「今年はカーネーションが1本少なくてごめんね」
10歳の娘がピンク色の花束を差し出しながらそう言った。その日は英国で「マザリングサンデイ」と呼ばれる母の日だった。日本で母の日といえば5月であるが、筆者の暮らす英国では移動祝日であるイースター(復活祭)の3週間前の日曜日と決められている。2022年の「マザリングサンデイ」は3月27日だった。
我が家では、「マザリングサンデイ」になると娘がお小遣いでカーネーションを贈ってくれるのが、恒例行事である。しかし、昨年までは8本5ポンド(約804円)で買えたカーネーションの花束が、今年は値上がりして7本しか買えなかったという。筆者は申し訳なさそうに花束を差し出す娘がたまらなく愛おしくて、抱きしめた。
3月23日、英国立統計局が発表した2月のCPI(英消費者物価指数)は前年比で6.2%上昇し、30年ぶりの大幅な伸びを記録した。インフレの影響はガソリンなどのエネルギー価格はもちろんのこと、食料品や生活雑貨、そしてカーネーションにまでおよんでいる。その一方で、賢明な資産家のなかにはインフレをいち早く察知し、資産対策を講じた人々もいるようだ。
今回は、イーロン・マスク氏やウォーレン・バフェット氏などの大富豪が推奨する「インフレ投資戦略(Investing Strategies For Inflationary Times)」の話題をお届けしよう。