外貨を売買して為替差損による利益を狙うFXには、投資効率の高さや取引に必要な情報の公平さなど個人投資家にとってのメリットが多く高い人気を誇っています。一方で「FXはハイリスク」というイメージが強いため、気になってはいるものの尻込みしてしまっている人は多いかもしれません。しかしそんなFXの世界に新しい潮流が起きていることをご存じでしょうか?
それは、自動売買です。自動売買プログラムに売買ロジックを組み込んであとはそのプログラムが相場の動きに対応しながら自動的に売買を繰り返します。投資家が自らの判断でトレードをすることを裁量トレードといいますが、近年は「FXの世界では裁量トレードと自動売買の比率が逆転するのではないか」といわれるほど自動売買の存在感が大きくなっているのです。
そこで今回はFXの中でも自動売買にスポットを当て自動売買の基礎知識について解説します。自動売買の魅力は何といっても「放ったらかし」で利益を上げられることなので「日ごろ忙しく取引する時間がない」「FXのことをあまり勉強することなく利益を上げたい」と考えている人にもぜひ知ってもらいたい内容です。
FXの世界では自動売買の存在感が拡大中
FXの経験を積めば積むほど自動売買に参入する人が多くなるともいわれています。その理由はいくつかありますが最大の理由は「楽だから」に尽きるでしょう。熟練のFX投資家は、自分の売買ロジックを持っています。それがマニュアル化されているのであれば「いっそのことそれをプログラム化して自動的に取引を行ったほうが楽」というわけです。
自動売買を導入することで24時間動いている外為相場でチャンスを逃さず利益に結び付けることが期待できます。またFXの特徴が自動売買との親和性を高めてくれるでしょう。FXの主戦場ともいえる外為市場はチャートから読み解ける売買シグナルで動きやすく、テクニカル分析による自動売買を行うプログラムにとっては好都合です。
すでに外為相場がテクニカル主導になっているのは「自動売買による出来高が多いため」ともいわれています。大口の投資家は、大規模な資金を自動売買で運用しているため、以前と比べても自動売買による影響が大きくなっているのです。すでにFXの世界では自動売買が市民権を獲得していて、今後その傾向は強まっていく流れにあります。まずは、FXの現状をしっかりと押さえておきましょう。
なぜFXは自動売買との親和性が高いのか
自動売買は、株や先物など他の投資でも可能です。しかしその中でもFXの自動売買が最もポピュラーで個人投資家にとっても参入しやすい環境が整備されているといえるでしょう。この理由には、外為相場の特性がかかわっています。多くの通貨は、長期的にレンジ相場となっており、一定の範囲内で行ったり来たりしていることが多い傾向です。
株式のように一方的な相場展開になりにくく、テクニカル分析が機能しやすいことは、自動売買プログラムとの親和性を高めてくれます。また長期的なレンジ相場という特性上、外為相場には回帰性もあるのです。回帰性とは、あるレートをつけた通貨がいつかはまた同じレートに戻ってくる動きのことを指します。
FXの自動売買には、リピート系といって一定の値幅内に売買注文を行い、小刻みに利益を取っていく仕組みがありますがレンジ相場の場合は、こうしたリピート系自動売買も機能しやすくなるのです。
FXの自動売買には2つの種類がある
FXの自動売買には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
・テクニカル系自動売買プログラム
テクニカル系自動売買プログラムは、テクニカル分析によって得られた売買シグナルに基づいて売買注文を出し利益を狙う自動売買プログラムです。最も有名なのはMT4やMT5といった売買プラットフォーム上で動作するEAで、すでに多くの自動売買プログラムが発表され稼働しています。なお、MTとは「Meta Trader」の略で、EAとは「Expert Adviser」の略です。
その他にもミラートレーダーというプラットフォームで稼働するストラテジという自動売買プログラムもあります。こうしたEAやストラテジについては開発者が自身の売買ロジックをプログラム化して販売していることが多くその売買ロジックは明かされていないことが大半です。
・リピート系自動売買
次にFXの自動売買で有名なのがリピート系です。これは一定の値幅の中に一定間隔で売買注文を並べておいて、値動きがあれば一番近くの注文が約定してポジションを持ち、その後の値動きで利益を確定するといった仕組みです。「そもそも外為相場はランダムウォーク」という考え方のもと「値動きを予測するのではなく動きがあればそれを利益にする」という考え方に基づいています。
最も有名なのは、マネースクエア社の「トラリピ」でしょう。同社は、このトラリピで特許も取得しています。その他には、インヴァスト証券の「トライオートFX」、アイネット証券の「ループイフダン」などがあります。リピート系の売買ロジックは「ただ並べるだけ」のため、非常にシンプルかつ売買ロジックが明かされているため、自動売買の初心者向きといえるでしょう。
FXの自動売買を行う主要なツール
FXの自動売買には、その作業を行うためのツールが必要です。それぞれに特徴や使い方が異なるので主要なツールとその特徴を押さえておいてください。
・MT4、MT5
先述したMT4とMT5は、全世界で普及している定番の自動売買プラットフォームです。ロシアのメタクォーツ社が開発しているソフトで、本来は自動売買だけのために開発されたものではありません。裁量トレードにも役立つ取引ツールです。なおMT4とは、Meta Trader4、MT5はその後継版にあたるMeta Trader5の略称になります。
・FX会社の自動売買システム
MT4やMT5とは違ってFX会社が独自に自動売買システムを開発して稼働させているものがあります。先述したリピート系のトラリピやループイフダンなどはいずれもFX会社が独自に開発した自動売買システムです。
FXの自動売買を始める方法
「少しずつでも始めてみよう」と思った人に向けてFXの自動売買を始める方法を解説します。
・MT4、MT5
MT4やMT5のEAを使ってFXの自動売買を始めるには、いくつかのステップが必要です。最初にこれらMT4やMT5でのFX取引が可能なFX会社に口座を開設します。日本国内系の業者では、まだ少ないですが外資系では多くのFX会社がMTに対応している傾向です。次に口座を開設したFX会社から案内された方法でMT4もしくはMT5をダウンロードします。
2021年時点でEAはMT4向けのものが多いため、MT4をダウンロードしたほうがEAの選択肢が増えるでしょう。MT4とMT5はいずれもダウンロード型のソフトのため、自分のパソコンにインストールして稼働させることになります。これを24時間稼働させようと思うと自宅や会社のパソコンを常時動かしておくことが必要です。そのため電気代や火災リスクなどの問題が生じます。
そこで多くのMT4、MT5ユーザーが利用しているのがVPSです。VPSとは、Virtual Private Serverの略で和訳すると仮想専用サーバーとなります。ホスティング業者などが提供しているサービスです。VPSを利用して仮想サーバー上にMT4やMT5をインストールして稼働させることで手元のパソコンを常時稼働させる必要がなくなります。
この環境を用意したうえでFX会社に入金をすれば、VPS上でいつでもMT4、MT5による自動売買を始めることが可能です。
・FX会社の自動売買システム
上述したVPS運用は、以前に比べるとずいぶん手軽になりました。しかしそれでも「難しそう」と感じる人は、FX会社が用意している自動売買システムを利用するのが良いでしょう。先述したトラリピやループイフダン、ミラートレーダーなどは、いずれもFX会社側のサーバーで稼働している自動売買システムです。
そのためFX会社に口座を開設して資金を入金、あとは自動売買に必要な設定をするだけですぐに自動売買を稼働させることができます。(提供:Dear Reicious Online)
【オススメ記事 Dear Reicious Online】
・40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
・マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
・少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
・「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
・実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性