2022年6月10日、米労働省が発表した5月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比でプラス8.6%となった。CPIは今年3月に40年ぶりとなるプラス8.5%を記録したが、5月はこれを上回る結果となった。エネルギーが前年同月比でプラス34.6%、食品もプラス10.1%と2ケタの伸びを示したほか、サービス価格も住居費がプラス5.5%となるなど全般に上昇した。
FRB(米連邦準備理事会)は、今年3月に政策金利の引き上げを開始するなどインフレ対策に取り組んでいる。しかし、少なくとも5月のCPIを見る限りインフレの抑制につながってない。米株式市場では「FRBの利上げペースが一段と加速するのでは?」との懸念が広がっており、S&P500は年初来の安値を更新するなど低迷を強いられている。また、米国債もCPIの上昇を受けて 2年債と5年債の利回りが2008年以来の高水準を記録(債券価格は下落する場面もみられている。
株式、債券といった伝統的な資産クラスが共倒れ状態にあるなか、注目されるのがオルタナティブ投資である。ただし、ひと口にオルタナティブ投資といってもコモディティ(商品)や不動産、ヘッジファンド、プライベートエクイティなど投資対象によって特性が異なるので注意する必要がある。
今回はコモディティーと不動産に焦点を当て、その特性について考察したい。