米ナイキ(NIKE)は13日、デジタルスニーカーやバーチャルウェアを販売するNFTブランド「RTFKT」を買収したことを発表した。
買収額、条件などは非公表となっている。RTFKTの評価額は、今年5月時点で3330万ドル(約37億8,000万円)とされていた。
RTFKTは2020年1月、ベンワ・パゴット(Benoit Pagotto)氏とスティーブン・ヴァジレフ(Steven Vasilev)氏、クリス・リー(Chris Le)氏の3人によって設立されたNFT新興ブランド。3人は最新のゲームエンジン、NFT、ブロックチェーン技術、AR(Augmented Reality=拡張現実)などを使い、数々のバーチャル製品を生み出している。
これまでにレクサス(Lexus)などとのコラボレーションを実現させてきており、今年初めには310万ドル(約3億5,000万円)のバーチャルスニーカーを販売。わずか7分以内に完売するなど、話題になった。NFT化されたメタバース・ファッションを代表するブランドとして地位を確立している。NFTプロジェクトの1つ、アーティストの村上隆氏とのコラボレーションによる、「CloneX(クローンX)」アバターも手がけている。CryptoSlamによれば、このプロジェクトでは3週間前から取引が開始され、現在6500万ドル(約74億円)を超える取引高になっているという。
一方のNIKEは2019年にブロックチェーン技術に取り組み始め、スニーカーのトークン化に関する特許を所得している。最近はメタバース空間「Roblox」に「NIKELAND」を開設するなど、業界に本格参入を始めている。
RTFKT、共同設立者のパゴット氏は、「これはRTFKTブランド構築のためのユニークな機会だ。私たちが愛するコミュニティを築くため、NIKEの基盤となる強さと専門知識を受けることに興奮している。NIKEはイノベーション、クリエイティビティ、コミュニティに対する私たち全員の情熱を共有できる世界で唯一のブランドだ。今後、メタバースで創られる私たちのブランドをもっと成長させることができる。楽しみだ」とコメントを述べた。
NIKEのCEO、ジョン・ドナホー(John Donahoe)氏は「今回の買収はNIKEのデジタルトランスフォーメーションを加速させるための新たなステップだ。スポーツ、クリエイティビティ、ゲーム、カルチャーが交わる点において、アスリートやクリエイターに新たなサービスを提供することができるようになる。私たちは非常に才能のあるクリエイターチームを得た。我々の計画は、RTFKTブランドに投資をし、彼らの革新的でクリエイティブなコミュニティを成長させ、それをNIKEのデジタルフットプリント(ネットに残る記録の総称)と能力を拡張させることだ」と展望を述べた。(提供:月刊暗号資産)