく、自治体によっては、公共料金の支払いなどを自動で引き落とすときの引き落とし口座に利用できない場合もある。

ネット銀行によっては給与振り込み口座として指定できなければ、カード払いで対応したり、引き落とし口座を別で用意したりするなどの対策を行わなくてはならない。

デメリット3……ATMでの引き出し限度額がある

ネット銀行のATMでは1日に引き出せる金額に限度がある。たとえばローソン銀行ATMでは1回あたりの引き出し限度額が20万円、1日の引き出し限度額は50万円だ。50万円を引き出すには3回も操作が必要になり、それ以上の金額ならば数日かけて引き出すしかない。

一般的な窓口がある銀行では、窓口に行けば高額な現金を引き出せるが、ネット銀行は窓口を持たないため、ATMで引き出すしかない。給与口座に指定すると、資産の多くがその銀行に集まるだろう。何かの理由で多額の現金が必要な場合、ネット銀行に資金を集中していると手間がかかるため注意が必要だ。

4.ネット銀行を給与振込口座に使えない場合の対処法

ネット銀行を給与振り込み口座として利用することができない場合、給与口座からネット銀行の口座へ預金を移すという手がある。自分で現金を引き出し、ネット銀行の口座に入金する手もあるが、より手軽なのが自動入金サービスを利用する方法だ。

自動入金サービスとは、毎月一定の金額を自分の他行口座からネット銀行の口座に入金するというサービスで、手数料は無料だ。ソニー銀行の「おまかせ入金サービス」、セブン銀行の「毎月自動入金サービス」、auじぶん銀行の「定額自動入金サービス」などがある。

毎月一定額を自動で入金できるため、引き落としに必要な額や貯蓄用などあらかじめ用途を決めて入金するのに便利だ。

5.ネット銀行のメリットを活かして給与振り込み口座として活用しよう

ネット銀行を給与振り込み口座として利用するにはさまざまなメリットがある。もちろんデメリットもあるが、ネット銀行は金利や手数料の面で一般的な銀行よりもサービスが充実しているので、上手に活用してみてはいかがだろうか。

文・松浦恭子
住宅ローンを組んだことをきっかけに投資や資産運用に興味を持つ。マネー、ライフスタイル、子育てなど幅広い記事を制作中。

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