国内暗号資産(仮想通貨)取引業者やウォレット企業を中心に、週内にもメタバースの業界団体「一般社団法人日本メタバース協会」を発足することがわかった。6日、日本経済新聞が報じた。

国内暗号資産交換業者など、メタバース協会設立へ
(画像=月刊暗号資産)

一般社団法人日本メタバース協会には、暗号資産取引業者のFXコインやCoinBest、ウォレット企業のGincoなどが参加する。今後、業界の幅を広げ、ネット金融会社やゲーム会社などにも参加を呼びかけるようだ。

代表理事には、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)理事でもあるFXコインの大西知生社長が就任する見通し。

デジタル仮想空間で展開される世界を意味する「メタバース」を巡るビジネスが加速度的に注目されているなか、Facebookが社名をMetaに変更し、メタバース業界への参入を表明。これに続き、大手企業が次々と参入を表明している。

暗号資産取引所FTX、Binance(バイナンス)などによる関連ファンド設立も相次ぎ、国内でもソフトバンクの「TheSandbox」への出資、グリーの100億円規模の事業投資、NTTドコモによるメタバース関連開発企業への出資など、メタバース業界への資金流入は枚挙にいとまがない。また、KDDIによるメタバースプラットフォームの発表など、メタバース一色の様相になりつつある。

さらに、先行するTheSandboxや、Decentralandなどのメタバース上の土地の所有権がNFTとして、1週間で100億円以上取引されるなど、メタバース市場は急速に拡大している。

その一方、7月に経済産業省が発表した「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」と題した報告書では、メタバースにおける課題や法的論点などについて触れられた。そのなかで、「仮想オブジェクトの所有権や仮想空間内におけるキャラクターの経済的価値に関しては、現行法に課題がある」と指摘しており、今後、メタバースの活用が拡大した際には対応が求められる可能性があるとしている。また、異なる国の利用者同士でトラブルが発生した場合、日本の現在の法律では解決する見通しが低い。

日本メタバース協会は世界の動向を研究するほか、官公庁とのコミュニケーションを深め、日本企業がメタバース市場で活動を行うことを円滑にできるよう、地ならしをすることを目指す。

例えば日本の民法は物理的な物にしか所有権を認めていないが、デジタルな物の所有権をどうするのか等の法的問題のほか、メタバースにあるデジタルな土地がNFT化され、その支払いに暗号資産が使われる場合に、暗号資産取引業者以外でも取り扱いは可能であるかなど、金融との接点について規制などの課題を整理する。(提供:月刊暗号資産