筆者は出張で新幹線をよく利用するのだが、ときどき閉口することがある。といってもJRに不満があるわけではない。車内に掲載されている広告に強烈な違和感を覚えるからだ。その広告からは、お得意様向けのサロンの写真、高級感漂う繊細な楽器等で「プレミアム感」を演出しようとする意図が透けて見える。そう、日本のプライベートバンクの広告である。コピーも「それらしい」ワーディングだ。それでも日本の高所得者層と呼ばれるレイヤーの一部には「刺さる」のかもしれないが、筆者はこの広告を見る度にいつも違和感を抱く。「プライベートバンクって、そういうことなの?」と。

富裕層ビジネス,日本
画像=adam121/PIXTA、ZUU online

プライベートバンキング・ビジネスに限った話ではないが、日本の金融機関はどうして形から入りたがるのだろうか。もっとほかにやるべきことがあるのではないか。実際、筆者の知る限り、日本の金融機関で欧州の伝統的なプライベートバンクに匹敵するクォリティを有するところは、残念ながら少ない。