モータースポーツ参戦からの学びを生かしてチューンアップした「GRMNヤリス」がデビュー。標準モデルのほかに「サーキットパッケージ」と「ラリーパッケージ」を設定。販売台数は500台限定
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は2022年1月14日、東京オートサロン2022においてGRヤリスのフルチューン版となるGRMNヤリスを発表した。販売台数は500台限定。同日から2月28日までウェブサイトで予約抽選の受付を行い、当選者には3月9日に連絡。商談の後、今夏ごろより発売する予定だ。車両価格は標準モデルのGRMNヤリスが731万7000円、GRMNヤリス“サーキットパッケージ(Circuit package)”が846万7000円、GRMNヤリス“ラリーパッケージ(Rally package)”が837万8764円に設定。サーキットパッケージには特別な外板色のマットスティールを用意し、限定50台で販売する予定である。
GRMNヤリスの開発は、「モータースポーツの現場で“スピーディに、かつ人に合わせて進化するクルマ”を、ユーザーにも届けたい」というモリゾウこと豊田章男社長の思いからスタートする。ベース車は既存モデルのGRヤリスで、ボディはスポット溶接打点数を545点増やした上で構造用接着材の塗布範囲を12m延長して剛性をアップ。また、新工法で製作した軽量高剛性のカーボン(綾織CFRP)製エンジンフードやルーフ、リアスポイラーなどを配備するとともに後席を取り払って、約20kgの軽量化を果たす。さらに、車高10mm低減による低重心化や全幅10mm拡大による空力改善などを実施した。
機構面では、6速MT(iMT)にクロスギアレシオトランスミッションとローファイナルギアのセットを採用。ギアレシオは1~4速をクロスレシオ化し(1速3.214/2速2.238/3速1.592/4速1.162)、駆動力を最適化したローファイナルギア(4.250)を組み合わせる。強化メタルクラッチや機械式LSDも組み込んだ。また、1、3、4、5速とファイナルギアにSNCM材の採用およびショット処理を追加し、ショックトルク強度と疲労強度を大幅に引き上げる。パワーユニットはベース車と共通の1618cc直列3気筒DOHCインタークーラーターボエンジンを搭載。最高出力はGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”と同数値の272ps/6500rpmだが、最大トルクは20Nm(2.1kg・m)アップの390Nm(39.8kg・m)/3200~4000rpmを実現した。
一方、内装ではレカロ製のフルバケットシート(サイドエアバッグ付)やGRMN専用スポーツメーターを装備。取り払った後席部には、ボディ剛性を高める補強ブレースを組み込んだ。
オートサロンで披露されたのは、GRMNヤリス“サーキットパッケージ”とGRMNヤリス“ラリーパッケージ”の2モデルだ。
スーパー耐久シリーズ参戦からフィードバックを受けてロード性能を突き詰めたGRMNヤリス“サーキットパッケージ”は、前述の装備に加えてBBS製GRMN専用18インチアルミホイールやビルシュタイン製 減衰力調整式ショックアブソーバー、専用スプリング、大径ブレーキ、カーボン(綾織CFRP)製リアスポイラー、サイドスカート、リップスポイラーなどを採用する。
一方、全日本ラリー選手権参戦からフィードバックを受けてあらゆる路面での走破性を高めたGRMNヤリス“ラリーパッケージ”は、GRショックアブソーバー&ショートスタビリンクセットやGRアンダーガードセット、GRロールバー(サイドバー有)などを追加している。
なお、TGRはモータースポーツの現場で日々行われている“クルマの進化”と“ドライバーに合わせたカスタマイズ”をユーザーに提供するための新たなプログラム、「アップデートプログラム」と「パーソナライズプログラム」という2つのサービスも発表した。
アップデートプログラムの内容は、①モータースポーツの現場で磨いた技術をパーツ追加またはソフトウェアアップデートを用いて提供②エンジン強化や駆動制御の改善などを予定しており、提供方法はGR Garageにて随時実施。一方でパーソナライズプログラムの内容は、①ユーザーの運転データを分析し、1人ひとりに合わせたカスタマイズを実施。自分の手足となって動くような、ベストマッチする相棒へと仕立てる②ステアリング制御、エンジン制御、駆動配分といったソフトウェアに加え、アブソーバー減衰力、バネレート、空力パーツといったハードウェアを細かく最適化することを予定しており、提供方法は全国のサーキットなど指定の会場で運転データを分析し、GR Garageでカスタマイズを実施する計画である。
(提供:CAR and DRIVER)