SUBARUレヴォーグSTIスポーツEX 試乗記
魅力実感。新設計1.8リッターターボは力強く、スッキリ回る
新型レヴォーグの先行予約が8月20日から開始された。注目度はここ数年のSUBARU(スバル)車トップレベル。先行展示会は乗車体験1時間待ち、という話も聞く。予約は順調で、スバル関係者によると、受注台数は〝メーカーも驚くレベル〟だそうだ。
そんな中、2回目のプロトタイプ試乗会が開催された。今回はサーキット(袖ヶ浦フォレストレースウェイ)が舞台。ズバリ「走る/曲がる/止まる」という基本性能チェックがメインだ。試乗車はフラッグシップのSTIスポーツEXと、スタンダード系の上級グレードGT-H。比較用に現行のSTIスポーツも試した。
まずGT-Hでコースイン。新型の実力は、ピットロードを走り始めた時点から実感できる。1.8リッター直噴ターボ(CB18型・177ps/300Nm)は1500rpmから最大トルクを発揮。1.8リッターとは思えない実用域の力強さと、高回転までスッキリと回るのが好印象。新開発のリニアトロニック(8CVT)は、並のステップAT顔負けのダイレクトな感触。これならCVT嫌いも納得するだろう。
シャシー性能は、素晴らしいと思っていた現行型が、心もとないと感じてしまうほどの差がある。現行型はコーナリング時に応答遅れを考えて「ドライバーが曲がるための準備や補正をする必要」があった。新型は準備や補正が不要。自然にステアリングを切るだけでいい。つまり、誰でも安心して上手く走らせられる。
走りの味付けはスポーティ。しっかりボディが基本性能大幅アップに貢献
試乗時は突然の雨に見舞われた。ウエット路面で現行型は、限界を探りながらの走行で予期せぬ動きにドキッとした。新型は安定した挙動で何事もなし。鉄壁のリアのスタビリティと応答性に優れるフロントが、絶大な信頼性とコントロール性を生み出す。タイヤからの情報もわかりやすく、不安はまったくない。ウエット路面が楽しいと感じたくらいだ。
新型の高い完成度は、フルインナーフレーム構造の第2世代SGP(ねじり剛性44%アップ)やデュアルピニオン式電動パワーステアリング、ロングストローク化されたサスペンションなど、すべての刷新により、基本性能が飛躍的にレベルアップした成果である。
走りの味付けは現行型、新型ともにスポーティ。だが考え方は異なる。現行はどちらかというとロールを抑え、クイックに動かすセットだが、新型は基本性能が高められたことでロールを上手に活かし、きれいに動かすというセッティングだ。
セッティング変更は、ハンドリングだけでなく快適性にも貢献している。袖ヶ浦フォレストレースウェイは、サーキットながらところどころに細かい凹凸がある。新型は〝路面が変わったのか〟と錯覚するほど、スムーズな足さばきと吸収性を見せた。
STIスポーツの完成度に感動。ドライブモードセレクトが楽しい
「GT-Hで十分かな!?」と思いながら、STIスポーツに乗り換える。走り始めて、「上には上がある」と実感。しなやかさを損なわない範囲で、無駄な動きを抑えた絶妙なセッティングが心地いい。ノーズの入りのよさなど、より攻めたくなる味付けである。タイヤはGT-Hと同じなので、STIスポーツ専用アイテムのひとつ、ZF製の電子制御可変ダンパーの効果に違いない。
STIスポーツは、ダンパー、パワートレーン、電動パワーステアリング、AWDなどの特性が変更可能なドライブモードセレクトを標準装備。ノーマルの万能性に感心しながらも、ダイレクト感が高いスポーツ+、しなやかな足の動きと安心感がより高まるコンフォートを試す。走行モードごとの違いは明確。インディビデュアルは各種設定が好みで調整できる。自分だけの1台に仕上げられる。
新アイサイトのプリクラッシュブレーキのデモを取材した。60km/hでの衝突回避を確認したが、短い距離でも余裕で止まった。実際は70、いや80km/hくらいからでも止まれるのではないだろうか? 新機能の前側方プリクラッシュブレーキや対歩行者の対向(自車右左折時)対応機能も確認したが、こちらも見事に危険を回避。リアルワールドでよく起きるシチュエーションだけに、被害低減に大きく貢献するだろう。これらのアイサイト機能は、全車に標準で装備される。
新型レヴォーグの完成度は実に高い。前回の試乗でも基本性能のレベルアップは一目瞭然だったが、速度域の高いステージでのチェックを通じて、シャシー性能は世界の強豪と戦えるレベルだと確信した。スバルはすべてのドライバーに〝安心と楽しさ〟を提供することを企業スローガンにしている。新型レヴォーグはその理想形にかなり近づいた。
SUBARUレヴォーグSTIスポーツEX 主要諸元と主要装備
価格=6SAT 409万2000円(編集部調べ)
全長×全幅×全高=4755×1795×1500㎜
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント1550/リア1545mm
車重=1580kg
エンジン(レギュラー仕様)=1795cc水平対向4DOHC16Vターボ
最高出力=130(177)kW(ps)/5200~5600rpm
最大トルク=300(30.6)Nm(㎏m)/1600~3600/rpm
WLTCモード燃費=13.6km/リッター(燃料タンク容量63リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/45R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/自動無段変速機
●主要装備:アイサイトXテクノロジー(渋滞時ハンズオフアシスト+渋滞時発進アシスト+アクティブレーンチェンジアシスト+カーブ前速度制御+料金所前速度制御+ドライバー異常時対応システム)/アイサイトコアテクノロジー(プリクラッシュブレーキ+緊急時プリクラッシュステアリング+後退時ブレーキアシスト+AT 誤発進抑制装置+ツーリングアシスト+全車速追従機能付きクルーズコントロール+車線逸脱抑制機能ほか)/アイサイトセーフティプラス(スバルリアビークルディテクション+エマージェンシーレーンキープアシスト+アレイ式アダプティブドライビングビーム)/ドライバーモニタリングシステム/コネクティッドサービス(SUBARUスターリンク)/アクティブトルクスプリットAWD/電子制御ダンパー(ZF製)/ドライブモードセレクト/2ピニオン電動パワーステアリング/フルLEDロー&ハイビーム/ハンズフリーオープンリアゲート/レッドステッチ本革巻きステアリング/アルミパッド付きスポーツペダル/12.3インチフル液晶メーター/11.6㌅センターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステム/本革シート/前席電動調節機構/アクセスキー対応運転席ポジションメモリー機能/前後席シートヒーター/ダークグレーシリカ塗装フロントグリル/マフラーカッター/18インチアルミ/左右独立温度調節式フルオートAC/電動パーキングブレーキ
●ボディカラー:WRブルーパール
(提供:CAR and DRIVER)