この記事は2022年6月6日に「月刊暗号資産」で公開された「米ニューヨーク州上院で暗号資産マイニングの規制法案可決」を一部編集し、転載したものです。


アメリカ住宅
(画像=PIXTA)

米ニューヨーク州上院議会で3日、暗号資産(仮想通貨)のマイニングを規制する法案が可決された。この法案は4月26日に下院で可決されたもので、上院での動向に注目が集まっていた。

今回の法案では特にPoW(プルーフオブ・ワーク)への規制強化が目的となっており、昨今の環境問題への影響を鑑みた結果となっている。

今後2年間、暗号資産マイニングの規制を強化する内容となっており、マイニング業者に対する新規の業務ライセンス発行は停止することとなる。また、今後既存でライセンスを取得している暗号資産マイニングの企業に対しても、消費電力の増加が見込まれる場合、ライセンスの更新はできない。

100%再生可能エネルギーを使用してマイニングを行う場合にはマイニング事業で操業も可能となっているが、現実的には容易ではないと言える。

この法案は昨年5月に提出されていて、暗号資産業界ではこの行方を1年間注視していた。法案が上院で可決された後も反発の声が相次いでいる。

法案が可決された背景には、2019年の「気候リーダーシップ地域保護法」が成立し、1990年を基準として温室効果ガスの排出量を85%削減することを目指す動きが挙げられる。ニューヨーク州としてはこの目標を達成させるべく様々な議論が行われており、その中で暗号資産のマイニングは電力消費量が大きいことから問題視されてきた。

暗号資産業界の反応としては、「今後の暗号資産業界でニューヨーク州が世界の中心となる可能性があるにも関わらず、イノベーションを阻害することになるだろう」というコメントも出ており、今後も強い反発は続いていくものとみられる。さらに、今回の動きは米国全土に影響を及ぼす可能性があり、ドミノ式に他州が追随することも考えられる。

欧州ではPoW銘柄を禁止する条項が含まれた「暗号資産市場法案(MiCA=Markets in Crypto-Assets)」が今年提出されたが、暗号資産業界を中心に反対の声が強まったため、PoW禁止に関する内容を含まない別案が採択された、

世界金融の中心地であり、暗号資産業界に大きな影響力を持つニューヨーク州においても同様に規制の見直しを行われるかは不透明だ。当面の間、ニューヨーク州の動向を注視する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産