この記事は2022年6月27日に「月刊暗号資産」で公開された「FTXがBlockFiの株式取得に向け交渉中と判明」を一部編集し、転載したものです。
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが、暗号資産レンディングサービス大手・BlockFiの株式取得に向けて協議を進めていることがわかった。24日、Wall Street Journal(WSJ)が報じた。
情報筋によると、現在も合意には至っておらず、交渉は続いているという。FTXは21日にBlockFiに対して2億5,000万ドル(約337億円)の融資を行なったばかりだ。この資金を活用し、BlockFiはバランスシートやプラットフォーム強化を行うとしている。
FTXのCEOであるサム・バンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)氏は発表時、BlockFiとの協業を示唆していた。
BlockFiは今月に入り20%もの人員削減を行うなど、市況の悪化に伴い方向転換を迫られている状況だ。CEOのKris Marszalek氏は発表で人員削減を行う理由について語っており、「収益性の確保と、暗号資産市場で生き残りかつ成長しなければならないためだ」と説明している。
暗号資産価格が上昇したことでサービス利用者が急増したことなどから、BlockFiは従業員を急激に増やしていた。2020年末の従業員数は約150名であったが、2022年には一時850名ほどまで増えた。
近頃、バンクマンフリード氏らを中心に暗号資産関連企業救済に向けた動きが加速している。先日には、バンクマンフリード氏が率いる暗号資産取引関連企業・Alameda Researchを通じて、暗号資産ブローカーであるVoyager Digitalに融資を行なっている。この融資を通じて、Voyager Digitalは2億ドル(約270億円)相当のステーブルコイン・USDコイン(USDC)と1万5,000BTC(現時点約435億円)の借り入れが可能となった。
バンクマンフリード氏はこうした融資について、「FTXには困難な状況に陥っている企業の救済を検討する責務がある」と述べており、今後もあらゆる救済措置を講じる姿勢を見せている。
FTXは従業員削減や事業縮小などには着手しておらず、依然として積極的な企業買収や事業拡大を続けている。
大手暗号資産取引所バイナンスのCEOであるCZ(チャンポン・ジャオ:Changpeng Zhao)氏も、暗号資産市場の市況が芳しくない中にこそ事業拡大に向けたチャンスがあるとの認識を示しており、積極的な姿勢を崩していない。同氏においても暗号資産関連機業の救済に向け、協議を進めていることを明かしている。(提供:月刊暗号資産)