「投資には興味があるけれど、何を選んだらいいかわからない」という女性は多いのではないでしょうか。そこで今回は、初心者や主婦の方におすすめの投資方法を6つ紹介します。
資金が少ない方でも始められるものや、長期で運用したい方向けのものなどをタイプ別に解説するので、自分にぴったりの投資方法を見つけてください。
投資方法をリスク別に6つ紹介 資金の少ない女性や主婦も投資できる?
投資には種類がたくさんあり、リスクやリターンの大きさも投資方法によって異なります。これが、「何を選んだらいいかわからない」という人が多い理由でしょう。
ここでは、投資方法をリスク・リターン別に3タイプに分けて紹介します。自分に合う投資にはどんなものがあるか、チェックしてみましょう。
資金が少ない女性や主婦、投資初心者におすすめ:ローリスク・ローリターンの投資
「資金が少ないのでリスクは避けたい」という方や、主婦の方でも手軽に始められる投資を紹介します。まったくの投資初心者は、ここで紹介するものから始めるとよいでしょう。
【個人向け国債】
・最低投資金額:1万円から
・投資を始めるには:銀行や証券会社、ネット証券などの金融機関で購入する。取り扱いのない金融機関もあるので、事前にチェックしておくとよい。
国が発行する債券を個人でも購入できるようにしたものが、個人向け国債です。国が発行しているものなので、安心感がありますよね。
1万円から購入できるので、「まとまった資金がない」という方でも始めやすいのではないでしょうか。元本割れの心配がなく、年率0.05%の最低金利保証もあります。リターンが少ない代わりにリスクも低いので、堅実な投資といえるでしょう。
【おつり投資】
・最低投資金額:「トラノコ」では5円以上1円単位(サービスによって異なる)。
・投資を始めるには:「トラノコ」ではホームページやアプリから投資口座を申し込む(サービスによって異なる)。
おつり投資とは、クレジットカードで買い物をするたびに、設定しておいた金額以下のおつりを投資に回すサービスのことです。おつり投資サービスには、「トラノコ」「マメタス」などがあります。
おつりという少額を積み立てていくため、大きなリターンは得られませんが、リスクも小さいといえます。
リターンが小さいため、これだけで資産を大きく増やすことは難しいでしょう。しかし、このような手軽なもので投資に慣れることは、初心者にとっては大切なステップといえます。
忙しい女性におすすめ:ミドルリスク・ミドルリターンの投資
ある程度資金に余裕がある女性には、ミドルリスク・ミドルリターンで、かつ長期的に投資していくものがおすすめです。
例えば、積立投資などは一度始めてしまえば自動的に投資されていくので、仕事や育児に忙しく「投資に時間をかけられない」という女性にも適しています。
【投資信託(積立)】
・最低投資金額:100円など少額から始められるところも。
・投資を始めるには:銀行や証券会社、ネット証券などの金融機関で口座を開設する。
投資信託とは、投資家から集めたお金を専門家が運用してくれる金融商品のこと。投資の知識やテクニックは、初心者が一朝一夕で身につけられるものではありません。投資信託なら、知識や経験が豊富な専門家が代わりに投資をしてくれるので安心です。
投資信託には、一括で投資する「一括型」とコツコツ積み立てていく「積立型」がありますが、ここでは「積立型」をおすすめします。長期にわたって定期的に一定金額を買い付けていくため、投資時期が分散され、リスクをある程度抑えることができるからです。
市場環境や運用成績によって利益を得ることもありますが、もちろん損をすることもあることを想定しておきましょう。
【株式投資(積立)】
・最低投資金額:1万円から。
・投資を始めるには:銀行や証券会社、ネット証券などの金融機関で口座を開設する。
