この記事は2022年年1月5日に「株式新聞」で公開された「<中原圭介の相場観>マザーズ銘柄、引き続き厳しく」を一部編集し、転載したものです。


東証のイメージ
(metamorworks / PIXTA(ピクスタ))

2022年は米国株高を受けて、日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)がともに好スタートを切った。トヨタ自動車(7203)や関連株の強さが目立ち、グロース(成長)株からバリュー(割安)株への資金シフトが鮮明になってきたようだ。

日経平均はボックス相場維持か

しかし、2021年からの見通しに変更はなく、日経平均は2万7,000~3万1,000円のボックス相場が継続する可能性が高いとみている。確かに日本株は米国株と比べて割安だが、海外投資家の岸田政権に対する評価は厳しくなりつつある。このため、海外投資家による先物主導の揺さぶりに動じず、ボックス圏の下方で買い、上方で売る姿勢を繰り返すスタンスが引き続き有効だと考える。

FRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的金融緩和の縮小)が意識される環境で、高PERを正当化しにくくなる。そのため当欄では、これまでもマザーズ銘柄を極力避けるよう進言してきた。また、2021年にはIPO(新規上場)件数が14年ぶりに100社を超えたが、中にはファンドの出口戦略や、オーナーが株を売りたいという動機が透けて見える、妥当性を疑いたくなる案件もあった。

市場再編も追い打ちに

4月には東証の市場再編が実施される。上位の「プライム市場」に区分されない銘柄は「スタンダード市場」か「グロース市場」に振り分けられる。そうなると、従来あった、「マザーズ銘柄だから」という投資家の新興系グロース株買いの動機は果たして維持されるだろうか?

むしろ、現マザーズ銘柄の割高さが改めて認識される一方で、現ジャスダック銘柄の割安さが際立つように思う。そういった意味では、ジャスダック銘柄で低PERのバリュー株が狙い目になると考えている。

アセットベストパートナーズ 中原圭介