ロシア中央銀行(CBR)は15日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタルルーブル」の送金テストで、エンドユーザー用ウォレット間における取引が成功したことを発表した。
CBRの発表によれば、2021年12月にプロトタイプのデジタルルーブルのプラットフォームを完成。これを受け、パイロットプロジェクトが開始された。
デジタルルーブルのパイロットプロジェクトの第1段階では、銀行や個人顧客のウォレットを開設。ユーザー同士のやりとりを行う。
第2段階においては、公共サービスを含む決済の処理、スマートコントラクトの実装を行う。スマートコントラクトを利用した決済方法、連邦財務省との連携などを検証していくという。また、将来的には金融仲介業者やデジタルプラットフォームとの連携やオフライン取引の導入、非居住者の顧客向けのデジタルルーブル取引を提供していく予定だという。
現在、このプロジェクトには金融機関12行が参加を表明。すでに、3行がCBDCプラットフォームに同行のシステムを接続しており、内2行がモバイルバンキングアプリケーションを使用したデジタルルーブルの顧客間送金テストを行った。そして今回、第1段階の相互送金が成功したことを確認したとCBRが発表した格好だ。
デジタルルーブルはCBRが発行者兼運営元となる。エンドユーザーはそれぞれの金融機関におけるモバイルアプリで、ウォレットを作成して取引を行うことが可能だ。アプリを通じ、銀行口座から通常のルーブルをデジタルルーブルに交換し、デジタルルーブルのウォレットによって送金する仕組みとなっている。
CBRのオルガ・スコロボガトワ(Olga Skorobogatova)第一副議長は「ロシア居住者のデジタル通貨の送金は無料となる。国内であればどこでも利用できる。このシステムは企業の取引コストを削減し、新製品やサービスを提供することを可能にする。また、政府にとっては特定した種類の支払いや予算支出の管理ツールにもなる」と説明した。
CBRは暗号資産(仮想通貨)については反対の姿勢を示しているが、CBDCの有用性を認め着々とその準備を進めている。暗号資産をめぐっては、プーチン大統領はじめ財務省などから禁止ではなく適正な規制を求められている。(提供:月刊暗号資産)