先月29日、米Facebookはメタバース事業に注力するため社名を「META」に変更。今後はNFT(非代替性トークン)事業にも力を入れると発表した。それ以来、特定銘柄を中心にアルトコインが好調だ。
世界屈指の企業に成長し、今やビックテックを表すGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の一角として認知されている中でのリブランディングは、CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏の本気度を感じさせ、先見の明をも伺わせる。
今回の件で一気に知名度が増したのが「メタバース」だ。メタバースは「仮想空間」を表す言葉であり、株式市場では早くも関連銘柄がストップ高をつけている状況だ。暗号資産(仮想通貨)市場においてもメタバース関連銘柄が物色され、高騰している。
なかでも、メタバース関連銘柄として知名度の高い、ディセントラランド(MANA)とザ・サンドボックス(SAND)は先月末から約3倍も高騰しており、なお勢いは健在だ。
ディセントラランドは2015年から開発されているプラットフォームだ。ブロックチェーンベースのメタバースでは最古参にあたる。
イーサリアムを基盤とし、「MANA」と称した通貨が発行され、土地を「LAND」と呼ばれるNFTとして発行・流通させている。ユーザーはアバターとして参加し、服や建物などもNFTとして作成、販売が可能だ。今年7月にはコカ・コーラが、ディセントラランドで使用可能な限定NFTをNFTマーケットプライスのOpenSeaに出品した。
ザ・サンドボックスは2011年に創業し開発が開始。自分の好きな世界をデジタル空間上で作り上げるゲームであり、モンスターや建物などデジタル資産を作成して遊ぶ。
2018年にブロックチェーンベースのプラットフォームに変えて以降、成長を遂げている。ブロックチェーンに対応したことでユーザーがゲーム内のアイテムなどを売買することが可能になった。
多くの企業やユーザーが土地であるLANDを販売している。日本でもスクエア・エニックスが開発会社のTSB Gaming ltdに出資したほか、暗号資産取引所のコインチェックがNFTマーケットプレイス・Coincheck NFT(β版)において、ザ・サンドボックスの土地を販売したことがある。
それ以外でも、2620年の宇宙が舞台のメタバースで行われるオンラインゲーム「スターアトラス」内のSTARL、マインクラフトのゲームエンジンとイーサリアムのブロックチェーンで構築される仮想空間「ETHV」(Ethverse)といったメタバース関連銘柄も大き価格を上げている。
CoinGeckoのデータによれば、メタバース関連銘柄の時価総額はFacebookの発表から18時間で262.9%上昇し、134億ドル(約1.5兆円)を記録。今も上昇の勢いは続く。
併せて、関連するイーサリアム(ETH)も高値圏で取引が続く。
先月29日に史上最高値を更新し、一気に4454ドル(約50万6,000円)をつけた。今後もしばらくはメタバース関連銘柄を中心に、アルトコイン市場の活況が続きそうだ。(提供:月刊暗号資産)