auカブコム証券は三菱UFJフィナンシャル・グループとKDDIの双方の強みを生かしたネット証券会社。安定した財務基盤とメガバンクグループならではの高い信頼性が特徴だ。ここでは豊富な銘柄数、ストレスの少ないサポートサービスなど、auカブコム証券のつみたてNISA口座について、メリットやデメリットを含め紹介していこう。
1.三菱UFJグループならではの高い信頼性が auカブコム証券の特徴
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度。対象の金融庁が選んだ金融商品は公募投資信託(以下「投資信託」という)とETF(上場投資信託)で、特定口座で購入した分とは異なり、つみたてNISA口座で購入分した分は分配金や譲渡益が非課税になるのがメリットだ。年間の投資可能額(つみたてNISA枠)は40万円が上限だ。
つみたてNISAは証券会社や銀行なさまざまな金融機関で利用できる。数多くある金融機関の中でもMUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)のネット証券であるauカブコム証券は、高い信頼性や良好な財務体質が特徴。NISA口座を開設すると課税口座での現物株式の取引手数料が最大5%割引になる「NISA割®️」などの魅力がある。
auカブコム証券のつみたてNISA口座の基本情報 | ||
取扱商品数 | 151本 | |
安定型 | 積極運用型 | |
138本 | 14本 | |
最低積立金額 | 100円 | |
積立頻度 | 毎月 | |
引落方法 | ・証券口座に入金 ・指定銀行自動引落 |
|
ポイント還元 | 毎月ポイント | |
投資信託の月間平均保有残高に応じて付与 ・100万円ごとに1ポイント ・100ポイントで1万円と交換 ・除外銘柄あり |
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その他 | 「NISA割®️」で現物株式の取引手数料最大5%割引 |
上記はauカブコム証券のつみたてNISAの基本スペックだが、実際に口座を開設して運用をすると、どのようなメリットがあるのか具体的に解説していこう。
2.auカブコム証券のつみたてNISAの5つのメリット
auカブコム証券でつみたてNISAを利用するメリットは主に5つある。
メリット1,100円から積立投資ができる
auカブコム証券は月100円からの積立投資ができる。投資に不慣れなうちは少額の積立にしておき、慣れるに従って積立金額を上げることが可能だ。
積立金額が100円から設定できるのは、SBI証券や楽天証券、松井証券、マネックス証券も同様。一方で、野村證券やSMBC日興証券は1,000円からとなっている。つみたてNISA口座をネット証券で始める大きな利点の1つだろう。
メリット2,NISA割®️により通常の現物株式の取引手数料が最大5%割引に
auカブコム証券でNISA口座(一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA)を持っていると現物株式の売買手数料が最大で5%割引になるサービス「NISA割®️」が適用される。割引率はNISA口座を継続すると毎年1%ずつ上昇し、5年目で5%になる。
auカブコム証券の10万円以下のネット約定代金は90円。5%割引が適用されると、85.5円となる。つみたてNISAで資産運用に慣れて、現物株式も取引もしたいというときにお得な制度だ。
メリット3,申し込みはオンラインでスピーディーに完結する
auカブコム証券のつみたてNISAの新規口座開設はオンラインで完結するため、少ない手間でスピーディーにNISA口座を開設できる。なお、auカブコム証券の証券口座を持っていない場合には郵送での手続きが発生することがある。ちなみに、総合口座を開設する最短日数は下記の通り。
