米財務省は31日、「半期ごとのアジェンダと規制計画」を発表し、その中に暗号資産ウォレット規制案に関する項目が含まれていることがわかった。この規制案は昨年バイデン大統領が就任する際に凍結されたものであるため、約1年ぶりに動き出すこととなる。

米財務省、暗号資産ウォレット規制案の検討を約1年ぶりに再開
(画像=月刊暗号資産)

暗号資産ウォレット規制案は、トランプ政権下にあった2020年12月に当時のムニューシン(Mnuchin)財務長官によって提出されたものだ。

個人ホスト型のウォレットに3000ドル(約31万円)を超える取引があった際、暗号資産サービスプロバイダーに送受金を行った双方の身元確認を義務付けるといった内容で、1万ドル(約115万円)を超える取引に関してはFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)への報告義務を課す案となっている。

今回発表された計画においても同様の文言が盛り込まれた。「変換可能な暗号遺産やデジタル資産を含む特定の取引に対する要求事項」と題した規制案では、以下のように概要が説明されている。

「FinCENは、銀行機密保護法(BSA)を施行する規則を改正し、銀行およびマネーサービス事業者(MSB)にホストされていないウォレットに保管されている兌換性暗号資産(CVC)、または法定通貨の地位を持つデジタル資産(「法定通貨デジタル資産」または「LTDA」)に関わる取引、あるいはFinCENが特定した管理区域でホストされているウォレットの取引については、報告書の提出や記録の保存、顧客の本人確認を求める提案をしている」

この規制案については十分な議論が行われていないと指摘されるなど、暗号資産業界からは批判の声が挙がっている。

現在、米国では暗号資産規制に関する動きが加速している。先日には、バイデン政権が暗号資産に関する大統領令を検討していることがわかった。

この大統領令では、暗号資産に関する課題やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行に関して触れられるとされている。早ければ2月にも発表される見込みだ。(提供:月刊暗号資産