定期的に少しずつ株を購入できるのが、株式の積立投資です。累積投資とも呼ばれます。購入のタイミングや資金を分散できるため、相場が下落してもリスクをある程度抑えることができます。その代わり、相場が上昇しても大きなリターンを得るのは難しいです。
一度スタートしてしまえば自動的に投資ができ、株の値動きなどを頻繁にチェックする必要はありません。忙しい女性には、嬉しい投資方法ではないでしょうか。
資金に余裕のある女性におすすめ:ハイリスク・ハイリターンの投資
資金に余裕があり、短期間で利益を出したいと考えている人は、一括購入で投資信託や株式投資にチャレンジしてもよいでしょう。ただし、安定して利益を出せるようになるには時間がかかることを理解した上で、取り組むようにしてください。
【投資信託(一括)】
・最低投資金額:1万円程度からのものが多い。
・投資を始めるには:銀行や証券会社、ネット証券などの金融機関で口座を開設する。
投資信託を一括で購入すると、購入時よりも価格が下がって損をするリスクがあります。一方で、大幅に値上がりすると大きなリターンを得られる可能性もあります。
損をするリスクがあるだけに、資金に余裕のある方におすすめしたい方法です。
【株式投資(一括)】
・最低投資金額:投資先によって異なる。数万円から始められるところが多い。
・投資を始めるには:銀行や証券会社、ネット証券などの金融機関で口座を開設する。
株式を一括で購入する方法は、株価が上昇すれば大きな利益を得られますが、株価が下落すれば損失をこうむることもあります。
銘柄の選定や売買のタイミングなどは専門的な知識が求められるため、初心者は難しいと感じるかもしれません。チャレンジする場合は、これらの知識を習得してから臨むようにしましょう。
「積立投資」と「一括投資」 2つの投資手法を理解しよう
前述のとおり、投資信託や株式投資では少額でコツコツ投資する「積立投資」と、まとまった金額を一度に投資する「一括投資」があります。どちらにもメリットとデメリットがありますが、その違いを簡単に解説します。
「積立投資」の投資手法
毎月、一定額をコツコツと投資していくのが「積立投資」です。100円から始められるものもあるので、投資に慣れていない方にもおすすめです。
<メリット>
・まとまった資金が不要
・一度設定すれば、自動的に投資される
・一定額を投資するので、価格が高い時の購入口数は少なくなり、安い時の購入口数は多くなる(購入価格が平準化される)
・値動きを頻繁にチェックする必要がない
<デメリット>
・短期間で大きなリターンを得るのは難しい
投資では、運用する時期によっても得られる利益や損失の大きさが変わります。なるべくリスクを避け、長い時間をかけてじっくり資産を形成したい場合は、積立投資が適しています。
「一括投資」の投資手法
まとまった金額を一括で投じるのが「一括投資」です。短期間で価格が上昇すれば、一気に大きなリターンを得られるのが特徴です。“投資”と聞くと、「一括投資」をイメージする方が多いのではないでしょうか。リターンが大きい分、リスクもデメリットも大きい投資方法といえます。
<メリット>
・短期間で大きなリターンを狙える
<デメリット>
・買うタイミングが難しい
・まとまった資金が必要
・投資の知識が必要
・投資にかける時間が必要
大きな損失をこうむる可能性もあるので、リスクを許容できる方に向いている投資方法です。また、市場分析や売買のタイミングなど、投資の知識も求められます。
なぜ今、女性が投資をしたいと思うのか
ここまで、投資にはどういった種類があるのかを説明してきました。「リスクが小さいものなら始められそう」と思った方もいるでしょう。一方で、「やってみたいけど、最初の一歩を踏み出せない……」という方もいるかもしれません。
そこで、世の中の女性がどのくらい投資に興味を持っているのか、その理由や背景について見ていきたいと思います。「投資に関心があるのは自分だけではない」ことを知れば、最初の一歩を踏み出せるかもしれませんよ。
約4割もの女性が投資に「興味あり」 背景には将来への不安がある?
