ジャガー・ルクルトは、“ウォッチバレー”とも呼ばれるスイスのジュウ渓谷で1833年に創業して以来、1,200を超える革新的なキャリバー(駆動装置)を生み出してきたことでも知られる腕時計の名門ブランドです。同社の看板コレクションである「レベルソ」が、誕生から今年で90年を迎えます。

今回はこのレベルソの歴史と魅力を振り返り、90周年記念モデルがどのようなものかをご紹介していきます。

“機械屋”とも称される名門、ジャガー・ルクルトとは?

ジャガー ・ルクルト,レベルソ
(画像=JHVEPhoto/stock.adobe.com)

ジャガー・ルクルトは1833年、スイスのジュラ山脈に位置するル・サンティエ村でアントワーヌ・ルクルトがアトリエを立ち上げたことにはじまります。

創業者アントワーヌ・ルクルト(1803〜1881)は、数々の発明を残したことでも知られています。なかでも特筆すべきは、1844年に発明した、世界初のマイクロメートル(1,000分の1ミリメートル)単位で測定できる計器「ミリオノメーター」です。この計器の発明により、以降の時計技術は飛躍的な進歩を遂げていくこととなりました。

アントワーヌ・ルクルトの画期的な発明もさることながら、ジャガー・ルクルトを世界的な有名ブランドの地位にとどめているその価値とは、真の“マニュファクチュール”である点にあります。マニュファクチャールは自社による一貫生産を意味し、ムーブメントもケースもベルトも自社で開発するメーカーを指します。反対に、価格を抑えるために他社が製造したムーブメントなどを採用した分業制で腕時計をつくるメーカーは“エタブリスール”と呼ばれます。創業以来、マニュファクチャールを貫いていることから、ジャガー・ルクルトは時計に造詣の深い人ほど一目置く存在なのです。

また、ジャガー・ルクルトの時計には派手な部分がなく、「知る人ぞ知る高級時計」といった趣があるのも時計通を惹きつける理由でしょう。ジャガー・ルクルトの時計は、洗練されたデザイン、そして「機械屋」と称されるほどの技術力が生み出すムーブメントが高次元で融合しています。時計愛好家たちにとっての魅力は計り知れないものがあると言ってよいでしょう。

ジャガー・ルクルトの代名詞ともいえる「レベルソ」

ジャガー・ルクルトを代表するモデルといえば、レクタンギュラー(長方形)ケースが特徴的な「レベルソ」です。レベルソとは英語でリバース、つまり反転するという意味です。その言葉通り、時計のケース部分を横にスライドさせてひっくり返すことができる構造になっています。

なぜ、このような機構を備えているのでしょうか。きっかけは1930年代初め、ポロクラブに所属していたあるイギリス人の将校が、スイスの実業家のセザール・ド・トレーに「ポロの競技中に壊れない時計が欲しい」というリクエストをしたことでした。セザール・ド・トレーは、このリクエストに応えられる時計メーカーを考え、ジャガー・ルクルトに依頼をしたのです。

そして、そのリクエストに対するジャガー・ルクルトの回答こそが、レベルソだったのです。文字盤をひっくり返し、内側へと収納することで精密機構を保護するという斬新なアイデアでした。

時計は身に着けて実用に供するものであるからこそ実際の使用環境に耐えなくてはならない、という 無骨なまでに徹底的に機能性を追求する姿勢に、多くの時計愛好家は心打たれます。

時計は“装飾品”という考え方もありますが、機能を追求してこそ美しさが表に現れるもの。その意味でジャガー・ルクルトの時計は、まさに機能美の結晶といえます。レベルソの横にスライドさせて反転させるケースも時代を超えて現代でも受け継がれながら、改良が重ねられています。

レベルソの主要3モデルを押さえる

レベルソの主要なモデルとしては以下のようなものがあります。

レベルソ・クラシック

普遍的でスタンダードともいえるレベルソのモデルです。スモール(女性用サイズ)、ミディアム(男女兼用サイズ)、ラージ(男性用サイズ)の3つがあり、その中でも機能別のバリエーションによって若干のサイズの違いがあります。

