中小企業や小規模事業者が設備投資を行う場合に活用できる制度は数多くあります。このうち、中小企業投資促進税制は、機械装置やソフトウエアなどを導入する際に税金を安くできる制度です。中小企業投資促進税制について、基礎知識や注意点を解説します。

中小企業投資促進税制とは?

中小企業投資促進税制,財務基盤
(画像=kinwun/stock.adobe.com)

中小企業投資促進税制は、中小企業の「攻めの投資」を後押しする目的で設けられた、法人税を安くできる控除制度です。中小企業における積極的な設備投資を後押しし、「生産性革命」の実現に向けて、適用期限が2020年度末まで延長されています。

中小企業投資促進税制の内容 

中小企業投資促進税制では、中小企業者などが事業に利用する目的で、新品機械の導入など一定の設備投資を行った場合に、特別償却または税額控除の適用を受けられます。対象となる設備は以下の通りです。

・1台160万円以上の機械および装置
・1台120万円以上または、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上の、測定工具および検査工具
・1つ70万円以上のソフトウエア
・車両総重量3.5トン以上の貨物自動車
・内航船舶(取得価額の75%が対象)

中小企業投資促進税制に対象となるのはどのような企業か

中小企業投資促進税制を利用できる対象者には、資本金額1億円以下の法人や従業員数1,000人以下の個人事業主などが設定されています。対象業種は、製造業・建設業・農業・林業・漁業・卸売業・小売業・料理店業などです。

特別償却制度と税額控除制度

中小企業投資促進税制では、対象設備の取得価額における30%の特別償却か、7%の税額控除(該当事業年度の法人税額の20%が限度)のどちらかを選択適用できます。なお、両方の制度から選択できるのは、資本金3,000万円以下の中小企業や個人事業主に限り、資本金3,000万円超の中小企業が適用できるのは特別償却制度のみです。
また、税額控除につき、その年に控除できなかった控除額については、その翌年度のみ、繰越すことが可能です。

手続きは確定申告で行う

中小企業投資促進税制は、青色申告書を提出する中小企業者などが利用できます。法人と個人事業主で必要書類や手続きの方法が異なるため、申告する際は注意が必要です。

法人の場合、特別償却なら「特別償却の付表」を、税額控除なら「別表」を確定申告書に添付しなければなりません。また、個人事業主の申告では、税額控除を選択した場合のみ、「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を添付する必要があります。

設備投資をしたときに活用できるそのほかの制度

中小企業や小規模事業者向けの税制としては、中小企業投資促進税制以外にもさまざまな制度があります。主な制度と概要は以下の通りです。

・中小企業経営強化税制
中小企業等経営強化法による認定を受けた設備投資を行った場合に、即時償却および10%の税額控除のいずれかを選択適用できる制度です。

・商業・サービス業・農林水産業活性化税制
商業やサービス業を含む中小企業者などが、建物附属設備または器具・備品を導入した場合に、所得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を適用できる制度です。

中小企業投資促進税制で注意する点

注意すべき点は主に2つあります。

ソフトウエアに関する要件と車両に関する要件は複雑

中小企業投資促進税制で対象となる設備のうち、ソフトウエアに関しては、開発研究用のものや一部のサーバー用OSなど、対象設備として判定されないものがあります。また、車両に関しては、貨物運送用であっても、小型自動車は対象資産に該当しません。

中古品は対象外となる

中小企業投資促進税制における対象設備は、原則として新品に限ります。中古品や貸付品を設備として導入しても、基本的には対象外です。

さまざまな税制上の措置を有効活用しよう

資金繰りや税負担で悩んでいる中小企業にとって、中小企業向けに用意されたさまざまな税制上の措置はとてもありがたい存在だといえます。経営上の課題解決や経営戦略に応じて、中小企業投資促進税制をはじめとした制度を積極的に活用しましょう。(提供:企業オーナーonline


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