株式投資には以前は数十万円・数百万円といったお金が必要でした。お金持ちがするものというイメージを持っていた方も多いでしょう。しかし今は、子どものお小遣いのような金額で株式投資に取り組めるサービスを持つ証券会社も増え、挑戦するハードルがかなり下がっています。少額から株式投資に取り組んでみたいという方に向けてポイントを解説します。

株式投資とは?

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(画像=PIXTA)

株式投資では、配当金、株主優待、値上がり益という3種類の利益の出し方があります。どれを狙うのかによって、選ぶべき投資先が変わってきます。「株式投資」とはどのようなものなのか整理しておきましょう。

株主になると得られる配当や株主優待

「株式(株)」とは、企業が資金調達のために発行するものです。株式は一般的に株式市場というところで売買され、購入するとその購入分に応じて会社のオーナー(株主)としての権利を得られます。

株主としての権利があれば、株主総会を通じて会社の経営に参加したり、会社の利益が出た時に「配当金」を受け取ったりすることができます。

会社によっては、「自社の株式を保有してくれてありがとう」といった意味で株主にプレゼントを送っている場合があります。これが「株主優待」です。

株式の価格変動による利益と損益

株式の価格(株価)は常に変動しているため、安いときに買って高いときに売ればその差額が自分の利益になります。これが「値上がり益」です。

少額から投資ができる単元未満株

株式は通常100株を1単位として取引されています。1株1万円の会社であれば、投資するために約100万円の元手資金が必要になります。ただそれでは投資のハードルが高くなってしまうので、近年では「単元未満株」として100株に満たない株式(1株~)でも売買できるしくみを整えている証券会社も増えてきました。

単元未満株であれば、元手資金わずか数百円からスタートできます。また、なかには普段のお買い物で貯めたポイントを使って投資できるサービスを提供しているところもあります。もし運用に失敗してもダメージが少なく、初めてでも気軽に取り組みやすいでしょう。

少額から株式投資を始める方法

株式投資を始めるには、次の2つの手順を踏む必要があります。

手順1.証券会社の口座を用意する

株式投資を始めようと思ったら、まずは証券会社に口座を開設するところからスタートです。

証券会社は「どこも同じ」ではありません。同じ取引をしても、会社によって支払う手数料が違います。当然ですが、手数料は安い方が自分に有利です。

また証券会社の中には、単元未満株の売買ができない会社もあります。少額で株式投資を始めたいという希望がある方は、最低限、単元未満株の取り扱いがあるかどうかは確認しておきましょう。単元未満株は証券会社ごとに「まめ株」「S株」「ワン株」など別の呼ばれ方をしている場合もあります。

証券会社を選んで口座開設の手続きをすれば、数日程度で自分の口座ができます。口座ができたら、そこに投資の元手となる資金を入金しておきましょう。

手順2.投資先となる会社を選んで購入手続きをする

株主優待を目的に投資する人もいれば、有名な大企業に投資して安定的に配当金をもらうことを目指す人、これから成長しそうな中小企業を探して値上がり益を狙う人など、さまざまな投資手法や選び方があります。

初心者ならまずは身近な会社で、数百円で購入できるような株から挑戦して、様子を見て慣れてきたら徐々に拡大するという作戦をとるのもおすすめです。失敗しても生活に支障がないような金額で取り組めるのが少額の株式投資のメリットですので、それを最大限活かしましょう。

投資先を選んだら、あとは証券会社の手続き方法にしたがってその会社の株式を購入します。購入が済めば株式投資の第一歩、投資家デビューを果たしたことになります。

株の少額投資ができる証券会社やアプリ5選

前述の通り、株式投資に挑戦するためにまず必要なのが証券会社の口座です。ここでは単元未満株の売買ができる証券会社を5つ紹介します。

証券会社名 サービス名 単元未満株に
関する手数料
特徴
SBI証券 S株 1注文あたりの約定代金×0.550%(税込)
最低手数料:55円(税込)
インターネット系の
証券会社の最大手
LINE証券 いちかぶ スプレッド
時間帯や投資先により異なる
0.2%~1.0%
トークアプリ「LINE」内
で株の売買ができる
SBIネオモバイル証券 S株 月額固定制
月間の約定代金合計額
50万円まで:月220円(税込)
Tポイントで株が買える
SMBC日興証券 日興フロッギー スプレッド
買付手数料(100万円以下):無料
売却手数料(100万円以下):0.5%
投資に関する記事を
読みながら株が買える
PayPay証券
・iOSの方はこちら
・Androidの方はこちら
- スプレッド
時間帯により異なる
0.5%~1.0%
単元株数だけではなく
金額単位で取引でき、
米国株も買える

手軽に手続きできること、手数料が安い傾向があることなどから、実店舗を構える従来の証券会社よりもインターネットでの手続きをメインとする「ネット証券」がおすすめです。

SBI証券

SBI証券はネット証券の最大手です。単元未満株はもちろん、その他にもさまざまな投資商品をそろえていてラインナップが豊富です。

専業投資家が使っているような本格的な取引ツールも利用できるので「少額投資に慣れたら、もっと深く投資の世界に飛び込んでいきたい」という意欲的な方にもぴったりです。

SBI証券のココがおすすめ!
・ネット証券最大手ならではの充実した商品ラインナップ
・投資信託の取り扱いが豊富
・NISA、つみたてNISA、iDeCoすべてに対応
・株式は1日50万円までなら無料で取引できる(アクティブプラン)
※50万円未満の取引でも、いったん手数料が取られ、翌日返還される

