9日、米初となる暗号資産(仮想通貨)関連の大統領令(行政命令)にバイデン大統領が署名した。今後、暗号資産を含むデジタル資産に国を挙げて取り組むことになる。
この大統領令は市場の安定化を目指すもので、暗号資産への締め付けを強化するものではない。大統領令では、「暗号資産を含むデジタル資産に関連する多くの活動は既存の国内法および規制の範囲内にあるが、一貫性のない制御リスクがあり、デジタル資産に対する米国政府のアプローチの進化と調整が必要」と説いている。
具体的には、「金融の安定性と金融システムの完全性」「犯罪や違法な資金との戦いと防止」「国際セキュリティー」「人権を行使する能力」「金融包摂と公平性」と「気候変動と汚染」を挙げ、デジタル資産が消費者、投資家、およびビジネス保護にもたらす可能性のあるリスクを軽減するために、強力な措置を講じる必要があるとした。
また、「米国は暗号資産分野で世界のリーダーでなければならない。決済分野でのイノベーション、デジタル資産の責任ある開発を通じ、国債金融システムの構築、技術、経済競争力において米国が中心とならなければならない。それが米国の金融力の維持、経済的利益を意味するものとなるからだ」と暗号資産分野の重要性を説き、「金融イノベーションの促進が米国国民にとって公平に享受されなければならない」と続けた。
米国の中央銀行デジタル通貨(CBDC=デジタルドル)発行については、「経済成長と安定性への影響を含む国益に及ぼす潜在的な影響の調査の必要性」を説き、「CBDCが既存の通貨をどれくらい置き換えることができるのか」「決済システムの変更の可能性。それらが国家安全保障及び、金融犯罪に対する潜在的な影響がどれほどあるのか」「重要なマクロ経済安定化手段としての金融政策」「投資家、消費者、企業を保護する措置」について、各省庁に対し今後180日以内に調査、報告書の提出を求めた。
今回の大統領令は、今まで暗号資産に対し、各規制当局が独自に対応を重ねていたことを受け、国家を上げて統一的に取り組む姿勢を打ち出したもの。各省庁に対し、今後はコミュニケーションを取るようにも求めている。(提供:月刊暗号資産)