トヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキー 価格:166万7000〜234万7000円 新車ニュース
ハイブリッドはコンパクトカー用専用開発のシリーズ方式
販売絶好調のトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキーに待望のハイブリッド車が登場した。eスマートハイブリッドと名付けられた新システムは、エンジンで発電、モーターで走るコンパクトカー用のシリーズ方式。新開発1.2リッターエンジンとモーター、リチウムイオン電池で構成する。
ラインアップはライズがG/Z、ロッキーはX・HEV/プレミアムG・HEVの各2グレードだ。両車ともハイブリッドの導入とともにエンジン構成を一新。FF車をハイブリッドと自然吸気1.2リッターの2シリーズとし、4WD車を従来からの1リッターターボに絞った。内外装は基本的に従来と共通。ボディカラーは、新色のスムースグレーマイカメタリックが加わっている。
新ハイブリッドの7魅力は燃費とレスポンス。WLTCモード28.0km/リッター
最近はクルマの電動化が進む。とはいえ手ごろな価格で販売されるコンパクトカーは、「費用対効果」が出にくいのも事実。複雑なシステムにするより「小さくて軽い」に徹したほうがCO2排出量低減に効果的といわれる。実際ダイハツ・ミライースのCO2排出量(=燃費性能)はハイブリッド車に負けない。しかし、CO2低減の徹底には「電動化は必須」。その判断から誕生したのがeスマートハイブリッドだ。開発はダイハツが担当した。
ダイハツの電動車開発の歴史は古い。1960年代に研究がスタートし、1970年の大阪万博では会場でEVを運行。2005年にはハイゼット・ハイブリッドを発売した。しかしハイゼットHVは販売価格(211万円)が高く、普及には至らなかった。今回はその反省から、良品廉価なシステムを開発した。
eスマートハイブリッドは多くのトヨタ車に使われるシリーズ・パラレル式ではない。エンジンを発電用に使いモーターで駆動するシリーズ式だ。日産のeパワーと同方式である。シリーズ式のメリットは(1)シンプル(2)コンパクト(3)低中速に強い点であり、小さなクルマに適したシステムといえる。
eスマートハイブリッドは最大熱効率40%を誇る発電用の1.2リッター専用エンジン(82ps/105Nm)を搭載。駆動用モーターは106ps/170Nmだ。後席下に配置されたバッテリーはリチウムイオンで、容量は4.3Ahとコンパクト。バッテリーの仕様は、日常域に特化した性能の実現と、最小限の重量増(+80~90kg)に抑える、というバランスから決定したそうだ。 走りと燃費性能はクラストップ級。電動車ならではの出足のよさ(=レスポンスアップ)と、ガソリン車比約2倍の加速性能を実現。WLTCモード燃費は28.0km/リッター。従来の1リッターターボ(18.6km/リッター)を大きく上回る。アクセル操作だけで加減速調整が可能なスマートペダルも採用した。
シャシー側は重量増に対応するために、アンダーボディやバルクヘッド周辺に補強をプラス。サスペンションも最適化しているようだ。加えて、エンジン回りや床下を中心に遮音材/制振材を最適配置。静粛性も従来以上に追求した。
eスマートハイブリッド追加に合わせてガソリンFF車のエンジンを自然吸気1.2リッターに刷新。新開発の直3ユニットは、高速燃焼/燃料の微粒子化促進/効率的なヒートマネジネントを導入。87ps/113Nmのパフォーマンスに加えて全領域で熱効率を大きく向上させた。WLTCモード燃費は20.7km/リッターである。
安全装備も大幅充実。ハイブリッドの価格は標準車比約30万円高
装備/機能の充実化も図られた。eスマートハイブリッドに、最大1500Wまで使えるAC100Vアクセサリーコンセントを設定。さらに電子パーキングブレーキ(オートブレーキホールド付き)を採用した。全車標準の予防安全機能スマートアシストは、新ステレオカメラの導入により性能がアップしている。夜間の歩行者が検知できるようになり、標識認識の種類が増加。ふらつき警報や路側逸脱警報など合計19機能を備える。
eスマートハイブリッド車の価格は211万6000〜234万7000円。通常のガソリン車比で30万円ほど高い。とはいえ本格ハイブリッド搭載のコンパクトSUVの中では最廉価。
電動車に慎重だったダイハツが満を持して投入するシンプルな高効率システムは、Kカーへの展開も視野に入れているという。
(提供:CAR and DRIVER)