JEEPグランドチェロキーLリミテッド 価格:8SAT 788万円 試乗記
新型のハンサムフォルムは、名車ワゴニアがモチーフ
ジープの高級モデル、グランドチェロキー(グラチェロ)が10年ぶりにモデルチェンジした。写真を見た瞬間、「でかした!」と感じた。思わずデザイナーを大声で褒めたくなったほどだ。古きよき時代のアメリカンSUVを彷彿とさせる造形は趣たっぷり。実際、かつて一世を風靡した「ワゴニア」をデザインリソースに選んだという。逆スラントの立派な顔立ちはハンサムそのもの。写真でも威風堂々の貫禄が漂っていた。
最大のポイントは、そのサイズだろう。3列シートのSUVはいま、ミニバンに代わる人気カテゴリーだが、ジープもそこに目をつけた。グラチェロは3列シートのLシリーズを新たにラインアップ。全長×全幅×全高は5,200×1,980×1,815mmに達する。
日本仕様はまず、そのLに絞った構成でリミテッド(7名乗り)とサミットリザーブ(6名乗り)を用意する。個人的には2列シートのショートボディのほうが本来のグラチェロっぽい雰囲気だと思うが、生産が遅れているらしい。ちなみにショートの全長は4,900mmとL比で300mm短い。
日本仕様のパワートレーンは3.6リッター・V6(286ps/344Nm)+8AT+4WD。北米仕様に設定されているV8・HEMIやPHEVの導入は見送られた。
走りは純アメリカン。伝統を大切にした味わい
大きくなったという意識が刷り込まれていたせいか、実車と対面しても驚きはしなかった。確かに長いが、マスクが低く幅広く見えるので威圧感は適度。水平基調のため、スマートに見える。Lシリーズでもグラチェロ伝統のスタイリッシュさを継承していた。インテリアの高級感もなかなかだ。室内は広く、3列目のスペースもしっかり確保されている。
走りは純アメリカンSUV。アルファロメオ系と同じプラットフォームと聞いていたので、欧州フィールを期待していたが、ちょっと違った。ゆったりとしたイメージが強い。気になったのは、パワートレーンの古さが乗り味にも影響している点だ。微妙なアクセルコントロールが難しく、全体的に荒っぽい印象を受ける。アメリカならともかく、微速域でのドライブに慎重さを求められる日本では、ちょっといただけない。
ライドフィールの鷹揚さもまたアメリカンの典型だった。ボディこそ強くなったものの、そのぶん下半身の震えをはっきりと伝える。タイヤの存在を感じてしまうのだ。旧型グラチェロやアメリカンSUVから乗り換えるユーザーには馴染みやすいと思うが、デザインに惚れて欧州車あたりからスイッチするとカルチャーショックを受けるかもしれない。
新型はジープならではの味を大切にしている。
JEEPグランドチェロキーL 主要諸元と主要装備
グレード=リミテッド
価格=8SAT 788万円
全長×全幅×全高=5,200×1,980×1,815mm
ホイールベース=3,090mm
トレッド=フロント:1,665×リア:1,665mm
車重=2,170kg
エンジン=3,604cc・V6DOHC24V(レギュラー仕様)
最高出力=210kW(286ps)/6,400rpm
最大トルク=344Nm(35.1kgm)/4,000rpm
WLTCモード燃費=7.7km/リッター(燃料タンク容量87リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:5.2/8.3/9.1km/リッター)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=265/60R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=6.3m
主な燃費改善対策:アイドリングストップ/8速AT/電動パワーステアリング/フロントアクスル分離機能
主要装備:アドバンストブレーキアシスト/フルスピードフォワードコリジョンワーニング/衝突被害軽減ブレーキ/アクティブレーンマネジメント/交差点衝突回避支援機能/アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)/前後パークアシスト/ブラインドスポットモニター/ヒルスタートアシスト/スポーツモード/電動パーキングブレーキ/LEDヘッドライト/レザーシート/前席電動調節シート/1&2列目シートヒーター/ヘッドアップディスプレイ/オーディオナビゲーションシステム/アクティブノイズコントロールシステム/3ゾーンオートAC/パワーリフトゲート
ボディカラー:ブライトホワイトC/C
※価格はすべて消費税込み
(提供:CAR and DRIVER)