ライトコイン財団は1日、暗号資産(仮想通貨)ライトコイン(LTC)のミンブルウィンブル(Mimblewimble Extension Block=MWEB)のアップグレードを開始したと発表した。ライトコイン財団が、ライトコインコア0.21.2アップグレードの一部に含まれると明らかにした。
同アップグレードにあたっては、MWEBコードのレビュー、監査をセキュリティとコード監査で定評のあるQuarkslabが行い、ライトコインのアップグレード主要開発者であるDavid Burkett氏による、数ヶ月間に及ぶレビューとテストが実施されたという。
David Burkett氏は、今回のアップグレードについて、「ブロックチェーン上の取引のプライバシーに関する貴重な新セキュリティ強化を提供することができる」と評価した。
「ミンブルウィンブル」という言葉は、ハリー・ポッターに出てくる秘密を漏らさないようにする呪文にちなんで名付けられたプロコトル。導入すれば、ユーザーが匿名で金銭をやりとりすることが可能となる。取引に関わる2つのウォレットの当事者にのみウォレットアドレスを開示する。
今まではライトコインブロックチェーンを参照することによって、過去の取引履歴を見ることが可能であった。ほとんどのブロックチェーンでは、ウォレット間の取引履歴が公開されており、取引に関わらない第三者でも、送金先、送金額、送金元、受取額、保有残高を確認することができる。1度取引した相手のウォレットアドレスでは、個人を特定することができてしまうため、プライバシーを守ることは難しい状態であった。
前出のDavid氏は「MWEBはライトコインの進化における重要なステップだ。MWEBが提供する機密性で、ユーザーは小さな日常品から給与、家の購入にいたるまで、必要なプライバシーを守ることができる」と述べる。
本来、紙幣や硬貨は、支払った人物が誰であるか以外の情報は、知る術がない。つまり、通貨がどのような履歴をたどって支払った人物にわたって来たということはわからない。
通貨は、「お金に色はない」という言葉に代表されるように、誰から受け取ったものであるかは関係なく、金額が一緒であれば、他の通貨と交換ができるという代替性を持っている。この点は、よく暗号資産の性質として議論される違いである。
ライトコイン創設者のCharlie Lee(チャーリー・リー)氏は、今回のアップデートの意義について、インタビューの際「ライトコインのプライバシーと代替性が向上し、より優れたお金の形となる」と語った。
また今回のアップデートでは、プライバシーを機能を強化すると同時に、取引所における透明性を維持することができるように、プライバシー機能をオンにするかオフにするか選択できるようになっている。(提供:月刊暗号資産)