不動産投資で成功するために資格を取得するべきか悩んでいないだろうか。資格がなくても不動産投資を始めることは可能だ。しかし資格を取得して知識を習得しておけば物件選びや投資判断に生かすことができる。今回は、不動産投資に役立つ資格や取得するメリット、注意点について詳しく解説していく。
不動産投資で成功するには知識を習得しておくことが望ましい
不動産投資で成功するには、関連知識を習得しておくことが理想といえるだろう。具体的にどのような知識が必要になるのだろうか。まずは、不動産投資に必要な知識と習得によって期待できる効果について説明する。
不動産投資に必要な知識
不動産投資を始めるなら不動産や会計・税務の基礎知識を習得しておくのが望ましい。不動産投資で成功する方法の1つには、収益性の高い物件に投資することが挙げられるだろう。不動産の知識がないと不動産会社に物件を紹介されても購入すべき収益性の高い物件かを判断することは難しくなる。また家賃収入を得た場合は、収支を正確に確定申告することが必要だ。
確定申告自体は税理士に任せることも可能だが、会計や税務の基礎知識があれば自分で経営状況を把握できるため、習得しておくとよい知識といえる。
知識習得で期待できる効果
不動産や会計・税務の知識を習得すれば以下のような効果が期待できる。
- 優良物件を見極める力がつく
- 詐欺やトラブルに対処しやすくなる
- 不動産投資の経営状況を把握できる
- 確定申告書の内容が理解できる
- 節税対策ができる
不動産会社から紹介された物件が優良物件とは限らない。また詐欺やトラブルに巻き込まれる可能性もあるだろう。しかし不動産についての知識があれば紹介物件の良し悪しを判断しやすくなる。また詐欺かどうかを見極められるようになりトラブルに遭遇しても冷静に対処できるだろう。
不動産投資では、家賃収入や経費、ローン返済などを考慮して投資判断を行わなくてはならない。会計や税務の知識があれば経営状況を把握しやすくなり、自らの判断で節税対策を実行することも可能になる。
不動産に関する資格を取得するメリット
不動産投資をする際に資格を取得する主なメリットは、以下の2つだ。
不動産投資に役立つ専門知識を習得できる
資格を取得すると不動産投資に役立つ専門知識を習得できる。例えば不動産関連の資格なら物件選びや不動産取引、物件管理などにも役立つことが想定される。また会計・税務関連の資格であれば収支シミュレーションや確定申告、節税対策に活用できるだろう。不動産会社や税理士などの専門家にサポートを依頼する際も説明内容が理解できるため、コミュニケーションがとりやすくなるだろう。
目標が明確になる
資格の取得は、目標が明確になり勉強のモチベーションを維持できるのもメリットだ。知識の習得が不動産投資に役立つと理解できても目標がないと勉強を続けるのは難しい。資格勉強は、学ぶ内容や範囲が決まっており、市販のテキストや通信講座などを利用できるので勉強しやすい仕組みといえる。
不動産に関する資格を取得するデメリット
不動産投資のために資格取得を目指す際は、以下の2つに注意が必要だ。
不動産投資に生かせないと意味がない
資格取得は、あくまでも不動産投資で成功するための知識を習得することが目的だ。たとえ資格試験に合格できたとしても不動産投資に生かせなければ意味がない。資格取得そのものが目的になってしまわないように注意しよう。
時間や費用をかけすぎてしまう
資格取得に時間をかけすぎると本業やプライベートに支障が出る恐れがある。また講座の受講料やテキスト代、受験料などまとまったお金がかかるケースもあるだろう。費用をかけすぎると不動産投資の収益を圧迫するため、費用対効果を意識して取得する資格を見極めることが大切だ。
不動産投資の成功に役立つ資格
ここでは、不動産投資の成功に役立つ資格を紹介する。不動産投資のために何か資格を取得したい場合は、以下4つから検討するといいだろう。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引の専門家であることを示す国家資格だ。宅地建物取引業(不動産の売買、賃貸物件のあっせんなど)を営む際に必要な資格で不動産取引の際に行う重要事項説明は、宅地建物取引士の独占業務である。宅地建物取引士を取得すれば物件購入の際に重要事項説明や不動産取引の内容を理解できるようになるだろう。
資格試験は、毎年1回、10月に実施され民法や宅建業法、法令上の制限、不動産に関する税金などの知識が問われる。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)は、家計などの相談に対応するお金の専門家だ。資格を取得すると住宅ローンや保険、年金制度、相続といった幅広いお金の知識を習得できる。不動産投資では、不動産取引の基礎知識や税制などを理解するのに役立つ。ファイナンシャルプランナーは、国家資格であるFP技能士(1~3級)と、民間資格(日本FP協会)のAFP・CFP資格がある。
