ランボルギーニがFIAの2022年GT3新レギュレーションに準拠した「ウラカンGT3 EVO2」を発表。エアロダイナミクスやインテークシステム、安全性能などがいっそう進化
伊アウトモビリ・ランボルギーニは2022年5月6日(現地時間)、FIAの2022年GT3新レギュレーションに則して開発した「ウラカンGT3 EVO2(Huracán GT3 EVO2)」を発表した。
2016年デビューのウラカンGT3、2019年デビューのウラカンGT3 EVOに続く、第3世代のウラカンのGT3バージョンとなる「ウラカンGT3 EVO2」は、エアロダイナミクスやインテークシステム、そして安全性能など、大幅なバージョンアップを果たしたことが特徴である。
まずエアロダイナミクスでは、スプリッターやディフューザー、アンダーボディなどを変更して空力性能を向上。また、高強度のZylon(ザイロン)繊維で覆ったカーボンファイバーのフロアは、新しいディフューザーとともに従来のGT3 EVOよりも大きなダウンフォースを生成する。合わせて、六角形のエアスクープとリアフィンのデザインはベースモデルのウラカンSTO用を基調とし、効率的な吸気システムと優れた車両バランスに貢献。さらに、カーボンファイバー製リアウィングにはアルミ合金(Ergal7075T6)製の新しい支柱を組み合わせ、より細かな調整を可能とした。
インテークシステムについては、従来のサイドエアインテークに代えて、シュノーケル形状のルーフエアスクープを新採用したことがトピック。気流を最適な形でエンジンに直接流し込むことで、効率性と冷却性をいっそう高めた。
安全性の面では、ロールケージを新設計したことが訴求点。2つのリアピラーと、エッセンツァSCV12(Essenza SCV12)で既にテスト済みのカーボンケブラーのハニカム構造の新サイドパネルを加え、ドアへの衝撃が加わった場合の安全性をFIAの2022年レギュレーションに基づいて向上させる。また、プレキシガラスのサイドウィンドウをねじの輪によってカーボンファイバーのドアパネルに固定し、構造的な剛性と信頼性を高めた。
ブレーキングシステムも改良し、耐久とスプリントの両レースでパフォーマンスを最適化できるように、スクアドラ・コルセが設計した新しいキャリパーとパッドを装着。これらは専用のTSCとABSとともに、低グリップ状態でも制御しやすいようにセッティングする。納車時のシューズには、前325/680-18/後325/705-18サイズのピレリP ZEROタイヤを採用した。
縦置きでミッドシップ搭載するパワーユニットは、従来と基本的に共通の5,204cc・V型10気筒DOHCエンジン(640hp)を搭載したうえで、10基の電子制御式スロットルボディをセット。また、ユニボール付ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションのアーム形状を変更し、同時に材質をスチールからアルミ削り出しに刷新する。リアのユニボール付ダブルウィッシュボーン式サスペンションも新しいハブやベアリングなどを組み込んで、伝達効率の向上とメンテナンスの簡素化を実現した。
ウラカンGT3 EVO2について、ランボルギーニのモータースポーツ部門責任者のジョルジョ・サンナは「新しく登場したウラカンGT3 EVO2は、現行モデルを単純に進化させたものではありません。ランボルギーニとモータースポーツ部門のスクアドラ・コルセとの間の技術移転を強化する、新しいプロジェクトの成果です」
「同時にウラカンGT3 EVO2は、2つの大きな課題を引き継いでいます。1つは6シーズンで40以上の国際タイトルを勝ち取ったこれまでのウラカンGT3と同様の成功を収めること。もう1つは2015年から累計500台というウラカンのレース仕様車の目標を達成することです」とコメントしている。
なお、ウラカンGT3 EVO2は2022年末にデリバリーを開始する予定。レースデビューは2023年開催のデイトナ24時間を予告する。また、従来のウラカンGT3 EVOモデルは進化キットを介してGT3 EVO2仕様にアップグレードすることが可能だという。
(提供:CAR and DRIVER)