ビットコイン(BTC)は17日、4万3000ドル(約494万円)台から下落し、4万1000ドル(約471万円)を割った。緊迫するウクライナ情勢をめぐり、暗号資産(仮想通貨)市場に嫌気が差した格好だ。ビットコインの下落幅は日本円にして約30万円で、1月21日以来の下げ幅となった。

ビットコイン、大幅下落 ウクライナ地政学リスクで株価と共に乱高下
(画像=月刊暗号資産)

発端は、ウクライナにロシア軍の砲弾が撃ち込まれたという一報であった。一方、実際は緊張状態が続くウクライナ東部の反政府勢力・親ロシア派との小競り合いであったとの報道もあり、情報は錯綜している。緊迫化した現在の情勢では、こういったニュースで様々なマーケットに大きなインパクトを与える。

これに加え、バイデン米大統領は17日、ホワイトハウスで記者団に対し、「ロシアによる侵攻の可能性が数日以内に起こり得る」と発言。地政学リスク警戒から米国株式市場は全面安となり、S&P500種株価指数構成銘柄の85%が下落。ダウ工業株30種平均も1.8%安となる622.24ドル下落した。ナスダック100指数はさらに下落し、約3%安となっている。

インフレヘッジや価値保存の手段としても用いられてきたビットコインは、米株式市場との相関関係が高くなっている。そうした背景が今回の大幅下落へとつながったと言える。

また、日本株式市場での取引が開始するとグロース売りが顕著になるなか、さらにビットコインは売り込まれた。日本時間午前に米ブリンケン国務長官がロシアのラブロフ外相と来週末に会談することで同意したとの報道で日本株式市場は一気に買いに転じたが、暗号資産市場の戻しは鈍く、ビットコインは現在4万ドル(約460万円)台付近を推移している。

日本時間夜の米市場における取引動向を待っている状態にに加え、今週末から米株式市場が3連休に入るため、その警戒感から手仕舞いし現金化する動きが見て取れる。

暗号資産市場ではビットコインだけでなく、主要アルトコインも大幅に値を下げる展開となっている。イーサリアム(EHT)は3000ドル(約34万5,000円)を割り、リップル(XRP)は0.8ドル(約92円)を下回った。

ソラナ(SOL)やポルカドット(DOT)などのイーサリアムキラーと呼ばれる銘柄も、同様の下げを見せ、それぞれ24時間での下落率は3%~7%となっている。また、価格を上げていたNFT(非代替性トークン)やメタバース関連銘柄においても24時間で10%近く値を落としており、この数日の上昇をほぼ吸収した。

ウクライナを舞台にしたロシアと西側諸国の対立が顕著になりつつあるなか、北京オリンピックも終盤を迎え、節目の時節を迎えているという考え方は間違いないだろう。この週末の相場の行方にも注意が必要だ。(提供:月刊暗号資産