AFPはFP2級、CFPはFP1級相当だ。まずは、FP2~3級程度から取得を目標にするといいだろう。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理に関する知識や技能を持つ専門家だ。従来は、民間資格だったが賃貸住宅のニーズが高まっていることから国家資格へ移行された。賃貸管理に関する専門知識を習得できるので、物件取得後の賃貸管理業務に活用できる。
簿記検定
簿記は、日々の経営活動を記録して企業の財政状態や経営成績を明らかにする手続きだ。不動産投資では、帳簿作成やキャッシュフローの把握、確定申告などに役立つ。3級を取得するだけでも貸借対照表や損益計算書の見方が分かり不動産投資の経営状況を理解できるようになるだろう。
取得は難しいが知識があるといい資格
取得は難しいが知識があるといい資格を3つ紹介していく。難易度が高いため、積極的に取得する必要はないが余裕があればチャレンジしてみてほしい。
マンション管理士
マンション管理士は、マンション管理組合の管理者や区分所有者から相談があった場合、助言・指導を行うマンション管理の専門家だ。区分所有に関する法律や管理組合の運営、建物の構造・設備、長期修繕計画などマンション管理について幅広い知識が求められる。マンション管理の専門知識を習得できるため、マンション経営を行う場合に向いているだろう。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の適正な価値を評価する国家資格だ。土地や建物などの鑑定評価を行い「不動産鑑定評価書」を作成するのは、不動産鑑定士だけに認められる独占業務となっている。鑑定評価に基づいて土地の有効利用などのコンサルティングも行えるため、自身の不動産投資にも生かせるだろう。
税理士
税理士は、納税者の代わりに確定申告書を作成したり税務相談に応じたりできる税金の専門家だ。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つは、税理士の独占業務となっている。会計や税金の専門知識を習得できるため、不動産投資では節税対策や確定申告などに役立つ。
そのほかの不動産投資に関連した資格
不動産投資に関連した資格は他にもある。以下のような資格があるが、一般的な資格ではないので無理に取得する必要はない。知識があればベターという認識でいいだろう。
相続診断士:相続上の問題を診断する専門家
相続の基本的な知識を身に付け、顧客の相続を診断できる資格である。トラブルが発生しそうなケースでは、事前に税理士、司法書士、行政書士、弁護士らの専門家と連係して相続を円滑に進める役割がある。
ホームインスペクター(住宅診断士):家屋の劣化状況を診断する専門家
住宅診断士ともいう。ホームインスペクターは「住宅の、地価を除いた建物としての価値を調査し、持ち主や買い手に助言する者」(デジタル大辞泉)をいう。日本ホームインスペクター協会が認定する民間資格である。建物の劣化度や補修が必要な箇所を調べるので、自主管理するオーナーには役立つ資格といえる。
住宅ローンアドバイザー:住宅ローンの専門家
住宅ローンについて、公正な立場で的確なアドバイスや情報提供を行う専門家である。資格を得るには住宅ローンアドバイザー養成講座を自宅・外出先のパソコンまたは会場のDVD講義で受ける必要がある。受講後会場で効果測定を受け修了証書が発行される。難易度が低く、きちんと勉強すればほとんど合格できるので、ローンの知識を身に付けたい場合には有効な資格といえる。
不動産実務検定:大家が知っておくべき不動産の基礎知識
以前は「大家検定」という名称だった。「不動産運用にまつわる実践知識を体系的に網羅した日本初の不動産投資専門資格」(一般財団法人日本不動産コミュニティーの見解)である。認定講座では、ライフプランニング、不動産投資、満室経営、税金対策、建築、ファイナンス、土地活用コンサルティングについて学ぶことができる。
サブリース建物取扱主任者:サブリース賃貸住宅の専門家
サブリースのコンサルティングを行うことができる資格である。特定非営利活動法人日本住宅性能検査協会が認定する。この資格は試験がないのが特徴で、WebまたはDVDの通信講座で4時間学ぶことにより取得できる。受講料の他に同協会への登録、2年ごとの更新が必要になる。
土地活用プランナー:土地活用実務の専門家
土地活用のためのマーケティング、賃貸管理、建築、税務、法務、事業収支などの専門知識を用いて、土地活用事業のプランニングを行う資格である。土地活用を考えているオーナーにとっては、知識を蓄えることで、不動産会社からの提案が適切なものかどうか自分で判断することができる。
公認不動産コンサルティングマスター:実務経験5年など難易度が高い資格
以前は「不動産コンサルティング技能登録者」という名称だった。試験を受けるには5年以上の不動産実務経験が必要で、対象者は宅地建物取引士資格登録者、不動産鑑定士登録者、1級建築士登録者となっている。不動産の有効活用や投資について、高い専門知識と豊富な経験に基づいたコンサルティングを行う。
不動産投資に関連する資格一覧表
不動産投資に関連する資格を表にまとめておく。合格率は年度によって異なるため、およその目安となる。また、取得にかかる期間には個人差があるため、平均的な期間とする。実務経験が必要な資格は取得までの期間が長くなるので注意が必要だ。