2020年6月にソニー銀行が20~54歳の女性に行ったアンケートでは、約4割もの女性が「投資に興味がある」と回答しています。銀行預金だけでは資産がほとんど増えない今、投資に興味を持つ女性が増えているようです。
女性は男性に比べて平均年収が低いことや、いわゆる「長生きリスク」があるということも、女性が将来に不安を抱く要因でしょう。これらについて、詳しく見ていきましょう。
男性に比べてこんなに低い 女性の平均給与は約293万円
国税庁の民間給与統計実態調査(2018年)を見ると、男女の平均給与には大きな開きがあることがわかります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
平均給与 | 約545万円 | 約293万円 |
男女の差は、実に約252万円。妊娠・出産などのライフステージの変化が仕事に影響を与えやすいことが、女性の平均給与が低い要因の一つと考えられます。
給与が低いため将来が不安なことは、女性が投資に興味を持つ理由の一つでしょう。
女性の“老後”は男性よりも6年長い!女性の平均寿命は約87歳
女性の平均寿命は、87.32歳。男性の平均寿命は81.25歳なので、女性のほうが6年ほど長生きすることになります。
つまり、女性は男性よりも老後資金を6年分多く貯める必要があるのです。長生きするのは良いことですが、その分お金がかかります。
「少しでも資産を増やしたい」と、投資に興味を持つ女性が多いのもうなずけます。
その貯蓄額で大丈夫?女性の平均貯蓄額
2016年に公開された総務省の「全国消費実態調査」によると、独身女性の平均貯蓄額は以下のとおりです。やや古いデータではありますが、世の女性がどのくらい貯蓄しているのか、おおよその金額はわかるのではないでしょうか。
女性の平均貯蓄額 | |
---|---|
30歳未満 | 147万円 |
30~39歳 | 384万円 |
40~49歳 | 936万円 |
50~59歳 | 1,376万円 |
60~69歳 | 1,650万円 |
70~79歳 | 1,344万円 |
1,000万円以上の貯蓄額は一見十分な金額に見えますが、長い老後生活ではこの貯蓄額でも赤字になる可能性があります。
女性がもらえる年金は、国民年金と厚生年金を合わせても年間約131万円、月に10万円ほどしかありません。なお、これは在職中の平均収入額や生年月日によっても変わります。
前述の女性の平均寿命から考えると、女性の老後は20年以上続く可能性が高いです。生活するだけでなく、旅行や趣味にもお金を使いたいのであれば、その分の貯蓄も必要です。
女性の「健康で働けるうちに、効率的に資産を増やしたい……」という思いが、投資への興味につながっているのではないでしょうか。
女性が「投資をして良かった」と思う瞬間は?
実際に投資をしている女性は、どう感じているのでしょうか。女性の投資経験者に「投資をしてみてどうだったか?」とお聞きしました。その声の一部を紹介します。
「無難におつり投資から始めてみると、増えていくのが楽しくて。それから投資に興味を持つようになりました。今はネット証券に口座を開設して、つみたてNISAで毎月の生活費の残りをコツコツ投資しています。プラスになっているとやっぱり嬉しい」(50代女性・既婚・パート勤務・投資経験2年)
「5年くらい前から個人向け国債を買っています。投資は興味あるけれど、元本割れはやっぱり怖い。個人向け国債なら元本保証だし、1年経てば解約もできるので、いざという時に安心です。老後資金の心配もあるし、今後も国債は続けたい。自分には国債が性に合っているみたい」(40代女性・専業主婦・投資経験5年)
「ネオモバで株を買っています。たまったTポイントで株を買えるし、1株単位で購入できるのが良い。購入を続けると株主優待をもらえるのが嬉しい。投資は難しいと思っていたけど、やってみると楽しくて、景気の良し悪しにも敏感になりました」(40代女性・既婚・パート勤務・投資経験1年未満)
もちろん投資にはリスクもあるので、プラスのことばかりではないでしょう。しかし、投資に取り組んでいる女性からは、前向きな意見が多く聞かれました。
女性が投資を始めるために
「投資を始めたい」と思っても、「何から始めていいかわからない」という方は多いでしょう。そこで、ここからは投資生活をスタートするための準備について説明したいと思います。
いつまでにいくら増やすかを決める
資産を増やそうと思ったら、まず「何歳までにいくら必要なのか」を計算して、目標金額を決めましょう。「60歳までに1,000万円」といった具体的な目標を決めておかないと、毎月どれくらいのペースでどのように投資をすればいいかわからないからです。
「どのくらいの金額を目標としたらいいかわからない」という人は、先ほど紹介した「女性の平均貯蓄額」を参考にするとよいでしょう。
投資は、思ったとおりにお金が増えるものではありません。目標金額を下回ることも十分考えられます。とはいえ、目標を設定しておくことは大切です。「60歳までに1,000万円」といった目標があると、しなければならないことが見えてくるからです。
無駄な出費を削減する
