自民党のデジタル社会推進本部NFT政策検討プロジェクトチーム(座長:平将明衆議院議員)は30日、「NFTホワイトペーパー(案)~Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略~」を発表した。
プロジェクトチームでは、6つのテーマに沿って24の論点について課題と提言を整理した。6つのテーマは以下の通り。
1:国家戦略の策定・推進体制の構築
提言:Web3.0はNFTを新資本主義の成長の柱とし、担当大臣を置き、省庁横断の相談窓口を設ける。
2:NFTビジネスの発展に必要な施策
提言:賭博罪に関する対応システムの構築。NFTの経済機能について例示やセーフハーバーを設ける。金融庁でNFTの経済機能に関してガイドラインに明記するなどの方法で解釈指針を示す。NFTの二次流通からの収益還元ルールを整備。
3:コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策
提言:取引の安全を確保するシステムの構築を政府が後押しする。本人確認等の審査を行なっているか各マーケットプレイスを調査。将来的な意匠権改正の可能性を探る。ロイヤリティの収受やライセンス契約について正しい情報をコンテンツホルダーに提供する。NFT保有者の持つ権利を整理する。
4:利用者保護に必要な施策
提言:消費者にリスクを説明するよう業界団体にルール化を促す。将来的に特定事業者に依存しないデータ保存のシステムを構築することを検討する。
5:NFTビジネスを支えるBCエコシステムの健全な育成に必要な施策
提言:自社発行の保有トークンは期末時価評価の対象から除外する。税制改正などの措置が必要。新規暗号資産(仮想通貨)を発行する際の審査基準を緩和する。投資事業有限責任組合(LPS)の投資を可能にするための法改正を行なう。暗号資産についての会計基準の明確化。個人の暗号資産による課税を20%の申告分離課税の対象になるよう改正する。分散型自立組織(DAO)の法人化と制度(DAO特区、ブロックチェーン特区)の創設。ブロックチェーン関連の起業家、エンジニアについて税制改革を行なう。また暗号資産業界の人材確保について特別ビザ(クリプトVISA)を発給。
6:社会法益の保護に必要な施策
提言:マネ-ロンダリングやテロ資金供与について多国の規制を参考にし、官民で検討を行なう。NFT取引は外為法の対象となるケースがあることを官民連携して周知する。諸外国と連携して対応を行なう。
今回の提言は、これまで以上にNFT(非代替性トークン)に関する環境整備や課題について踏み込んだ言及がなされた。また、暗号資産税制に関して現状の課題に触れ、申告分離課税の対象にするよう検討が必要だとの認識も示された。
さらに、Web3.0については「デジタル経済圏の新フロンティア」であると説明し、その起爆剤はNFTであると述べるなど、重要な分野の1つとして国が取り組んでいいかなければならないとの姿勢が打ち出された格好だ。(提供:月刊暗号資産)