この記事は2022年4月11日に「月刊暗号資産」で公開された「EU、ロシアへ暗号資産ウォレットを対象とした追加制裁を発表」を一部編集し、転載したものです。


欧州連合(EU)が8日、ウクライナへの侵攻を行ったロシアに対する新たな制裁措置を発表した。

今回発表された第5次制裁措置は、今までの4つの制裁措置とともにロシア政府への圧力を強め、ウクライナ侵攻に必要となる資金調達能力を脆弱化させる狙いがあるという。

ビットコイン
(画像=月刊暗号資産)

発表された制裁措置には、ロシア国内の暗号資産(仮想通貨)ウォレットへの送金制限延長や、ロシアへの高価値暗号資産サービスの提供を禁止する内容が含まれている。

ウクライナ侵攻が開始した2月24日の時点で、EUを拠点とする暗号資産取引所は特定の個人の取引を禁止するよう義務つけられていた。しかし、それではロシアが暗号資産を利用して資金を移動する「抜け道」を完全に断つことができない可能性があったという。

EUの発表では、「今回新たに発表された制裁措置はロシアにとって有利な抜け道になりうるものを断絶するのに繋がる」とされている。

また、今回新たに加えられた制裁措置の中にはロシアの公共団体への財政支援の禁止や、ロシアとベラルーシへの銀行券や証券の販売禁止、ロシアの富裕層に対する信託関連の助言禁止などといった財政措置も含まれた。これにより、ロシア経済をさらに弱め、ロシアの富裕層がEU圏内に資産を保管することを防ぐことができるという。

他にも、ロシアからの石炭の輸入制限や、ロシアの銀行の資金凍結や取引の全面禁止、輸送機関や輸出入の制限をはじめとして、ロシアやベラルーシを対象として多方面の禁止や制限が設けられた。これらの措置は「より広範囲で厳しいものであり、ロシア経済により深く切り込める」ように構成されているという。ロシアの銀行はすでに国際銀行間通信協会「SWIFT」から除名されており、EU市場から完全に切り離される対象になっている。

ウクライナへの軍事侵攻が続く中、停戦交渉などの動向については依然として不透明な状況が続いている。ロシアが軍事侵攻を明確に終了しない限り、制裁はさらに追加されていく可能性がある。(提供:月刊暗号資産