この記事は2022年5月5日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン価格上昇 FOMC通過し暗号資産市場は全面高」を一部編集し、転載したものです。
日本時間5日、ビットコイン(BTC)は記事執筆時点で前日比約5%価格を上昇させ、節目の4万ドル(約516万円)に迫ろうとしている。
また、主要アルトコインを中心に価格は上昇しており、暗号資産(仮想通貨)市場は全面高となっている。なかでも、エイダ(ADA)、アバランチ(AVAX)、トロン(TRX)、イーサリアムクラシック(ETC)などはそれぞれ前日比13〜23%ほど価格を上げており、暗号資産市場の中でも一際物色されていることがうかがえる。
要因となったのは、3日、4日の2日間で行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)だ。焦点となっていたのは市場予測として上がっていた0.5%の利上げに加え、過度な金融引き締めが行われる可能性が示唆されるかどうかであった。
今回の会合では、市場予測通りとなる0.5%の利上げが決定された。上げ幅が0.5%となるのは、2000年5月以来22年ぶりとなる。
一方で、会合終了後の会見において、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「0.75%の利上げについては検討していない」と述べた。
これにより、急激な金融引き締めや景気後退に対する懸念が後退。NYダウは前日比932ドル(2.8%)高となる3万4,061ドルまで続伸した。また、ハイテク株が集まるナスダックにおいても前日比401ポイント(3.1%)の上げ幅を記録するなど、警戒されていたFOMCの動向は金融市場に安心感を与える結果となった。
米株式市場との相関性の高さが指摘されていた暗号資産市場も、連動するように上昇。FOMCが通過したことで資金が流入しやすい状況となっていたが、パウエル議長がさらなる利上げに慎重な姿勢を見せたことも背中を押した格好だ。
なお、パウエル議長はインフレ対策にも言及し、引き続き金融引き締めを継続する姿勢は崩さなかった。その上で、FRBがインフレ抑制に向け積極的に動いたとしても、米国経済には強さがあるため、深刻な景気後退や失業率の上昇といった状況を招くことなく物価を安定させるチャンスはあるとの認識を示した。
FOMCの結果が市場予測の範囲内であったことが株式市場や暗号資産市場に好影響をもたらしたが、FRBが引き続き金融引き締めを行うことに変わりはない。今後も利上げの可能性などが示唆された際には大幅な価格変動を見せる可能性もあるため、引き続きFRBの動向を注視する必要がある。(提供:月刊暗号資産)