少額で投資できる商品もありますが、ギリギリの生活費から投資にお金を回すのはおすすめしません。支出を削減して、少しでも余裕資金を作るようにしましょう。
「支出を減らせと言われても、何を削ればいいかわからない」という人もいるでしょう。支出を減らすためには、日々の生活を振り返ってみることが大切です。
支出を減らすために、まずは1ヵ月間家計簿を付けてみることをおすすめします。ノートやアプリなどを利用して、どんな支出があるか把握しましょう。
1ヵ月間の記録を振り返ると、気づくことがあるはずです。例えば、毎朝の習慣になっているコンビニのコーヒー。1日わずか100円だとしても、毎日買うと1年で3万6,000円になります。他にも、同じような服を買っていたり、不要な化粧品を買ったりしていないか、チェックしてみましょう。
無駄な出費を減らすためには、「これって本当に必要?」と振り返ることがとても大切です。
投資と並行して貯金を進める
投資と並行して、貯金も進めていきましょう。
銀行の預金だけでは資産はほとんど増えないとはいえ、貯金ゼロという状態は避けたいもの。いざという時にすぐに使えるお金として、やはり貯金は必要です。
「収入から支出を引いた残りを貯金に回す」というやり方では、いつまで経っても貯金は増えません。お給料が入ったら、まず毎月の貯金額を差し引いて、残りのお金で生活するようにしてください。こうすれば、毎月貯金が確実に増えていきます。
女性が初めて投資をするならiDeCoやつみたてNISAを活用しよう
アンケートでは「投資をして良かった」という意見が多く見られましたが、「それでも投資は不安」という方もいるでしょう。そんな方は、iDeCoやつみたてNISAを活用してみてはいかがでしょうか。
どちらも運用で得た利益には税金がかからないなど、メリットの大きい制度です。
iDeCo 非課税の優遇を受けつつ老後資金を準備したい人向け
iDeCoは老後資金を自分で作る制度で、運用で得た利益には税金がかかりません。また、投資した金額のすべてが所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されます。
iDeCoでは、原則60歳まで資金を引き出すことができません。非課税の優遇を受けて、しっかりと老後資金を準備したい方はiDeCoを利用するとよいでしょう。
つみたてNISA 運用益は20年非課税、途中解約もできる
つみたてNISAは、少額からの積立と長期・分散投資を支援する制度です。1年間に投資できるのは、40万円まで。投資で得た運用益は、20年間非課税です。
教育資金や住宅購入資金などを投資で準備したい方は、途中解約ができるつみたてNISAのほうが向いています。iDeCoとつみたてNISAは併用することもできるので、投資目的に応じて組み合わせてもよいでしょう。
投資で資産はどのくらいになる?シミュレーションしてみよう
ある女性を例に、投資のシミュレーションをしてみましょう。
<例>
・属性:30歳女性、会社員
・現在の貯金額:100万円
・資産目標:1,000万円
・目標年齢:50歳
この女性が50歳までに1,000万円を貯めるには、20年間であと900万円貯めなければなりません。
ボーナスがなければ、毎月3万7,500円を貯める必要があります。しかし、この女性は毎月3万円までしか貯められないとします。
毎月3万円以下の積立で、50歳時点で貯金額を1,000万円にする方法を考えてみましょう。例えば「年利4%の投資信託」を運用すれば、目標額に到達する可能性があります。
金融庁ホームページにある「資産運用シミュレーション」を使って、シミュレーションをしてみました。
・毎月3万円×年利4%×228ヵ月(19年)=936万6,172 円
この投資信託で毎月3万円を積み立てると、19年で目標額(900万円)を超えることがわかります。
毎月2万7,000円でも、20年で目標金額を上回ります。残りの3,000円は、趣味や旅行のために別に積み立ててもよいでしょう。
・毎月2万7,000円×年利4%×240ヵ月(20年)=902万7,905 円
このように、自分が毎月積み立てられる金額から逆算すると、「いつまで、何に、いくら」投資すればよいかがわかります。年利4%を約20年間キープできるとは限りませんが、参考にはなるのではないでしょうか。
目標とする金額を達成できる投資方法を選択することは、非常に大切です。
将来のための「投資」 忙しくても資金が少なくても一歩を踏み出そう
「忙しいから」「資金が少ないから」と、最初の一歩を踏み出せない女性は少なくないはず。しかし、少額でできるものやほったらかしで運用できるものなど、手軽に始められるものもたくさんあります。何事も、最初の一歩を踏み出す時が一番大変です。まずは自分に合う投資商品を選んで、少額から運用を始めることをおすすめします。
文・ことりえ
所属・ファイナンシャルプランナー
奈良県在住のフリーライター。長年生命保険の営業に従事した後、ライターとして独立。会計・税務・保険の記事を中心に執筆活動をしています。FP資格保有
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