メキシコ・ケレタロは、メキシコシティから2時間半の位置にあり、1700年代に建設された水道橋や巨大な一枚岩「ペニャ・デ・ベルナル」などが有名な都市です。

ユネスコ世界遺産に登録されている歴史的建造物地区は、修道院や協会などヨーロピアン調の街並みが特徴で、植民地時代の名残を残すコロニアル様式の建築物が立ち並んでいます。

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(画像=STOnlineより)

今回、米国の不動産セキュリティトークン企業「Vertalo」と機関投資家向けのサービスを提供している不動産テック企業「MountX Real Estate Capital」は、Tezosブロックチェーンを活用し、メキシコ・ケレタロに存在するアパートをトークン化しました。

本稿では、不動産セキュリティトークン化のメリットについて解説し、不動産市場におけるTezosブロックチェーンの活用事例について紹介していきます。

目次

  1. 不動産セキュリティトークン化のメリット
  2. 不動産市場におけるTezosブロックチェーンの活用事例
  3. まとめ

不動産セキュリティトークン化のメリット

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(画像=STOnlineより)

各国の不動産投資市場ではブロックチェーン技術の活用が行われており、不動産の所有権をデジタル化し、より多くの投資家に提供することで、流動性の向上が期待されます。

日本でも不動産特定事業法に準拠したスキームで不動産STOが実施されるなど、市場形成が進行しており、従来のビジネス構造の非効率性を改善し、コスト削減を図ることで、より小規模な不動産も投資対象として活用することが見込まれています。

また、不動産市場における新たなエコシステムの拡大といった意味でも不動産トークンは大きな注目を集めており、これまで不動産投資を始めたことのない人でも少額で投資が行えるといったメリットを提供することが期待されます。

一方で、すでに市場ではクラウドファンディングやソーシャルレンディングプラットフォームにおいて小額からの不動産投資が実現されており、今後はより手触り感のある(透明性の高い)投資として不動産STOはポジションを確立することが日本では検討されています。

ポートフォリオを組み個別の不動産リスクが見えにくいREITよりも透明性が高く、単一の不動産への投資を少額で実現できる手法として不動産STOはどのようにクラウドファンディングやソーシャルレンディングと差別化を図るべきなのか?といった課題に対して、ブロックチェーンエコシステムの活用は非常に重要となることでしょう。

「Vertalo」と「MountX Real Estate Capital」は、2021年初頭までにメキシコとカナダを中心に15の不動産セキュリティトークンプロジェクトを計画しています。

ブロックチェーン技術が不動産市場にもたらす可能性について積極的な検証と実践を推し進める「Vertalo」ですが、CEOであるDaveHendricksは今回のプロジェクトについて下記のように述べています。

「MountXは、北米およびラテンアメリカの不動産テック業界にサービスを提供するためにデジタルアセットテクノロジーの模範的な利活用を推進しています。

この取り組みのキーポイントはコスト管理です。トークン化が低価格のアセットで機能する場合は、予測できない手数料と高いガスコストが二次取引時の投資家の利益を減少させないTezosなどのブロックチェーンを活用することが重要です。

MountXの共同創設者兼CEOであるEnriqueSuarezが率いるこのような素晴らしいチームとともに、革新的で資本効率の高いテクノロジーをグローバルに実装する機会を得られたことを嬉しく思います。」

デジタルアセットのエコシステムは拡大を続けており、世界最大のアセットクラスである不動産を対象にしたデジタルな投資商品の開発/提供は大きなニーズを秘めていると言えます。

on-chain shareholder registry with triple-entry bookkeeping:デジタルなタイムスタンプによる三式簿記形式の株主名簿

API connections to broker-dealers:ブローカーディーラーへのAPI接続

custodians:カストディアン

portable eligibility with KYC/AML investor verification processes:KYC / AML投資家検証プロセスの効率化、適格性データの即時提供

secondary liquidity via partner ATS’s:提携するATS(セカンダリーマーケット)での取引(流動性提供)

key-less custodial blockchain wallets via Vertalo. :Vertaloキーレスカストディアンブロックチェーンウォレット。

「Vertalo」と「MountX Real Estate Capital」が手がけるプロジェクトにおける不動産セキュリティトークン化のメリットとしては上記のような事項があげられ、このようなユースケースを参照に各国で議論が活性化することが期待されます。

不動産市場におけるTezosブロックチェーンの活用事例

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メキシコ・ケレタロにおける不動産トークンプロジェクトのみならず、Tezosブロックチェーンの活用はサウジアラビアでも行われています。

Aqarchainは、リヤドを中心に住宅、商業、小売を対象とした不動産事業を展開しており、Tezosブロックチェーン上に不動産投資プラットフォームを構築。

不動産をトークン化することで、所有権、アセットの特性、法律の準拠、過去の実績、財政状態に関する情報などをブロックチェーン上にデジタルに記録することができます。

Aqarchainは、機関投資家向けにグローバルな不動産投資の機会を提供することを目指しており、AqarchainのCOOであるHaithamAlHammadiは次のように述べています。

「Tezosプラットフォームの利便性、堅牢なセキュリティにより、インフラストラクチャ/ビジネスモデルへの適応が可能となります。Tezosはシャリーアコンプライアンス証明書を取得しました。これにより、投資家に万全のシャリーアコンプライアンス投資オプションを提供できます。これにより、投資家の範囲を広げることができます。」

Tezosブロックチェーンは、シャリーア/イスラム法に準拠した不動産トークンの発行を可能とするためにサウジアラビアをはじめとして様々な地域で利活用が行われることでしょう。

まとめ

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メキシコとサウジアラビアにおける不動産セキュリティトークンのユースケースを見てきましたが、どちらのプロジェクトにおいても「テクノロジーを活用し、より多くの投資機会を提供することで、さらなるエコシステムの拡大を図る」ことが目指されています。

様々なブロックチェーン技術が存在していますが、Tezosブロックチェーンは、独自の法的要件に準拠する際にも活用されており、世界的にもその存在感を発揮しています。

不動産のみならずあらゆるアセットのトークン化は今後も進むことが予想され、各国の企業がデジタル化への対応と共に、より最適化された投資のあり方を検証する中で、先駆的な取り組みを行う企業が有する技術力に大きな期待が寄せられています。(提供:STOnline