この記事は2022年6月17日に「月刊暗号資産」で公開された「バイナンス「暗号資産の冬はチャンス」2000人を新規雇用へ」を一部編集し、転載したものです。


BINANCE
(画像=Koukichi Takahashi/stock.adobe.com)

近頃の暗号資産(仮想通貨)価格の下落による市場の冷え込みを受け、従業員の解雇に踏み切る企業が増加している。

米暗号資産取引所Geminiは今月2日、創業者のウィンクルボス(Winklesvoss)兄弟が「暗号資産の冬の時代に入った」と述べ、従業員の10%の解雇を決めた。また、米ナスダックに上場する暗号資産取引所コインベース(Coinbase)も全世界の従業員の18%を解雇すると発表した。

さらに、暗号資産レンディング大手のブロックファイ(BlockFi)も従業員の20%を、暗号資産取引所クリプトドットコム(Crypto.com)においても従業員5%を解雇すると相次いで発表している。

こうした状況下で、暗号資産取引所バイナンス(Binance)の創業者であるCZ(チャンポン・ジャオ:Changpeng Zhao)氏はTwitterで、2,000人の新規雇用を発表した。

同氏は声明で、「スーパーボールの広告、スタジアム命名権、大規模なスポンサー契約を断るのは容易ではなかったが、私たちはそれを実行した。今日、我々はバイナンスのために2,000人のオープンポジションを募集する」と述べた。

他企業では大量解雇が行われているものの、バイナンスは積極的に雇用を進める姿勢を明確にした。CZ氏は以前、「暗号資産の冬」はビジネスにとって潜在的に良い結果をもたらすと述べていた。

同氏は、「暗号資産の冬は初めてではない。私は3回目、バイナンスは2回目だ」説明し、弱気市場の間に新規雇用を行い、次ぎの強気市場に備えるとしている。さらに、「今のうちに採用するほうがいい。強気相場になれば、誰もが自分のプロジェクトを立ち上げ、途方もない報酬を得ているから」と述べ、才能ある人材を採用する上で適した時期であることを強調した。

加えて、「弱気市場で始まるビジネスは最強だ」と自信を覗かせている。

バイナンスと同様に、暗号資産取引所クラーケン(Kraken)もブログで「我々は雇用計画を調整しない。解雇を行うつもりはない」と述べている。「我々は誇大広告を行うつもりはない」と説明し、広告費の削減等を行うことで対応する見通しだ。

また、サム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)氏が率いるFTXも従業員の解雇について特別言及することはなく、他企業の買収を進めているという。(提供:月刊暗号資産