投資をしている人だけに限らず、ビジネスパーソンなら知っておきたい経済指標が「日経平均株価」と「TOPIX」だ。どちらも日本経済の現況を知るために重要な指標であるが、両者にはどのような違いがあるのだろうか。
日経平均株価とは?
まずは、日経平均株価から見ていこう。
日経平均株価は、日本を代表する225銘柄の株価をもとに算出した指数であり、平均株価のことだ。日本の代表的な株価指標の一つといえる。東京証券取引所の営業時間に5秒間隔で算出したものが配信されている。
225銘柄(ETF、REITなど普通株式以外のものを除く)については、東証1部上場の中から日本経済新聞社が独自に選定している。具体的には、パナソニックやソニー、トヨタ自動車など日本を代表する企業の株式が選ばれている。また、景気に与える影響が高い企業などが選定されているため、定期的に入れ替えが行われている。例えば、2020年12月にはNTTドコモが除外されシャープが採用された。
日経平均株価の計算式
日経平均株価の計算式は、以下のとおりだ。
- 日経平均株価(単位は円・銭)=構成銘柄(225銘柄)株価の合計金額÷除数
ただし株価の合計金額を単純に225銘柄で割るのではなく、連続性を維持するためにさまざまな調整が行われている。この算出方法をダウ式と呼ぶ。
TOPIXとは何?
TOPIXとは、東証1部に上場している内国普通株式の全銘柄を対象として計算される株価指数のことだ。そのためTOPIXは東証株価指数とも呼ばれており、東京証券取引所が算出かつ毎営業日公表している。
TOPIXの計算式
計算式は以下のとおりだ。
- TOPIX(単位はポイント)=全銘柄の(算出時の指数用)時価総額÷基準時価総額×基準値(ポイント)
TOPIXは、1968年1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したものである。そのため、単位は円ではなくポイントで表示される。
日経平均株価とTOPIXの違い
日経平均株価とTOPIXは、どちらも代表的な株価指数だが、以下のような違いがある。
1銘柄あたりの影響力の違い
日経平均株価は日本の代表的な225銘柄、TOPIXの場合東証1部に上場している全銘柄が対象であり、そもそも対象銘柄数が異なる。日経平均株価は、銘柄数が限定されているため、対象となる1つの銘柄の株価が急騰や急落した場合に、その影響を受けやすい。
一方TOPIXの場合は銘柄数が多いため、1つの銘柄の株価が急騰や急落しても影響は受けにくくなっている。
外需関連株か内需関連株か
日経平均株価を構成している銘柄には、ハイテク関連株や輸出関連株などが多く「海外の景気」「為替変動」などの外需に影響されやすい傾向がある。
一方、TOPIXは時価を基準に計算されているため、時価総額が大きな内需企業の影響を大きく受けやすい。そのため、日経平均株価は外需関連株を見る指標で、TOPIXは内需関連株を見る指標で用いられることが多い。
また、国際情勢や為替相場など外部環境の変化が原因で日本の株が大きく値動きする場合には、先に日経平均株価が動き、次にTOPIXが動くケースが多々ある。このように日経平均株価とTOPIXは似たような指標だが大きな違いがある。
市場の動きなどを確認するためには、どちらか一方だけでなく両方をチェックしておくことが重要だ。
株式市場全体の方向性を把握する際に役立つ「NT倍率」
市場の動きを確認するためには、日経平均株価とTOPIXの両方を確認する必要がある。そのときに役立つのが「NT倍率」だ。Nは日経平均株価、TはTOPIXの頭文字からなる。NT倍率とは、日経平均株価をTOPIXで割って算出した倍率のことだ。株式市場全体の方向性の把握や投資戦略の立案に役立つだろう。
一般的に株価が値上がりする際には日経平均株価から値上がりし、株価が値下がりする場合にはTOPIXから値下がりする傾向がある。そのためざっくりとした判断として、NT倍率が大きい場合は日経平均株価が高く、市場全体の株価が上昇する気配と考えていいだろう。一方でNT倍率が小さい場合は、市場全体の株価が下落する気配があると考えよう。
また、NT倍率は投資戦略の立案にも使える。例えば、NT倍率が大きい場合は、どのようなことが考えられるのだろうか。「NT倍率が大きい」ということは、「日経平均株価の上昇が大きい」ということにほかならない。そのため、日経平均株価は輸出関連株などの影響を受けやすく「日経平均株価が高い=海外の経済状況が良い」と推測できる。
通常、海外の経済状況が良い場合、日経平均株価から上昇しTOPIXが追随するため、NT倍率が高い場合は、TOPIXの構成株式の買いどきともいえるだろう。
日経平均株価やTOPIXの動向を確認しよう
株価の変動は、対象企業の業績によるところも大きいが、日本や世界の景気の状況にも左右されやすい。そのため、日経平均株価やTOPIXの動向を確認しておくことで、大まかな世界の経済状況を把握することも可能だ。ぜひこの機会に日経平均株価やTOPIXの動向を確認してみよう。
(提供:manabu不動産投資 )
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