(本記事は、小杉樹彦氏の著書『世界一わかりやすい 20秒プレゼン実践メソッド 特別講義』秀和システムの中から一部を抜粋・編集しています)
本質は“競争しない”戦略
あなたは「ブルー・オーシャン」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
ブルー・オーシャンとは、競争のない未開拓市場のことをいう(一方、競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン」という)。
ライバルのいない市場を作り、相手にとって魅力的な提案を提供することで、メリットを最大化しようとする戦略を「ブルーオーシャン戦略」という。
EPの本質は、“競争しない”戦略にある。
例えば、就活を例に挙げよう。
学生が就活をスタートさせるとき、真っ先に行なうことは求人サイトへの登録だろう。
なお、私は以前から学生に対して、「リクナビ、マイナビ不要論」を唱えている。
というのも、拙著『就活の鬼十則』(ワニブックス)でも述べたが、これらの就活サイトには、日本の会社のほんのごく一部しか掲載されていない。
リクナビ、マイナビに登録されていない優良会社は数多くある。
日本の会社の99.7%は中小企業だ。
逆にいえば、大企業は0.3%しかないのである。
そのかわりに、私はEPを用いた独自の就活法を提案している。
□アルバイトから正社員 □人事担当者への直談判
……などなど、職場のキーマンや決裁権のある人に単独でアプローチし、会社の通常採用ルートではなく、裏口(不正ではないことが前提)から入ることにより、倍率は「1倍」に引き下がる。
就活生や同僚と争うのではなく、自分との勝負に持ち込むことができるわけだ。
有名大企業ともなれば、普通に受ければ、倍率は1000倍を超える。
よほど特筆すべき何かがない限り、まともに戦って勝ち目はない。
だが、ブルー・オーシャン戦略を立て、EPを実践すれば大逆転内定も十分にあり得る。
実際、私が担当する大学ゼミでもこの方法で、多くの優良・穴場企業から内定を獲得している。
誰も行なっていないようなアプローチでコンタクトしよう。
誰にも邪魔されないような場所で話しかけよう。
誰も踏み込めないような分野で企画を提案しよう。
ライバルがいなければムダな競争をしなくて済む。
チャンスは誰かから与えられるものだと思ってはいけない。
自分で掴み取るものだと考えよう。
チャンスを自分の手でもぎ取ったら、あとは自分自身との戦いだ。
たった4人を介すだけで、誰とでも会える
ある人が、内閣総理大臣へのEPを模索しているとしよう。
果たして、あなたならそれを見てどう思うだろうか?
きっと「なんて無謀な人だ」と思うに違いない。
しかし、EPではそのくらい突拍子もない期待を持てるような人のほうが成功する。
事実、その気になれば内閣総理大臣と知り合いになることも夢ではない。
また、驚くべきことに、あなたはその気になれば、3〜4人の知人を頼って誰とでも会うことができるのだ。
これは確率論的にいえることで、今すぐ試してほしい。
あなたの知人の、そのまた知人の、さらに知人……。
このように人脈を辿っていけば、あらゆる人に行き着くことができる。
学校や仕事上での見知らぬ人であれば、おそらく1人2人の知人を介せばつながるだろう。では、遠方に住んでいる、見ず知らずの人と知り合いたいという場合にはどうだろう。
ここに、興味深い研究結果がある。
社会心理学者のスタンリー・ミルグラムは、「世の中で人が実際にどのようにつながっているか」を検証するための実験を行なった。
スタンリー氏は、アメリカ中西部に住む数十人をランダムに抽出し、東海岸の友人宅に宛てた手紙を渡した。
そして、「心当たりのありそうな知人に手紙を転送しながら、この人のところへ届けてほしい」と依頼したのである。
その結果、それらの手紙は驚くべきことにたった5~6段階の転送を経ただけで、目的の友人のもとに到達したという。
この研究は、「スモールワールド現象」と呼ばれている。
学生時代にこのことを知った私は、その後、実際に知人を頼って様々な著名人、有名人と知り合うことができた。当時の文部科学大臣だった下村博文氏ともこの方法で会食することができた。
また、私の知人も、大ファンだという星野源さんに会うため、ツテを辿って会食までこぎつけたらしい。社長、政治家、大学教授、アナウンサー、タレント……etc.
このような肩書きを持った人々にも意外とあっさり紹介してもらうことができたのだ。
この研究は1960年代に行なわれたことから、その後、近年になってフェイスブック社が7億人に上る全ユーザーの友達関係のつながり方を分析し、この研究結果を検証している。
その結果、世界のフェイスブック・ユーザー同士のすべての組合せのうち、92%が間に3人を介せばつながり、99%以上は間に4人の知人を介せばつながることが明らかとなった。
当時よりも、人と人の結び付きは一段と「近いものとなっている」ということがいえそうだ。
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