またレベルソには、レベルソ・スモール・デュエットのように「デュオ」「デュエット」といったモデル名が冠されているものがあります。これらは、本体を反転させると違ったカラーリングや装飾があしらわれた文字盤が現れるようになっているもので、ビジネスシーンとパーティシーン、あるいはタイムゾーンによって使い分けることが可能になっています。

レベルソ・ワン

2016年に、85周年に当たる年に記念として発表された女性用モデルがレベルソ・ワンです。ケースには、1930年代当時の女性用レベルソに使われていたケースを模した細長いシルエットのデザインを採用。伝統的でありながらもジュエリーのような印象の逸品となっています。

2つの文字盤を裏返して使えるデュエットモデルや、レベルソ・ワン・ムーンやレベルソ・ワン・ジュエリーといった、ジュエリーウォッチとして楽しめるモデルなどが存在します。

レベルソ・トリビュート

レベルソの最上位モデルとして位置づけられているのがこのトリビュートです。1931年に発表された最初のモデルに倣った文字盤が特徴です。アラビア数字を配置せずバーインデックスを採用したそのデザインは細部にまで手が込んでおり、独特のカラーリングにも特徴を見いだせます。

デュオモデル、カレンダーモデル、ムーンフェイズモデル、ジャイロトゥールビヨンモデルなど、サイズなりの複雑機構を用いた高機能なラインアップもあります。

90周年記念モデルはバーガンディレッドが映える1本

レベルソは、2021年に90周年を迎えます。これを記念して、ジャガー・ルクルトは2020年12月にトリビュートをリニューアルした記念モデル、「レベルソ・トリビュート・デュオ・ファリアーノ」を発売しました。長年にわたって愛され続けてきたレベルソにオマージュをささげた特別なデザインとなっています。

鮮やかなバーガンディレッドが魅力的な90周年記念モデルは、デュオの名のとおり、ケース両面の2つの文字盤で2つのタイムゾーンを示すことができます。オリジナルのストラップは、ポロと乗馬用ブーツで有名なアルゼンチンのメーカー、カーサ・ファリアーノによって特別にデザインされたものです。

レベルソの始まりがスポーツのポロにちなんだものであったことから構成された、レガシーを感じる、特別な色のデザインとなっています。

【技術仕様】
レベルソ・トリビュート・デュオ・ファリアーノ
サイズ: 47 x 28.3mm x 10.3mm
キャリバー:ジャガー・ルクルト製854A/2(手巻き、部品数:160、振動数:21,600、石数:19、香箱:1、高さ:3.80 mm)
ケース:ピンクゴールド、防水性:3気圧
ストラップ:カーサ・ファリアーノ製コードバンレザー

表ダイヤル:バーガンディレッド、サンレイ仕上げ、植字された時針
裏ダイヤル:シルバーグレー、滑らかなクルー・ド・パリ、植字された時針
表ダイヤルの機能:時、分表示、秒
裏ダイヤルの機能:第2時間帯、24時間表示

生産数:190本(ブティック限定)
価格:2,750,000円(税込)
【参考】ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・デュオ・ファリアーノ」

同じスイスの高級ブランドとは別格の実力派ジャガー・ルクルト

ジャガー・ルクルトは、ムーブメントからデザインまですべて同じところで作る、真のマニュファクチュールであることこそ価値があります。ほかの高級時計ブランドとは一線を画したデザイン。長年受け継がれてきたものを大切にする姿勢などは、同じスイスの高級ブランドの中でも別格の気品を感じさせます。

機能美に魅力を感じる方には、ぜひおすすめしたいジャガー・ルクルト。魅力的な90周年モデルも登場したいま、レベルソの所有を検討してみてもよいかもしれません。(提供:JPRIME


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