矢野経済研究所が22日、ブロックチェーン活用サービス市場に関する調査結果を発表した。現況や領域別の動向、活用事例と将来的展望を公開した。

国内ブロックチェーン市場規模、2025年に7,000億円超に 矢野経済研究所が調査
(画像=月刊暗号資産)

2021年度の日本国内でのブロックチェーン活用サービス市場規模は約783億円の見込みだが、2025年度には7,247億6000万円に達すると予測した。

矢野経済研究所
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ブロックチェーンにおいて、2019年までは最初期にあたるフェーズで、市場規模は171億8,000万円だった。大手企業を中心に特性などを学ぶ時期に該当したとし、実証実験の多くが「お試し」の状況で、試行錯誤しながらブロックチェーンの知識を学び、研究していた。

その後、2021年にはブロックチェーンの特性や適用先に関する知見を蓄積し、お試しから効果検証に向け、より本番環境での運用を想定した検証へと進んだ大手事業者が増加し、市場規模は約783億円の見込みとした。

導入領域としては、特に商流管理やデジタルIDをはじめとした認証を筆頭に、非金融領域の存在感が徐々に高まりをみせており、大手企業を中心に自治体や業界団体などでも積極的に実証実験に取組みが見られる。特に2021年度からはトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)や認証、NFT(非代替性トークン)を中心にブロックチェーンの活用が広がっている。

トレーサビリティでは、化粧品の商流管理や物流管理など、多くの領域で透明性の確保、最終ユーザーの特定といった応用範囲が広がっている。また、地方でも農産物の商流管理にブロックチェーンの活用事例が見られる。

認証領域では、マイナンバーカードとデジタルIDを紐付けた自治体の取り組みが始まっている。

NFTでは、芸能・ゲーム業界において大手企業を中心に既存コンテンツをNFT化して提供するなどの取り組みが見られ、スポーツ分野でも選手のデジタル・トレーディングカードの発行などの事例が多数確認されている。 

また、将来展望として、2025年度の市場規模を7,247億6,000万円に達すると予測した。根拠としては、2025年度には中堅企業や自治体においても普及期を迎えるとの予測から、効果検証から本番稼働に向けた案件が増加していくためとしている。領域面でも、住宅の賃貸契約、公共料金などとのデータ連係をブロックチェーン基盤で構築し、水道や電気の利用開始を入居と同時に可能にするなど、様々な領域へ広がりをみせていくだろうと報告している。(提供:月刊暗号資産