日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、4日に開催された自民党「予算・ 税制等に関する政策懇談会」で、21年度の税制改正の暗号資産要望書を提出したことがわかった。JCBAが12日に公開した。
これは自民党が業界団体と行った「令和3年度予算・税制・一般政策」の要望聴取と意見交換を実施したことで実現した。
暗号資産(仮想通貨)業界団体からは、JCBA会員でビットバンク株式会社代表取締役の廣末紀之氏らが出席した。
JCBAは一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と連名で作成した要望書で税制改正を求めただけでなく、暗号資産市場の現状や、実社会における活用事例等に関する説明を行なった。
要望書は「2021年度税制改正に関する要望書」と題し、自民党に提出された。
要望書の骨子は以下の3点。
【1】暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。
<両協会の見解>
「金融商品先物取引等の決済については先物取引に係る雑所得等の課税の特例として20%の分離課税となるところ、これと同様に、暗号資産のデリバティブ取引については20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から 繰越控除ができることを要望する」
【2】暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失について は翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする。
<両協会の見解>
「暗号資産交換業者を含む複数の暗号資産取引所やウォレット、サービスの間で送金・受取が起きるため、暗号資産の取得単価を各事業者が把握できないという暗号資産取引の性質上、 納税義務者からの自主申告による徴税を行う必要がある一方、その確定申告に必要な損益計算 は非常に煩雑であり、要申告者が確定申告を行わないことも危惧される」「しかしながら、現状、暗号資産による利益は分離課税対象とはされておらず、このことが利用者による適正な申告を妨げている側面がある。そこで、分離課税によるメリットを享受できる機会を設け、同時に暗号資産交換業者を中心に税計算の簡素化も実現できる取り組みは、より健全な納税環境の整備を推進するものと思料する」
【3】暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する。
<両協会の見解>
「暗号資産取引について、20万円までの利益にかかる非課税制度を導入することが、既存の制度との整合性の観点から適切である」「暗号資産によるモノ、サービス購入時は、その時点で含み益があれば実現したとして課税となるが、実務上、決済利用の都度含み損益の計算を行うことは非常に困難である」「公平・ 公正な税の実現という税制の目的からも、暗号資産の複合的な性格を踏まえつつ他の決済手段と劣後させない少額非課税制度の導入が求められていると思料する」
JCBAは今年7月、JVCEAと暗号資産税制改正を求める事項を共同で整理したことをブレスリリースで発表した。
その時に要望するとしていた暗号資産税制改正を、今回の懇談会で提出した格好だ。(提供:月刊暗号資産)