LINE証券

LINE証券は、トークアプリ「LINE」の系列会社です。LINEが入っているスマホなら、新しくアプリをダウンロードしなくても手軽に株取引ができるようになります。

LINE PayやLINEポイントにも対応しています。ネット証券の中でもさらにスマホでの取引に特化した「スマホ証券」として、特に若い世代に人気です。

LINE証券のココがおすすめ!
・20代投資家が選ぶ「スマホ利用で使いやすい」ネット証券No.1
・株式購入時の手数料が0円、売却時のみに手数料がかかる
・LINE Payからの入金、LINEポイントでの投資に対応
・有名企業を1株から購入できる「いちかぶ」がある

SBIネオモバイル証券

先述のSBI証券と同グループの会社ですが、こちらは「スマホ証券」寄りで取扱商品も厳選されています。より初心者向きといえるでしょう。

Tポイントを使って株を購入できるのが特徴で、1株からIPO(新規公開株式)に申し込める「ひとかぶIPO」や100円から株の積立投資ができる「定期買付」といったサービスもあります。

SBIネオモバイル証券のココがおすすめ!
・Tポイントを使って株が買える
・1株から株を購入できる「S株」に対応
・1か月50万円までの取引なら、手数料は実質月額20円で固定

日興フロッギー(SMBC日興証券)

日興フロッギーは、SMBC日興証券が2016年にスタートさせた投資やお金に関する記事が読める情報サイトです。2019年からは「記事から株が買えるサービス」として、記事内に出てきた銘柄を簡単に購入できるしくみが導入されました。

100円から株が購入でき、dポイントも利用できるということで、通常のSMBC日興証券のサービスより気軽に少額投資を始めたい人向けになっています。

日興フロッギーのココがおすすめ!
・100円から株が買えるサービスを展開
・dポイントで投資ができる
・100万円以下なら買付時の手数料は無料
・さまざまな企業が紹介される記事を起点に、学びながら投資ができる

PayPay証券

スマホ証券の先駆けとも言える会社で、購入手続きがスマホで数タップするだけで完了する手軽さを売りにしています。この会社では株数単位の購入ではなく「1,000円」など金額単位で購入します。日本株だけでなく米国株も少額で取引できるのも特徴です。

PayPay証券のココがおすすめ!
・1000円から日本・米国の株を購入できる
・銘柄選択から購入までわずか3タップの簡単操作で取引が完了
・「つみたてロボ貯蓄」、「誰でもIPO」など関連サービスも充実

株の少額投資によくある質問(Q&A)

株の少額投資をするうえで疑問を持ちやすいポイントについて解説します。

NISAなどの非課税枠は使える?

NISA(ニーサ)とは「少額投資非課税制度」とも呼ばれる制度です。利用すると、投資で得た利益にかかる税金(通常約20%)が非課税になるというメリットがあるため、これから投資を始めるならぜひ押さえておきたい制度です。

NISAでは株式投資も非課税の対象になっています。また日本株だけでなく外国株も選択できます。ただし、証券会社によっては NISA に対応していない場合もあります(スマホ証券に多い)。加えて、NISA口座での単元未満株の売買ができない会社もあるので確認しましょう。

また、投資に関する非課税制度にはほかにも「つみたて NISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」もありますが、これらの制度では株式投資は対象外になります。(株式を投資対象とした「投資信託」なら対象になる場合があります。)

確定申告は必要?

株式投資に関する確定申告は「必要な場合」「必要はないけど、した方がお得な場合」「しなくていい場合」の3パターンがあります。

まず確定申告が確実に必要なのは、 NISA 枠を使っての投資ではなく口座の種類が「特定口座(源泉徴収あり)」ではない人の給与所得・退職所得以外の所得が20万円以上となる場合です。

必要はないけどした方がお得な方は、投資で損失が出た(マイナスになった)方です。損失が出た場合、確定申告をすることで損益通算(プラスが出た分とマイナスが出た分を合算して相殺すること)ができます。つまり、税金が安くなるということです。

相殺しきれないほど大きな損失になった場合は、翌年も続けてプラス分から差し引くことができる「繰越控除」というしくみもあります。ただし、NISA口座では損益通算や繰越控除ができません。

単元未満株では買えない銘柄もあるって本当?

単元未満株を購入できる銘柄は、証券会社によって異なります。「東証に上場している銘柄」としている会社もあれば、その中でも証券会社が独自に選んだ銘柄だけとしている会社もあります。いずれにせよ単元未満株への投資は、通常の株式投資より選べる範囲が狭いことがほとんどです。

単元未満株で株主優待はもらえるの?

以前は単元未満株の投資というと株主優待はないのが普通でした。しかし近年は単元未満株を購入する方も増えてきたため、1株だけ保有している株主にも優待を用意する企業も出てきています。

ただ、そもそも株主優待の制度がない会社もありますし、「100株以上保有」など制限を設けている企業もあります。株主優待を狙った投資をしたいのであれば購入前に必ず確認しましょう。

株の少額投資をする場合の注意点は?

株式投資は一般的に、大きな金額を投資するほど手数料が割安になるしくみです。そのため単元未満株で数百円程度の売買を何度も行うと、投資額に対して手数料が割高になりやすいので注意しましょう。

また、「少額で挑戦できるので失敗してもマイナスが少ない」というメリットは「少額しか投資していないので運用がうまくいってもプラスが少ない」というデメリットと表裏一体です。リスクを抑えると期待できるリターンが少なくなり、大きなリターンを求めるとリスクが高くなるのが投資の原則です。

株式投資は手軽に始められる

株式投資は今や元手資金が少なくても、まだあまり知識がなくても、気軽に取り組めるようになっています。数百円だけの投資でも銘柄選びや購入の手続きなどは本格的な投資と同様です。まずは「お試し」や「練習」のような感覚で、気軽に挑戦しながら徐々に知識を身に着けていきましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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