金融庁が国内の暗号資産(仮想通貨)における自主規制団体・暗号資産取引業協会(JVCEA)と、ロシアに対する経済制裁の対応についての協議を始めたことがわかった。4日、Bloombergなどが報じた。
現在、ロシアがウクライナへの侵攻を受け、各国が経済制裁を強化している状況にある。
日米欧は、すでに国際決済網である「SWIFT(国際銀行間通信協会)」からロシアを排除することを決定。これを受け、一時的にルーブルの価値は30%もの下落を見せた。また、ロシア国内の資産やプーチン大統領の国内外の資産を凍結するなどの制裁を行っており、その範囲は今もなお拡大中である。
一方で、暗号資産はこうした経済制裁の抜け穴になる可能性が指摘されている。先日には、ウクライナ政府が各国の大手暗号資産取引所に対してロシア人ユーザーのアカウントを凍結するよう求めた。
米財務省は「暗号資産が資金決済の代替手段となり、経済制裁の効果を損なう恐れがある」と警戒を強めている。
鈴木俊一財務・金融相は4日の参院本会議で、暗号資産を含めたロシアによる決済動向について触れ、「今後注視していく」と述べた。
ロシアは安価なエネルギーと広い国土により、米国とカザフスタンに次ぐ第3位のビットコインマイニング国家となっている。そういった背景からも、暗号資産はロシアにとって外貨を入手するための貴重なパイプラインとなっている。
また、ロシアはランサムウェア攻撃を行い、暗号資産の不正取得に最も関わっている国とされている。ブロックチェーンデータ分析等を手がけるチェイナリシス(Chainalysis)が先月公表したレポートによれば、2021年のランサムウェアによる総被害額のうち、74%にあたる4億ドル(約461億円)以上の暗号資産が何らかの形でロシアにおいてマネーロンダリングされているという。
なお、今回の対応が一定の効果を生む可能性はあるが、間接的に暗号資産を日本円等に交換される可能性もあるため、完全な取り締まりは極めて困難であると言える。(提供:月刊暗号資産)