特徴 | 取得にかかる期間 (勉強期間) | 受験料 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
宅地建物取引士 | 不動産取引の重要事項説明を行う。 | 300~400時間程度 | 8,200円(非課税) | 15~17% |
ファイナンシャルプランナー | 家計管理などの相談に応じるお金の専門家。 | 3級で50~150時間程度 | 1級8,900円、2級学科4,200円、2級実技4,500円、3級3,000円(非課税) | 2級学科40~50%、2級実技50~60%、3級 学科70~80%、3級実技80~90% |
賃貸不動産経営管理士 | 賃貸住宅管理に関する知識や技能を持つ専門家。 | 100時間程度 | 1万3,200円 | 30~50% |
簿記検定 | 帳簿作成やキャッシュフローの把握、確定申告などに役立つ資格。 | 2級:250~350時間程度 3級:50時間程度 | 1級7,850円、2級4,720円、3級2,850円(日商簿記) | 1級10%、2級20%、3級40~50% (日商簿記) |
マンション管理士 | マンション管理組合の管理者や区分所有者から相談があった場合、助言・指導を行う。 | 500~600時間 | 9,400円(非課税) | 7~9% |
不動産鑑定士 | 不動産の適正な価値を評価する国家資格。 | 2000~4000時間程度 | 電子申請1万2,800円、書面申請1万3,000円(非課税) | 短答式32~36%、論文式14~17% |
税理士 | 確定申告書の作成や税務相談に応じる税金の専門家。 | 4000時間程度 | 1科目4,000円、2科目5,500円、3科目7,000円、4科目8,500円、5教科1万円 | 10~20% |
相続診断士 | 顧客の相続に関する診断を行う。 | 60時間程度 | 3万8,500円 | 80%以上 |
ホームインスペクター | 住宅の建物部分の価値を診断する。 | 10時間程度 | 1万5,000円 | 27~34% |
住宅ローンアドバイザー | 住宅ローンについてアドバイスを行う。 | 20~30時間程度 | 2万3,100円 | 90% |
不動産実務検定 | 不動産運用の実践知識を学べる講座。 | 1級:48時間程度 2級:24時間程度 | 2級:4万480円、1級:9万6,580円、マスター講座:22万880円(いずれも受講料、テキスト代、送料の総額) | 2級80% 1級50% |
サブリース建物取扱主任者 | サブリースについてのコンサルティングを行う。 | 講習4時間+通信でのレポート提出 | 3万1,370円。 | 試験なし |
土地活用プランナー | 土地活用のプランニングを行う。 | 50時間程度 | 7,700円 | 70~75% |
公認不動産コンサルティングマスター | 不動産の有効活用や投資について、コンサルティングを行う。 | 50~150時間程度 | 3万1,500円 | 40%台 |
資格を取得することは有効な手段の一つ
不動産投資に必要な知識を習得する場合、資格取得は有効な手段の一つである。資格を取得しなくても不動産投資を始めることは可能だが、資格を取ることで不動産投資にプラスになるものもある。不動産経営の傍らに資格を生かして仕事をすることも可能になるだろう。
一方で資格を所得するにはそれなりの時間と費用を要するので、実践的に活用できる資格でないと意味がない場合もある。不動産投資の成功に役立つように費用対効果を意識しながら資格取得に取り組もう。
不動産投資に関連する資格についてのQ&A
Q:資格がないと不動産投資はできない?
資格がなくても不動産投資を始めることは可能だ。しかし資格を取得して知識を得ておけば物件選びや投資判断に生かすことができる。不動産経営の傍らに資格を生かして仕事をすることも可能なので、経営の幅を広げることができる。
Q:あるといい資格は?
不動産投資の成功に役立つ資格として以下の4つが挙げられる。
・宅地建物取引士
・ファイナンシャルプランナー
・賃貸不動産経営管理士
・簿記検定
また、取得は難しいが知識があるといい資格として以下の3つが挙げられる。
・マンション管理士
・不動産鑑定士
・税理士
Q:資格取得の際に注意すべきことは?
資格取得は、あくまでも不動産投資で成功するための知識を習得することが目的だ。たとえ資格試験に合格できたとしても不動産投資に生かせなければ意味がない。資格取得そのものが目的になってしまわないように注意しよう。
また、資格取得に時間をかけすぎると本業やプライベートに支障が出る恐れがある。また講座の受講料やテキスト代、受験料などまとまったお金がかかるケースもあるだろう。費用をかけすぎると不動産投資の収益を圧迫するため、費用対効果を意識して取得する資格を見極めることが大切だ。
(提供:manabu不動産投資 )
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