市販化熱烈希望! スズキの四輪車と二輪車のスピリットを高度に融合した電気自動車のデザインコンセプト「ミサノ(misano)」が公開。スタイリングはヨーロッパデザイン学院(IED)と共同開発
スズキは2021年4月29日(現地時間)、イタリアにおいてEVオープンスポーツのコンセプトカー「ミサノ(misano)」をオンライン発表した。
イタリアのエミリア=ロマーニャ州に設置され、二輪MotoGPのサンマリノ・グランプリが開催される名サーキットのミサノ・ワールド・サーキット(Misano World Circuit)に由来する車名を冠したスズキ・ミサノ(Suzuki misano)は、スズキがヨーロッパデザイン学院(IED)と共同で開発した、EVオープンスポーツの提案形デザインコンセプトカーである。IED(Istituto Europeo di Design)は、1966年にイタリアのミラノに設立された欧州屈指のデザイン専門学校で、現在はイタリア国内でミラノのほかにトリノとローマ、さらに海外ではスペインのバルセロナとマドリード、ブラジルのサンパウロに分校を設置。世界70カ国以上の国から毎年7000名あまりの学生が集まり、卒業生は各分野で精力的に活躍している。今回のスズキとのプロジェクトでは、IEDトリノに在籍するトランスポートデザインの修士24名が参画した。
披露されたミサノの基本コンセプトは、スズキの四輪車と二輪車のスピリットの高度な融合。そしてスズキは、IEDトリノの若いデザイナーたちに、“La dolce vita”をテーマとして造形を手がけるように要請する。イタリア語で“甘い生活”を意味する“Dolcevita”は、名匠フェデリコ・フェリーニが監督した伊映画『La dolce vita(邦題:甘い生活)』(1960年公開)で一躍有名になった言葉で、大人のアバンチュールを象徴した、快楽主義的な志向を含意する。今回のコンセプトカーは、この“甘い生活”にインスピレーションを得て、内外装を演出したわけだ。
プロジェクトは2020年秋にスタートし、スズキのデザインセンターとIEDトリノの意欲的な取り組みによって半年あまりで完成にこぎつける。基本スタイルはクラシックタイプのバルケッタを再解釈し、革新的で左右非対称なレイアウトで四輪車と二輪車のイメージを融合させ、スポーティかつコンパクトなオープンボディを構築。細部のアレンジも印象的で、S字で仕立てたLEDヘッドライトを組み込むフロントのグリットデザインや2つの台形メッシュを通して空気が流れるリアの空力デザイン、シングルタイプのリアロールバー、抑揚のある面構成と下部のスカートにクリアなドアパネルを配したサイドビューなど、先進的かつ優雅な造形を採用した。また、各部にブロンズのアクセントを施し、さらに足もとにはブラック&ブロンズで彩った大径のOZ製アロイホイールを装着して、外観の存在感を強調する。ボディサイズは全長4000×全幅1750×全高1000mm/ホイールベース2600mmに設定した。
外観のラインで柔らかく包み込むコクピットについては、フェアリング状のフロントシールドを配したうえで、前後に着座するタンデムタイプの2シーターを左側に配置。右側には自在なスペースを残し、EV化におけるバッテリーパック、さらにラッゲジルームのレイアウトを可能とする。また、操舵は円形のステアリングホイールではなく、モーターサイクルから着想したバータイプで司る機構を採用した。
なお、スズキ・ミサノは本年5月15日から6月6日までトリノの国立自動車博物館(Museo Nazionale dell’Automobile)に展示される予定である。
(提供:CAR and DRIVER)