ネット証券会社名 | 取引開始日の目安 |
auカブコム証券 | 最短翌営業日 |
SBI証券 | 最短翌営業日 |
楽天証券 | 最短翌営業日 |
2大ネット証券であるSBI証券や楽天証券と比べての遜色のないスピード感だ。
メリット4,つみたてNISAの非課税メリットを簡単に確認できる
auカブコム証券ホームページ上には「つみたてNISA(積立NISA)かんたんシミュレーション」というツールが用意されている。これを利用すれば、つみたてNISAの非課税メリットを容易に確認できる。
「つみたてNISAを検討しているが、いったいどのくらい資産が増えるのか?」とひと目で目安がわかるため、初心者は活用したいサービスだ。
メリット5,サポートはAIチャット「チャット de QA」も利用可能
問い合わせは電話やメール以外にAIチャット「チャット de QA」も利用できる。AIチャットなら待ち時間を気にすることはなく、自分の都合のよいときにサポートを受けられるため忙しいときなどに便利。忙しいビジネスパーソンや主婦でも合間時間に問い合わせができるだろう。
3.auカブコム証券のつみたてNISAで人気の銘柄ランキングTOP7
auカブコム証券のつみたてNISA対象銘柄は151本(2020年9月15日時点)だ。銘柄の選択で参考になるのが投資信託の購入金額ランキングである。
購入金額ランキング上位の投資信託は人気が高い銘柄だ。auカブコム証券のつみたてNISA購入金額ランキングを確認しよう。
順位 | ファンド名 | 資産クラス | 運用タイプ | 信託報酬 (税込) |
1位 | eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
米国株式 | インデックス型 | 0.10% |
2位 | eMAXIS Slim先進国株式 インデックス |
先進国株式 (除く日本) |
インデックス型 | 0.10% |
3位 | eMAXIS Slimバランス (8資産均等型) |
資産複合 | インデックス型 | 0.15% |
4位 | <購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式 インデックスファンド |
先進国株式 (除く日本) |
インデックス型 | 0.10% |
5位 | ひふみプラス | 国内外株式 | インデックス型 | 1.08% |
6位 | eMAXIS Slim全世界株式 (除く日本) |
全世界株式 (除く日本) |
インデックス型 | 0.11% |
7位 | eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
全世界株式 | インデックス型 | 0.11% |
つみたてNISA対象の投資信託はインデックス型が主体のため、ランキングにはインデックス型が多い結果になった。
1位のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は米国の代表的な約500社へ投資するファンドであり、世界No.1の株式市場である米国株の成長期待から長期で人気だ。
2位と4位には先進国株式へ投資するインデックス・ファンドがランクイン。先進国株式は米国株式を主に欧州などの先進国(日本を除く)へ分散投資できる資産構成である。
3位には国内・先進国・新興国の株式と債券の6資産に加えて国内・先進国のREITの計8資産へ投資するバランス型が入った。幅広い資産への投資でリスク分散が可能だ。
5位にはこの中で唯一のアクティブ・ファンドのひふみプラスが入った。このファンドは過去の運用成績のよさから人気が高い。
6位と7位には全世界株式(除く日本)と全世界株式(含む日本)がランクイン。全世界株式は先進国に新興国を加えた国の株式へ投資ができる。
4.auカブコム証券のつみたてNISAで初心者におすすめの投資信託4つの銘柄は?
