ロシア中央銀行は17日、同国最大手銀行のズベルバンク(ロシア貯蓄銀行)に対して、デジタル金融資産の発行と交換等のライセンスを付与したと発表した。同日、ロシア国営メディアのタス通信などが報じた。
これにより、ズベルバンクは暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産を合法的に発行・取引することが可能となった初めての銀行となった。同行では1ヵ月後にもデジタル資産の発行・取引などが可能となる。
これまで、ロシアは暗号資産(仮想通貨)に対して懐疑的な姿勢を見せていたが、今年1月にプーチン大統領自らが規制の策定を指示したことが影響していると言える。
ズベルバンクについては昨年1月、法定通貨ルーブルに裏付けられた独自ステーブルコイン・ズベルコイン(SberCoin)の発行に取り組んでいることが明らかになった。2021年春にローンチする予定であったが、目立った続報はなかった。
なお、今回の発表ではズベルコインについて言及はなかったが、今後、ブロックチェーンを活用し、企業が独自暗号資産やデジタル資産を発行することに加え、ズベルバンク内のプラットフォームにおいて発行されたものを購入・取引することが可能になると説明している。
現在、ロシアはウクライナへ侵攻したことで、世界各国から厳しい経済制裁を受けている。特に日米欧らが国際決済網である「SWIFT(国際銀行間通信協会)」からロシアの排除を決めたことで、同国は世界経済からの孤立を免れない状況となった。
こうした背景もあり、同国は暗号資産を用いて活路を見出そうとしていることがうかがえる。
一方で、各国の規制当局を中心に、現在ロシアの制裁逃れを防ぐ動きも強まっている。
日本を含む主要7ヵ国(G7)は今月11日、ロシアの経済制裁に関する共同声明を発表し、その中に暗号資産が規制対象として盛り込まれていることを確認した。また、日本の金融庁および財務省においても、国内暗号資産取引所に対し、経済制裁リストに掲載されている個人・団体の取引を禁止するよう要請を行なっている。(提供:月刊暗号資産)