この記事は2022年5月21日に「月刊暗号資産」で公開された「G7、「暗号資産への迅速な規制を要請」草案発表 」を一部編集し、転載したものです。
G7(先進7ヵ国)のトップは19日、ステーブルコイン・Terra USD(UST)の急落、そして関連する暗号資産(仮想通貨)テラ(LUNA)が暴落したことを受け、暗号資産の迅速かつ包括的な規制を求める草案を発表した。20日、ロイターが報じた。
G7は18日から20日までドイツのケーニッヒスヴィンター(Koenigswinter)で会合を開いている。
草案によると、「暗号資産市場における最近の混乱を鑑みて、G7は金融安定理事会(FSB)に対し、一貫かつ包括的な規制の迅速な策定と実施を促す」とG7に出席した財務相、中央銀行総裁、全員が署名で記している。
FSBはスイス・バーゼルに本部を置く国際機関で、2008年以降の金融規範の多くを生み出す役割を担っている。FSBメンバーのクラース・ノット(Klaas Knot:オランダ銀行総裁)氏は、「金融安定と投資家保護の問題をカバーできる暗号資産のルールブックを執筆する」と発言している。
草案に記されている混乱とは、今月8日頃から見られているアルゴリズム型ステーブルコイン・USTの価格崩壊と、それに伴うテラ(LUNA)の暴落を指しているものとみられる。
USTの暴落は各国の規制当局および議会、金融関係者に影響を与えた。
フランス中央銀行のフランソワ・ヴィルロウ・ド・ガロー(Francois Villeroy de Galhau)総裁は「直近の出来事は、世界的な規制が急務であることを示す警鐘である。欧州はMiCA(暗号資産規制案)で道を開いた。我々は多くの問題とともに、G7でこれらの問題について議論することになる」と、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議が始まる前にコメントしていた。
併せて、「ステーブル(安定)とはそもそも名前からして間違っている。実際は不安定だ。暗号資産は国際金融システムを崩壊させないために管轄区域を超えて監督され、相互運用される必要がある」と報道機関の取材で述べていた。
また、米国のジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は今月10日の上院銀行委員会で、ステーブルコインについて「一貫した連邦政府の枠組みを求める。急速に成長している商品は、金融の安定化を危険に晒す。適切な枠組みを必要としている」と主張していた。(提供:月刊暗号資産)