この記事は2022年4月15日に「月刊暗号資産」で公開された「イーロン・マスク氏、米Twitterに総額5兆円超での買収提案」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=PIXTA)

米テスラCEOのイーロン・マスク氏が13日、Twitter社の取締役会に書簡を送り、買収案を提示したことがわかった。同日、SEC(米証券取引委員会)へ資料を提出したことを自身のTwitterで報告した。

資料によれば、自分の所有する株以外、全ての株式を1株当たり54.20ドル(約6,850円)で取得するという。マスク氏はこの価格について、自身が保有する以前の1月28日の終値に対して54%のプレミアム、同氏が保有したことを公表する前の4月1日終値に対して38%のプレミアムに相当すると説明している。

全ての株式をこの価格で取得した場合、すでに同氏が所有している株式も含め、買収総額は430億ドル(約5兆4,300億円)にものぼる。

なお、マスク氏が株式全てを保有することができ、取引が完了した場合、1934年証券取引所法第12条に基づく登録廃止の対象となり、ニューヨーク証券取引所から上場廃止になる予定だという。

マスク氏はTwitter社取締役会に宛てた書簡で、「私はTwitterが世界中の自由な言論のプラットフォームになる可能性を信じ、言論の自由は民主主義が機能するための社会的に必要なものとして、投資を行ってきました。しかし投資後、現在の形態では、同社が繁栄することも社会的ニーズに応えることもできないことがわかりました」とコメント。

また、「Twitterは民間企業として生まれ変わる必要があります。結論として、私はTwitterの100%の株を1株当たり54.2ドルで現金購入することを提案します。これは最善策であると同時に最後通牒となります。受け入れない場合、私は株主としての立場を再考することになるでしょう」と述べ、買収に向け圧を強めた格好だ。

その上でマスク氏は「Twitterには並外れた可能性があります。私はそれを解き放ちたい。私としては、Twitterは株式非公開化にして全面改革を行うべきだと考えています。ここ数日、考え抜いた結論です。これは脅しでもなんでもありません、必要な変革がなければ、純粋に良い投資先とは言えないのです」と付け加えた。

マスク氏は14日、カナダのバンクーバーで開かれたイベント「TED」において、「言論の自由のための包摂的な場が存在することが重要だ」との考えを表明していた。またイベント後、「この提案を株主投票にかけないという行為は全く正当化できない」とツイートしている。

さらに、「株価を高くすれば株所有者は喜ぶだろう」とも述べ、取締役会に諮らずに、直接株を買い占める敵対的買収も視野に入れている。

なお、Twitter社は買取価格の引き上げに備え、買収防衛策であるポイズンピル(毒薬条項)の準備に動いているという。ポイズンピルとは、敵対的買収者以外に新株を発行し、持ち株比率を低下させ、買収コストを引き上げることで支配権獲得を阻止するものだ。

Twitter社は今後について、「提案を慎重に検討し、全ての株主にとって最善の行動指針を固めていく」と述べている。(提供:月刊暗号資産