世界最大級の債権運用企業であるPIMCO(パシフィック・インベストメント・マネジメント)が、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)への投資を徐々に増やすことを計画している。
PIMCOの現在の債権運用残高は2兆2000億ドル(約251兆円)を超える。1971年の設立以来、50年以上に渡り債権運用を手がける世界のリーディングカンパニーだ。
同社の最高投資責任者(CIO)のダニエル・イヴァンシン(Daniel Ivascyn)氏はCNBCのインタビューで「現在、我々はトレンドフォロー戦略やクオンツ志向戦略の一環として、暗号資産への投資を徐々に増やしていくことを検討している。社内での調査を行っている。今後はファンダメンタル面における投資も重視し強化していく。この急速に成長している暗号資産分野での小さな一歩を踏み出す」と述べた。
今回の発言は、米国初のビットコイン先物ETF(上場投資信託)が成功し、20日の水曜日にビットコイン価格が史上最高値を記録したことを受けたもの。PIMCOはすでに暗号資産を購入していることも述べた。
これはウォール街での暗号資産への取引拡大を願ってきた、暗号資産業界にとって、画期的なことだと言える。暗号資産が一時的な流行ものではなく、国債や株、法定通貨などと同じような長期投資における1つの資産として認知されたことを意味する。また、PIMCOのようなメジャー企業の資産が暗号資産市場に入ってくるようになれば、他の機関投資家も次々と流入し始める。価格はさらに上昇し、そして下落せず、高値付近で安定化していくことにつながっていくと考えることもできるだろう。
今回、イヴァンシン氏は分散型金融(DeFi)に注意を払っていることも述べた。
「分散型金融は破壊的であり、我々の既存の業界やビジネスを破壊する可能性がある。若い世代や新世代の投資家に大きな価値を提供して、急速に変化する環境に対応し競争力を確保するため、どのようなシナリオがあるのか考える必要がある」
暗号資産の世界はまだ始まったばかりだ。しかし、今後決して消えてなくなるものではない。この分野の取引をすでに始めていて徐々に増加させるというメジャー投資機関の責任者の発言で、今後は他の投資機関による暗号資産業界への参入が加速していくだろう。今年は暗号資産にとって1つの変革期として後々に認知されるだろう。(提供:月刊暗号資産)