暗号資産(仮想通貨)支持を表明するエリック・アダムス(Eric Adams)氏(民主党)が3日、ニューヨーク市長選挙で勝利を収め、次期市長になることが決まった。人口880万人、全米最大の都市・ニューヨークで全体の66%の票を集め、共和党のカーティス・スリワ(Curtis Sliwa)氏に圧勝した。
アダムス氏は1984年からニューヨーク市警入りし、警官として22年務めた後、2006年にニューヨーク州上院議員に当選して政治の道に入った。2013年にはブルックリン区長に当選。今回の当選で、1990年から1993年までニューヨーク市を率いたデビッド・ディンキンズ(David Dinkins)氏に続き、黒人としては2人目の市長となる。
アダムス氏の公約として支持されているのが、市警の経験による治安の健全化、コロナウイルスのパンデミックからの回復、それともう1つ、「ビットコインの中心地」という暗号資産の支持だ。
ニューヨーク州には暗号資産関連の規則として、米国で最も厳しく、業者にとっては大きなハードルとなっている「ビットライセンス」というものがある。
ニューヨーク市は世界の金融の中心地だ。それだけに、ライセンスの取得条件は厳格になっている。しかし暗号資産事業者はライセンスを取得すれば大きな信頼を得ることになり、ユーザーもより安心してサービスを受けることができるというメリットがある。
ニューヨーク州で暗号資産の取引や発行、送金サービスなどを提供する企業は、ビットライセンスを取得しなければならない。この申請プロセスには、10万ドル(約1,140万円)以上の費用が必要となる。
アダムス氏は暗号資産に対して好意的な姿勢を表明している。今年6月下旬には自らの指揮のもと、ニューヨーク市が「ビットコインの中心地になる」と宣言した。
「1年以内にニューヨーク市は新たな都市として生まれ変わる。ニューヨーク市はライフサイエンスの中心地、サイバーセキュリティの中心地、自動運転、ドローンの中心地、そしてビットコインの中心地になるだろう。あらゆるテクノロジーの中心地になる」と声高々に語った。
ニューヨーク市は失業率が10%を超え、米国全体としても高い方に入る。ニューヨーク市民たちはこの状況を打開できる政治家を待っていただけに、今後の展開には大きな期待がかかる。
米国では暗号資産を支持し、業界を後押しする政策を進める政治家が増加中だ。マイアミ市のフランシス・スアレス(Francis Suarez)市長は、給与の100%をビットコインで受け取ることを表明。テキサス州知事もビットコインの中心地になるべく法的整備を進めている。(提供:月刊暗号資産)