初心者が始めてつみたてNISAの銘柄を購入する場合、どれを選ぶべきなのか?「安定重視」と「利益重視」の投資信託を2つずつ紹介しよう。 (※データは2020年8月31日時点)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)……安定重視の分散型ファンド
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は今回の購入金額ランキングTOP7の3位のファンドだ。前述のように国内・先進国・新興国の株式と債券に加えて国内・先進国のREITの計8資産に均等(12.5%ずつ)に投資するバランス・ファンドである。
投資信託保有中の手数料である信託報酬はバランス型として最低レベル。人気のファンドのため、純資産総額は右肩上がりだ。
DCニッセイ ワールドセレクトF(標準)……信託報酬最低レベルで国内と先進国に投資可能
DCニッセイ ワールドセレクトF(標準)は、国内・先進国の株式と債券の4資産に短期金融資産を加えた計5資産のバランス・ファンドだ。今回の購入金額ランキングTOP7ランク外からの選出である。
信託報酬はeMAXIS Slimバランスと同様にバランス型として最低レベルだ。純資産総額は長期で上昇傾向である。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)……新しいファンドながら資産総額は順調に増加
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は今回の購入金額ランキングTOP7の1位のファンドだ。米国に上場している代表的な約500社へ分散投資できる。
信託報酬は約0.1%であり、最低レベルである。2018年に運用開始した比較的新しい投資信託ながら、高い人気のため純資産総額は1,500億円近くまで増加している。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)……世界中の国の株に分散投資
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、今回の購入金額ランキングTOP7の7位のファンド。日本を含む先進国と新興国の株式に投資する。このファンドは多くの国の株式への分散投資になる。
信託報酬は約0.11%と最低レベルに近い。これも2018年に運用開始した比較的新しい投資信託であるが、純資産総額は440億円あまりと増加が続いている。
5.auカブコム証券でつみたてNISAを始める3つのデメリット・注意点
つみたてNISAの口座は、一度開設したら長く利用していくことが多い。そのため口座開設の際には、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握しておきたい。
デメリット・注意点1,積立頻度は毎月のみ
つみたてNISAの積立頻度はauカブコム証券では毎月のみであり、毎週や毎日の積立には対応していない。これはドルコスト平均法の観点からするとデメリットといえる。
ネット証券の2大巨頭であるSBI証券と楽天証券では、前者が毎日・毎週・毎月、後者が毎日と毎月を選択できる。auカブコム証券は、積立期間の選択肢が少ない。
デメリット・注意点2,年の途中からだとつみたてNISA枠を使い切れない
auカブコム証券のつみたてNISAの毎月の積立金額合計上限は33,333円である。年の途中から積立開始する場合は、毎月の積立だけでつみたてNISA枠(年40万円)を使い切れない。
しかし、年に2回設定できる増額指定(ボーナス月設定)をうまく活用すれば、つみたてNISA枠を使い切ることが可能だ。
デメリット・注意点3,ポイントプログラムが適用されにくい
auカブコム証券の投資信託の保有に関連するポイントプログラムが2種類用意されている。「auカブコムの資産形成プログラム」と「投資信託 毎月ポイント」だ。
「auカブコムの資産形成プログラム」はauIDを登録している人を対象に、月間平均保有額2.4万円以上からPontaポイントが加算されるというサービス。適用される年率は、月間平均保有金額に応じて0.05%〜0.24%だ。
「投資信託 毎月ポイント」はauIDを登録していない人が対象。月間平均保有額100万円ごとに1ポイントが付与され、3,000万円以上であると100万円ごとに2ポイント付与される。なお、投資信託 毎月ポイントは2020年12月21日(月)のポイント付与にて終了になる予定だ。
さまざまなところで利用できるPontaポイントが貯まるプログラムだが、どちらも信託報酬率が0.24%未満(税込)の投資信託は対象外になる。つまり、つみたてNISAで人気の信託報酬が低い投資信託の多くは対象外である。また「投資信託 毎日ポイント」は年間100万円以上から付与対象となるので、そもそもつみたてNISAの枠だけでは、ポイントが加算されないということになる。
ポイントプログラムが用意されていても、少額でつみたてNISAから始めたいという人にとっては活用できないのは残念だ。
6.auカブコム証券のつみたてNISAはどんな人に
auカブコム証券はカブドットコム証券から社名が変わり、三菱UFJフィナンシャル・グループの信頼性とau(KDDI)経済圏の双方の強みを生かすネット証券に変化している。
さらに大規模システム障害などの備えとして「障害災害時専用サイト(BCPサイト)」や一定の条件にて不利益分を返却する「サービス品質保証制度(SLA)」が用意されており、金融機関のセキュリティが騒がれる昨今、より注目したいネット証券の1つとなっている。
わかりやすいシミュレーションやチャットでの問い合わせ、豊富な銘柄数とつみたてNISAで資産運用をしていくための条件も整えられているので、これから口座開設を検討している人は、ぜひ一度チェックをしてもらいたい。
執筆・松本雄一(セキュリティ・金融アドバイザー)
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
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